国内金融機関がモバイル活用を本格化

生産性・利便性を重視し機動力を高めるために

2013年10月中旬、金融総合専門紙「ニッキン」(日本金融通信社)が主催する国内最大の「金融機関のためのITフェア」「FIT(Financial Information Technology)」(金融国際情報技術展)が開催されました。今回は、ベンダー各社がモバイルを活用した戦略的なIT製品/サービスを展開しており、金融業界においても戦略的なモバイル活用が本格化していることをうかがわせたイベントでした。その中で今、最も注目を浴びている「デスクトップ仮想化」はセキュリティと業務生産性を両立させるためのソリューションとして金融業界での利用が活発化しています。今回はシトリックス・システムズのセッションの内容をもとに金融業界におけるデスクトップ仮想化のトレンドをご紹介します。

本格化する金融業界でのデスクトップ仮想化導入

セッション前半では、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 エンタープライズ営業本部 通信・金融サービスインダストリ営業統括部 統括部長である福永哲也氏(以下、福永氏)から、金融業界におけるトレンドやデスクトップ仮想化の導入効果に関して紹介がありました。

冒頭、福永氏は、本年5月にIDC Japanより発行された「2013年 国内クライアント仮想化市場 ユーザー動向分析調査」(J13190103)を引用し、まさに金融業界における課題を解決するソリューションがデスクトップ仮想化であると同時に、その状況を肌で感じていることを強調しました。

このIDC Japanのレポートによると、クライアント仮想化の「本格導入」の割合が高い産業分野は2012年、2013年共に「金融」「情報サービス」「製造」となっており、特に「金融」は「全社導入」が8.7%、導入済み/導入予定/検討中まで合算すると6割で、最も全社導入および検討の進んでいる産業分野であると報告されています。

デスクトップ仮想化の目的は、セキュリティから生産性・利便性重視へ

福永氏は、そのデスクトップ仮想化の導入目的が数年前に比べて明らかに変化していると述べました。以前は「セキュリティ」と「運用管理の効率化」を実現するソリューションとしてデスクトップ仮想化が注目されていました。つまり、金融業界において最も重要な要素であるセキュリティ面、情報漏洩の防止策として、物理PCからのデータ漏洩の防止やオフショア環境でのセキュリティ確保インターネットアクセスによるセキュリティの強化のために、デスクトップ仮想化に興味を示す金融機関が多かったのです。また、セキュリティの次に金融機関で興味をひいていたのはコスト削減であったと述べました。デスクトップ仮想化を導入することで、アプリケーションの更新/配布工数の削減やWindows XPからのスムーズな移行、Internet Explorer 6の継続利用、端末台数の削減などが可能であったのです。

それに対し、福永氏は最近の案件の傾向として、より戦略的な課題解決のためにデスクトップ仮想化の導入が加速していると言います。特に金融業界におけるニーズは「リモートアクセス、モバイルワーク」「ペーパーレス」「在宅勤務によるワークライフバランスの向上」の3点に集約されると言います。

金融業界では、例えば、今までお客様の要望を聞き一旦帰社してから見積りや提案書作成などを行っていた渉外業務が、デスクトップ仮想化を利用する事によりPCやタブレットを利用して外出先等からリモートアクセスすることが可能となります。そのため、セキュリティを確保した状態で社内システムにアクセスでき、時間をかけずにタイムリーにお客様への提案ができるようになるのです。それ以外にも生保・損保の窓口販売用の商品紹介用の端末など、生産性を向上させるための戦略的なデスクトップ仮想化導入が、金融機関においても進んでいるのです。

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XenDesktopを採用し前年同月比2.5倍の売上げを達成した金融機関も登場

セッションでは、戦略的なデスクトップ仮想化利用の事例として北國銀行が紹介されました。同行では、デスクトップ仮想化とタブレット端末の導入により投資信託の販売金額が前年同月比で2.5倍に増加しました。その理由として購入申し込みが集中する日でも「タブレット端末で、手続きが簡便になり、ニーズを確実につかめるようになったのも大きい」と述べられています※。
※出典:北國新聞社サイト2013年2月8日掲載記事より

また、北國銀行以外でも多くの金融機関でXenDesktopの導入は加速していることを証明するかのごとく、福永氏から三菱東京UFJ銀行をはじめとするメガバンクや北海道銀行等の地銀、生保・損保企業の明治安田生命や第一生命情報システム、AIG損害保険、ニッセイ情報テクノロジーなどの紹介がありました。

更なるモビリティを加速するためのシトリックスからの提案

セッション後半では、金融業界向けにさらなるモバイル活用を促進するためのデスクトップ仮想化とは別のもうひとつのアプローチとして、企業向けモバイル管理製品「XenMobile」の紹介が、同社事業開発本部 リード・システムズ・エンジニア山田 晃嗣氏(以下、山田氏)より行われました。

XenMobileは、ビジネスにおけるモバイル利用の促進とセキュリティ、コンプライアンス要件を両立するための戦略的な製品です。
山田氏は、冒頭にXenDesktopにより社内のWindows環境を社外に持ち出せることは企業の生産性を高めると述べた後に、オフライン環境での利用など、XenDesktopではカバーできないニーズも存在することを紹介しました。

タブレットやスマートフォンなど日常生活になくてはならない存在になった現在、それらで標準的に提供されるWebブラウザやメールクライアントを使うことは、一見導入もしやすく便利になると思われがちです。しかし、その一方でそれらタブレットやスマートフォン標準提供のアプリケーションをそのまま利用することは企業にとって大きなリスクとなり得るのです。たとえば、LINEなどのSNSアプリを経由して、社内メールサーバー内のアドレス帳の情報が知らない間に他のSNSのメンバーにフォワードされてしまったと言うのは、実際にあったことです。つまり、安易に標準アプリケーションを利用した情報漏洩はいつでもおきる状態であると山田氏は言います。

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そこでシトリックスでは、それらを解決するソリューションとしてXenMobileを提供しています。XenMobileでは、モバイル環境にセキュアな仮想コンテナを提供することにより企業アクセス可能なアプリケーションと個人利用のアプリケーション間の情報の受け渡しを制限します。

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XenMobileでは、メールクライアント「WorxMail」や、イントラネットなどへアクセスするためのWebブラウザ「WorxWeb」、ドキュメントビューア「ShareFile」が標準で提供され、これらが上述した仮想コンテナ内で実行されます。これらのコンテナ内アプリを活用することでセキュリティを確保したうえで、さらなる生産性向上が見込めると言います。ユーザーはWorxMailで社内メールを閲覧しても、LINEやFacebookなどのコンテナ外アプリへその情報をコピーすることも不可能になります。もちろん、それらはサーバー側で一元管理されており、万一の端末紛失の際にもリモートワイプ機能により情報やアプリケーションを瞬時に削除することが可能です。
また、XenMobile標準提供のアプリだけでなく、企業内で利用するアプリを「企業内アプリストア」に集約し、それらもセキュアな仮想コンテナ内で実行させることも可能です。

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このようにセキュアな仮想コンテナを提供する事で、企業はコンシューマアプリケーションと企業アプリケーションを同一モバイル端末内で完全に分離・独立されることが可能になります。

このセキュアな仮想コンテナは、高度なセキュリティを維持しながら、ユーザーの使い勝手や利便性も向上させます。セキュアな仮想コンテナの外であれば、どんなアプリを使っても業務データに影響を及ぼすことはありませんので、ユーザーは特に意識することなく個人のアプリケーションと会社のアプリケーションを利用することが可能なのです。

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まとめ

fit06企業はXenDesktopにより企業内アプリケーションを自席にいるような感覚で操作可能になります。また、XenMobileと同時に利用する事で社外においてもメールやカレンダー、連絡先、ファイルなどをセキュアな状態で軽快に利用することができます。つまり、企業はXenDesktopとXenMobileを用いることで、モバイル環境においてもその機動力、利便性とセキュリティを両立することが可能になり、モビリティによる真の機動力を身につけることができるのです。

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セッション終了後にシトリックスブース前で聴講者に対してXenMobileやXenDesktopの説明を丁寧に行なう福永氏(左端)

 

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