シトリックスのオープンなクラウド戦略

これからのハイブリッド・クラウド環境を支える技術

クラウドコンピューティングにより、企業システムは「柔軟性」や「コスト削減」と言われるさまざまな恩恵を受けることが可能になるため、多くの企業がクラウドコンピューティングへの移行を加速しています。

クラウドコンピューティングには、堅牢に作られた既存システムを移行しやすいとされるプライベートクラウドや安価なサービスであるパブリッククラウド、それらを組み合わせて利用するハイブリッドクラウドなどが存在します。
プライベートクラウドは、一般的に自社やシステムインテグレータ、ネットワークキャリアが提供するデータセンターに配置された専用のリソースを利用するため融通が利きやすくセキュリティなどが担保されているとされています。その一方で、Amazon EC2などを代表とするパブリッククラウドは、安価かつ柔軟にリソースを利用可能なことが最大の特徴です。それ以外にもSalesforce.com に代表されるSaaSアプリケーションなどの企業利用も進んでいます。

これらの選択には、企業のアプリケーション種別や置かれている状況ごとに適材適所に使い分けしているのが現状です。

企業は複数の異なるクラウドコンピューティングのサービスを平行して使用していかなければならないなか、クラウドコンピューティングの利点を最大限に享受していくためには何が必要なのでしょうか?

その答えを探るべくシトリックスのクラウド戦略をご紹介します。

クラウドコンピューティングの定義と課題

企業のクラウドコンピューティングを発展させるためには、今一度クラウドコンピューティングの定義を明確化し、将来像をしっかりと描く必要があります。

そのために、クラウドコンピューティングの定義をおさらいしてみることにしましょう。
以下は、米国の技術標準に関する機関であるNIST(National Institute of Standards and Technology)によるクラウドコンピューティングの定義です。
「クラウドコンピューティングは、コンピューティング資源(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の共有プールへのオンデマンドなネットワークアクセスを可能にするモデル。管理の手間やサービスプロバイダーの仲介作業を最小にしつつ、これらのリソースをすみやかにプロビジョンしリリースできる。」と示されており以下の5つの特徴があるとされています。

5つの特徴(Essential Characteristics)

On-demand self-service 必要にあわせて自動的(=提供者側の人による仲介作業なし)にサーバーやストレージを利用できる。
Broad network access いろいろなプラットフォーム(携帯電話、ラップトップ、PDAなど)から、ネットワークを通じて使える。
Resource pooling マルチテナントモデルで提供され、一般的にはサーバーやストレージがどこにあるかはわからない。
Rapid elasticity すばやく(時には自動的に)、スケールアウト・スケールインできる。
Measured Service 適切な計測により、サービスの透明性が確保される。

これらからクラウドコンピューティングは、「自動化(Automation)」、「弾力性(Elastic)」、「透過性(Transparent)」を保持していることが必須であると言えるでしょう。また、以前と違い企業内のデスクトップPCからのアクセスだけでなく、あらゆる携帯情報端末からアクセスされることを前提にする必要があります。
つまり、これらを満たさない限りクラウドはバズワードに過ぎないことになるのです。

これらの特徴を照らし合わせながら、現状のクラウドを見ていくと果たしてどうでしょうか?
実は、さまざまな課題が浮かび上がってくるのも事実です。

自社のデータセンターに配置したアプリケーションのリソースが足りなくなった場合に、素早くスケールアウトできますか?
もしくは、必要ない場合にスケールインできているでしょうか?
iPadやiPhoneといった最新の情報端末からアクセスが可能でしょうか?
そもそも、自社のデータセンターをクラウド化したり、事業者としてパブリッククラウド環境を提供するための環境構築を迅速に行えていますか?
また、パブリッククラウドやプライベートクラウドの両方を一元的に運用管理できていますか?

今後、クラウドコンピューティングの導入企業は、これらの課題を解決していく必要があるのです。

クラウド構築のためのシトリックスの戦略

シトリックスでは、真のクラウドコンピューティングを実現するために製品開発に力を入れています。
シトリックスというとCitrix XenDesktopを中心としたデスクトップ仮想化を実現する製品を提供していますが、その一方でシトリックスの最近の動向を見ていると、クラウド関連ソリューションを提供することに力を入れていることが伺えます。

2011年5月には、クラウド事業者がIaaSを構築することを目標としてオープンソースで開発が進められている「OpenStack」の商用ディストリビューションを「Project Olympus」として進めることが発表されました。
OpenStackは、クラウド事業者であるRackspace Hosting社とNASA(アメリカ航空宇宙局)が中心となりシトリックス、Intel、NTTデータなど数多くの企業が参加しているオープンソース・コミュニティです。
その目的は、クラウドプラットフォームのシンプルな実装と大規模なスケーラビリティにより、あらゆるサイズのパブリッククラウド、プライベートクラウドのニーズに合うオープンソースのクラウド基盤を作ることです。

そして、シトリックスのProject Olympusは、IaaS基盤を構築するシトリックス認定バージョンのOpenStackとクラウド向けに最適化した同社の仮想化ハイパーバイザーであるCitrix XenServerにより構成されています。これらの取り組みにより、クラウド環境を迅速に構築することが可能になるのです。

さらに、シトリックスは2011年7月には、クラウド事業者向けの基盤ソフトウェア「CloudStack」を提供しているCloud.com社の買収を発表しました。Cloud.com社も初期からOpenStackのメンバーであり、これによりXenServerだけでなく、あらゆるハイパーバイザーに対応したクラウド構築基盤をシトリックスでは提供可能になります。
このことにより、企業があらゆるハイパーバイザーを利用してクラウド基盤を構築していることを前提とすると、真の「オープン」なクラウド構築基盤をシトリックスは提供可能になることを意味するのです。

デスクトップ仮想化

図1 シトリックスのオープンなクラウドソリューション

ハイブリッドクラウドのためのシトリックスの戦略

今後、すべてのクラウド環境が透過的に連携するハイブリッドクラウド環境が必要不可欠になってきます。

デスクトップ仮想化

図2 一般的な現実界であるハイブリッドクラウド
つまり、自社のデータセンターで運用しているプライベートクラウドでコンピューティングリソースが足りなくなった場合に、Amazon EC2のリソースを一時的に利用したり、セキュリティを強固に守りたいデータベースをプライベートクラウド上に配置し、それ以外をパブリッククラウド上に配置するなど、すべてのクラウド環境をつなぎ合わせ透過的に見せる技術が重要性を増してきます。

それらを解決する製品としてシトリックスではNetScaler Cloud Bridgeを提供します。これにより、異なるクラウド間を容易につなぎ合わせることが可能になります。自社のワークロードを、ネットワークを完全に透過させることによりパブリッククラウドにつなげることが可能になります。
NetScaler Cloud Bridgeにより、必要なアドレッシングや遠隔地のデータセンターとの遅延などをすべて隠ぺいすることにより、クラウド間をセキュアに連携させ完全に透過性を保つことが可能になるのです。つまり、クラウドに無限の広がりを持たせることが可能となります。

デスクトップ仮想化

図3 NetScaler Cloud Bridge

パーソナルクラウドのためのシトリックスの戦略

私たちの仕事環境は、旧来の企業に設置されたデスクトップPCの利用から、自宅のMacやスマートフォン、タブレットなど、あらゆる端末から場所を選ばずに利用する時代にシフトしています。つまり、リソースが実際にある場所やデータの保存場所、あるいはアプリケーションの実行プラットフォームなどの条件に関わらず、任意の端末を使用して、仕事に必要なすべてのアプリケーション、パソコン上の情報、データ、連絡先およびサービスにアクセスできる環境が求められています。シトリックスではそれらを総称したものを「パーソナルクラウド」と定義しています。
企業は従業員のために、この「パーソナルクラウド」をいかに実現するかを考慮する必要があるのです。

それらを解決するソリューションとして、シトリックスではデスクトップ仮想化を実現するCitrix XenDesktopだけではなくCitrix NetScaler Cloud Gatewayを提供しています。
Citrix NetScaler Cloud Gatewayは、ユーザーにシングルサインオンの機能を提供することでWindowsアプリケーションだけでなくWebベースの社内アプリケーション、SaaSアプリケーション、SNS、オンラインストレージなどのアクセスに対して、社内で利用している一組のID/パスワードで対応可能となります。
また、Citrix Receiverと組み合わせることにより、あらゆるデバイス上で統一されたインターフェースを通じてセキュアなアプリケーションアクセスが可能になります。
管理面では、あらゆるタイプのアプリケーションに対してアクセス権を一元的に設定することで内部統制を簡素化可能です。また、SaaSアプリケーションのSLA管理やライセンスの利用状況を把握することも可能です。
つまり、XenDesktopとCitrix Receiverにより、あらゆるデバイスで統一されたアプリケーションを提供可能となり、Citrix NetScaler Cloud Gatewayにより、ユーザーのアクセスポイントを一元化し利便性と統制を両立することが可能になるのです。

デスクトップ仮想化

図4 NetScaler Cloud Gateway
まとめ

シトリックスのクラウド戦略は、企業におけるクラウド基盤の構築から真のハイブリッドクラウド実現のためのソリューションをネットワークからアプリケーションまで包括的に提供するだけでなく、それらはインフラや特定の技術に依存しないオープンでシームレスなクラウド環境で利用可能なのです。

デスクトップ仮想化

図5 オープンなクラウドを実現するシトリックス