優秀な人材を確保しグローバル規模での競争へ勝つために

東日本大震災を機に拡がった「モバイルワークスタイル」制度。制度の有無が人材確保へ大きく影響

ビジネスパーソンのモバイルワークスタイルに関する意識調査

モバイルワークスタイル」は、1970年にアメリカ西海岸から始まったテレワークの働き方のひとつで、その他に在宅勤務、サテライトオフィスといった働き方もあります。シトリックスが考える「モバイルワークスタイル」は、オフィスやデスクにいなくても、メールの送受信やスケジュールの確認だけでなく、社内のアプリケーションソフトを活用しての資料作り、そして外部からアクセスして社内情報を共有できるなど、移動先にいながらも、まるでオフィスにいるかのような環境で仕事ができるスタイルにあります。これらは、1995年以降、ノートPCの普及により、スタイルが浸透し始めてきました。さらに2003年になると、家庭への高速回線普及や在宅勤務のガイドラインが施行されるなど、そのスタイルは注目され一般化されつつあります。

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は、2012年6月に、従業員30人以上の企業に勤務する20~50代の男女に「モバイルワークスタイル」の視点から意識調査を行いました。

経営層に最も認知度が高い「モバイルワークスタイル」

はじめに、「モバイルワークスタイル」という言葉や働き方の認知は、2,064人中約半数(49.5%)の人が知っていると答えており、さらに性別、年代別でみると、40代男性の認知がもっとも高く60.5%、また役職別でみると、経営者・役員の認知が一番高く80.0%が知っているという結果となりました。一方で、男女ともに20代の認知が低く、男性で45.0%、女性にいたっては33.3%と最も低い認知となっています。

s-stgyまた実際に導入している企業で「モバイルワークスタイル」の利用率について聞いてみると、全体(n=210)の33.3%が利用しており、性別、年代別でみると、50代女性が40.9%と一番利用していることが分かりました。さらに職種でみると、営業・販売部門で43.5%、職位では、経営・役員が57.1%と利用しています。利用している人に満足度を聞いてみると、回答した70人のうち72.9%の人が満足していると答えています。その理由の第一位は、「通勤などの無駄な時間が省け、時間を有効に使える」(78.4%)、続いて「自分の仕事に集中できる」(49.0%)、「自分の好きな場所で仕事ができる」(43.1%)、「家族と過ごす時間が今以上に持てる」(39.2%)、「仕事とプライベートの切り替えがスムーズにできる」(35.3%)などが挙げられています。

若い世代での認知や利用率が低く、柔軟な労働環境があまり与えられていないことが伺えます。しかし、経営者・役員における認知や利用率が高いことから、若い世代での積極的な活用がさらに期待されることや、社内での稼働率の見直しがなされる機会などに、「モバイルワークスタイル」を検討する企業が増えることが期待されます。また「モバイルワークスタイル」を導入することによって、時間や仕事場所の制限から解放されるだけでなく、仕事に集中する時間の確保や仕事以外の時間を持ちやすくなるなど、さまざまな付加価値を生み出す可能性を持っています。

東日本大震災を機に導入が進み、制度継続へ大きな期待

さらに「モバイルワークスタイル」を認知している1,021人に対して導入のタイミングについて聞いてみました。「東日本大震災以前からモバイルワークスタイルが可能だったので、特に変わりがなかった」と答えた人が17.1%、「東日本大震災でモバイルワークスタイル制度が導入され、オフィス以外の場所でも仕事ができるようになった」と答えた人が3.7%、「震災がきっかけかわからないが、震災後にモバイルワークスタイル制度が導入された」と答えた人が2.8%、合わせて23.6%が導入しており、継続について尋ねてみると、回答した67人中「現在も続いている」と答えた人が半数以上(52.2%)います。また震災後に「モバイルワークスタイル」が導入され、途中で廃止になった人32人に継続希望について聞いたところ、84.9%が継続を望んでいることが分かりました。

長年定着しなかった「モバイルワークスタイル」も、きっかけは臨時の対策であったにせよ、ここにきて徐々に導入のきざしが見られるようになってきています。継続希望から見て取れるように、「モバイルワークスタイル」の導入は、今までの働き方を見直しするきっかけとともに、利便性をもたらしているものであると考えています。

働く人の安心と安定につながる「モバイルワークスタイル」

では、まだ導入をされていない1,854人に対し、どのくらいの人が「モバイルワークスタイル」の導入について賛成しているかを尋ねてみました。半数以上(52.5%)の人が導入に対して前向きであることが伺えます。さらに性別、年代別でみると、男女ともに20代に賛意が多く、20代男性で56.4%、20代女性で60.0%という結果となりました。若年層にとって認知や利用率が低いものの、「モバイルワークスタイル」を知ることで、導入に賛意を示す人が半数以上いることから、興味関心が高くもたれていることが分かります。

また、育児や介護をしている人をみると、育児をしている679人中、育児に伴う仕事への支障感が「非常にある」と答えた132人のうち、導入に関して約6割(58.3%)の人が賛意を示しています。また介護をしている215人中、介護に伴う仕事への支障感が「非常にある」と答えた77人のうち、導入に関して6割以上(62.3%)の人が賛意を示しています。

育児や介護といった優先せざるを得ない環境により、働くことへの困難が生じて雇用形態や職場の変更をせざるを得ない状況がでてくる不安は拭い去れません。そのような中で、「モバイルワークスタイル」が導入されることで、同じ仕事を、同じ職場で、同じ仲間と続けられるのであれば、困難の解決につながるだけでなく、働く人に安心や安定をもたらすことが期待されます。それが賛意に表れているのではないかと推測しています。

優秀な人材の確保につながる「モバイルワークスタイル」

最後に「モバイルワークスタイル」の魅力について尋ねてみました。もし「モバイルワークスタイル」制度が廃止されたら、あなたは今の勤務先に勤めることに魅力を感じなくなるかという質問に、「モバイルワークスタイル」利用者の中で回答をした70人のうち、「大変そう思う」が10.0%、「ややそう思う」が20.0%、合わせて3割(30.0%)の人が魅力を喪失すると答えています。

また、これからも勤務先に「モバイルワークスタイル」制度を導入しない、または制度の対象とならないとしたら、今の勤務先に勤めることの魅力を感じなくなるかという質問について、全体の2,064人のうち17.1%の人が魅力を感じなくなると答えています。さらに、育児に伴う仕事への支障感が「非常にある」「ややある」を合わせた445人のうち、20.9%の人が制度のない職場への魅力の低下を感じ、介護に伴う仕事への支障感が「非常にある」「ややある」を合わせた177人のうち、26.0%の人が同様に感じています。

「モバイルワークスタイル」を利用している人にとって、制度の廃止は、働く環境を左右する意味合いを持ち、また制度を導入しないことは、育児や介護と仕事との両立に困難をきたすことから、いずれも職場のロイヤリティ低下へとつながっています。これらは企業にとって、人材の流出といった潜在的なリスクになるだろうと考えています。

一方で、転職するとしたら「モバイルワークスタイル」制度のある会社を選びたいかの質問について、全体の2,064人中、35.4%が意向を示しています。中でも、育児に伴う仕事への支障感が「非常にある」と答えた149人のうち、53.0%の人が意向を示しており、また介護に伴う仕事への支障感が「非常にある」と答えた90人のうち50.0%の人が意向を示しています。これらの結果から、「モバイルワークスタイル」制度がある会社への転職希望は、全体だけでなく、特に育児や介護と仕事との両立に支障感を感じている人に多く、企業にとって、企業経営力の強化にもつながる人材確保の一助になることが期待されます。

少子高齢化時代における働き方の課題解決へ

これまでは、弊害なくフルタイムで働く人を基準にしたワークスタイルの職場が多くみられましたが、今では夫婦共働きで育児と両立している人、高齢化社会が進み定年延長によって働き続ける人や、年金の受給、家庭の事情や健康状態に合わせて働きたいと考えている人たちが年々増加しており、働く人の希望とワークスタイルの現実にギャップがでていることが窺い知れます。さまざまなニーズに即した、多様な環境を構築することが重要になってきており、ワークスタイルを見直す時期が、もうそこまでやってきているのではないかと考えています。厚生労働省が発表した「望ましい働き方」において、経済の活性化を通じて良質な雇用を創出するとともに、「持続可能な全員参加型の社会」を構築し、若者、女性、高齢者、障害者などの就業率を高め、積極的な社会参加を進めていくことが不可欠である、と記載されています。これらの実現を進めていく中で、労働時間や働く環境など働き方に起因する課題に直面することでしょう。その解決策のひとつとして、「モバイルワークスタイル」の活用が一般的になり、人々のワークライフバランス向上に貢献するとともに、活き活きとしたライフスタイルづくりにもつながることを期待します。

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