Citrix TechDay 2015 基調講演レポート「ワークスペーステクノロジー最前線」

仮想化、モバイル、ネットワークの最新テクノロジーを公開

Citrix TechDay 2015シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は、2015年7月23日、都内で同社の技術者向け最大イベントTechDay 2015を開催しました。ワークスペーステクノロジーの最前線を一堂に紹介するTechDayでは、午前中にゼネラルセッションが行われ、午後は3つのトラックに分かれて19のセッションが展開されました。また、ゼネラルセッションの前には、「いまさら聞けないシトリックス製品のすべて」というプリセッションが行われ、朝の早い時間から多くの来場者が熱心に説明を聞いていました。

シトリックスの提唱するモバイルワークスペース

ゼネラルセッションには、営業推進本部 プロダクトソリューション推進部 シニアプロダクトソリューション推進マネージャーの竹内 裕治氏が登壇し、冒頭で次のように提唱しました。
「シトリックスは、モバイルワークスペースを一番確実に提供できる会社です。我々の提唱するSoftware-defiened Wworkplaceならば、モバイルで当たり前のように仕事が継続できる世界を構築できます。」

竹内氏は、ある医師の一日を例にとります。医師は自宅のPCから手術の予定を入れ、通勤電車でタブレットから患者のMRI画像をチェックし、病院のPCで手術の準備や確認を行い、執刀後に帰宅する車中でタブレットから術後の経過報告を確認します。

竹内 裕治氏

竹内 裕治氏

「このような一連の作業がモバイルワークスペースによって、途切れることなく行われるのです。たとえ働く場所や手にするデバイスが変わっても、我々のテクノロジーを活用することで、データやアプリケーションへの一元的なアクセスやシングルサインオンにより、どの経路からも安全に確実にワークスペースを利用できるのです」と竹内氏は解説します。

シトリックスの実現するモバイルワークスペース

シトリックスの実現するモバイルワークスペース

XenAppの価値を再認識する新たな施策

シトリックスは、国内のバーチャルクライアントコンピューティング市場で、11年連続でシェアNo.1を誇ります。
「国内での圧倒的なXenAppのシェアと市場価値を改めて考えたときに、我々はバージョン6.5に向けた新たな3つの施策を提供することにしました。それは、ライフサイクルの延長と、新たな追加機能の提供、そして新しい移行サービスです」と竹内氏はXenApp 6.5への取り組みについて話します。
XenApp 6.5は、2016年の8月24日で延長メンテナンスを終了する予定でしたが、メインストリームのメンテナンスを2017年12月31日まで延長し、さらに半年後の2018年6月30日まで延長メンテナンスが継続されます。また、新たにXenApp 6.5 Feature Pack 3を提供し、XenApp 7.6とほぼ同じレベルの機能追加を行います。さらに、スムーズな移行のためにStoreFront 3.0 で複数バージョンのファームを統合して利用できるようにし、新たな移行サービスも提供します。

新たな3つの施策

新たな3つの施策

Windows 10に向けた3つのサポート

「7月29日から、新しいWindows 10がやってきます。この最新版に対して、シトリックスでは、3つのサポートを用意しています。まず、Receiver for Windows 4.3ですが、現在のバージョンでそのままWindows 10がご利用いただけます。次に、Windows 10 VDAですが、こちらはTech Previewを展開中です。そして、新しいOSに従来のOSで利用していたアプリケーションを対応させるために、Windows 10アプリケーション移行支援のAppDNAを用意しています。AppDNAでは、アプリケーションの機能分析や問題個所の特定など、移行における修正内容の把握を自動化できます。また、AppDNAは、パートナーに無償で提供しています」と竹内氏は、Windows 10への移行をサポートする3つの対策について説明します。
そして、壇上には高木 智範氏が登場し、Windowsアプリケーション配信のデモンストレーションが紹介されました。

高木 智範氏

高木 智範氏

「StoreFront 3.0 は、タッチ操作に対応し、XenApp 5から7.6までの複数バージョン向けのアプリケーションを統合して利用できます。その結果、それぞれのプラットフォームで動作するInternet Explorer 6、8、11などのバージョンをシームレスに使い分けることができます」と高木氏は新機能を実演します。

Internet Explorernの各バージョンをシームレスに使い分けることができる

Internet Explorernの各バージョンをシームレスに使い分けることができる

Linux VDAを活用した安価でセキュアなインターネット利用

また、新たな仮想デスクトップのOSとして、Linuxデスクトップにも対応します。
「金融機関のお客様で、セキュアに行内の端末からインターネットを利用するために、DMZに配備したXenApp上のInternet Explorerを活用されている事例があります。この仕組みをLinux VDA上のFirefoxに置き換えて、イントラネット内の端末からCitrix Receiver経由で利用すると、より安価でセキュアなインターネットの利用環境を構築できます」と竹内氏はLinux VDAの活用方法について提案します。

Linux VDAによる安価でセキュアな仕組み

Linux VDAによる安価でセキュアな仕組み

そして壇上では、高木氏がSUSE LinuxのVDIにアクセスする様子を紹介しました。
「XenDesktopは、新しいLook&Feelに複数ファーム・サイトの平行稼働、そしてLinux仮想デスクトップにセキュアなインターネット利用、さらにWindows 10対応など、充実した機能の強化を図っています。また新たなAppDiskテクノロジーでは、レイヤリング技術により、OSのイメージと切り離してアプリケーションをレイヤとして実行できるようになります。この最新テクノロジーは、午後のセッションでも紹介しているので、詳しくはそちらをご覧ください」と竹内氏は案内します。

モバイルでのユーザーエクスペリエンスを向上させるHDX

XenDesktop/XenAppに関する最新テクノロジーが紹介された後は、モバイルでのユーザーエクスペリエンスの向上に向けた取り組みが紹介されました。
「シトリックスでは、長年にわたってICA(Independent Computing Architecture)というプロトコルにより、HDX(High Definition Experience)を支えてきました。このICA仮想チャネルは、個別にコントロールが可能なので、ストリーミングやビットマップなどさまざまな用途に合わせて、ユーザーエクスペリエンスを向上させてきました。そして今回、モバイルにおけるスクロールやタッチ操作や動的なコンテンツ配信を快適にするために、UXトランスフォームというアプローチを用意しました」と竹内氏はモバイルを取り巻く最近テクノロジーについて紹介します。

モバイルを快適にするUXトランスフォーム

モバイルを快適にするUXトランスフォーム

壇上には再び高木氏が登場し、HDXユーザーエクスペリエンスのデモンストレーションが行われました。
「新しく統合された『Framehawk』テクノロジーによる画面転送では、たとえばネットワークのパケットロスが9%という環境でも、遅延を感じない操作性を実現します。9%のパケットロスは、日本と中国の間でネットワークの状況が悪い時の条件に近いものです。それでも、PDFのスクロールなどが従来に比べて、ストレスなく快適に動いているのがおわかりでしょうか」と高木氏は実演します。
さらにHDX 3D Proでは、これまでXenServer とNVIDIA社のGRIDのみの対応でしたが、新たにVMware vSphere がGRIDをサポートし、より柔軟なプラットフォームの構築をサポートします。これはシトリックスにとっても歓迎するべきことです。

モバイルシナリオに新たな価値を提供するCitrix X1 Mouse

シトリックスでは、Windowsのアプリケーションをモバイル端末で使いやすくするために、様々な取り組みを続けています。これまでにもHDX Mobileによって、iPadなどのタブレットでもWindowsのアプリケーションを快適に使える環境を提供してきました。
「従来のHDX Mobileによるアプリケーションのモバイル対応を支援してまいりましたが、さらにモバイルを快適に活用するための方向性として、Citrix X1 Mouseを開発しました。このマウスは、Apple社のiPadやiPhoneでWindowsのアプリケーションを操作するためのマウスです。このCitrix X1 Mouseがあれば、現在iPadでは提供されないマウスでExcelなどを快適に使えるようになります」と竹内氏はCitrix X1 Mouseの便利さを訴えます。

Citrix X1 Mouseを紹介する竹内氏

Citrix X1 Mouseを紹介する竹内氏

モバイル端末は、手に持って使うのには適していますが、Windowsのアプリケーションを使うデバイスとしては、タッチ操作の限界がありました。そうした課題をCitrix X1 Mouseは解決します。また、モバイルユーザーに特化した利便性を提供するために、シトリックスでは2年前からXenMobileを発売してきました。その最新版の機能について、山田 晃嗣氏が登壇してデモンストレーションを披露しました。

山田 晃嗣氏

山田 晃嗣氏

「XenMobileは、この1年で優れたアップデートが行われました。たとえば、どんなiPhone向けのメールアプリよりも使いやすい操作を目指したWorxMailでは、上下や左右のスワイプ操作で、未読メールの流し読みや削除などを手早く実行できます。また、パスワードのついたZIPファイルの解凍も可能になりました。さらに、ExchangeやOutlookのタスクを管理するアプリも追加されています。そして、ちょっとしたメモ書きなどに便利に使えるWorxNoteも提供しています」
XenMobileの新たな機能やツールを紹介した後、最後に山田氏は管理者の視点からXenMobileを導入する意義について触れました。
「XenMobileの管理ツールには、MDMとしての機能も備わっています。その一例が、リモートワイプです。iPhoneなどのモバイル端末を紛失してしまったときに、リモートワイプを実行すれば、端末のアプリを遠隔操作で削除できるので、不正な利用を抑止できます」
山田氏の実演が終わると竹内氏は、Tech PreviewのはじまっているReceiver X1について解説します。
「モバイルシナリオでは、Citrix Receiverの活用が大事なポイントとなります。すでに、Citrix Receiverは、WindowsやLinuxやMac OSなど、数多くのOSに対応しています。これらの多様なOSへの対応をひとつに統合するものが、Citrix Receiver X1になります。AndroidとiOSを除くすべてのOSに対応して、新しいユーザーインターフェースでネイティブのアプリケーションへの透過的なアクセスを実現します」

多様なOSへの対応を一つにするReceiver X1

多様なOSへの対応を一つにするReceiver X1

高度なシステム監視や運用・展開ライフサイクル管理

XenMobileや各種のモバイルワークスペースをユーザーが安心して安定的に利用できるようにするために、シトリックスではシステム監視や管理に優れたサービスも提供しています。その優れたモニタリングやトレンディングについて、再び高木 智範氏が実演を交えて紹介しました。
「一般的なシステム管理では、ハードの状況までは把握できますが、シトリックスのシステム監視では、パフォーマンスやネットワークだけではなく、セッションの中身まで確認し、その録画や監査を実現しています。たとえば、ユーザーの名前で検索して今日はどのデバイスを利用しているのか、どのようなアプリを起動しているのかなどを確認できます。また、ネットワークの監視では、NetScalerを活用して、ユーザーごとのレイテンシーをモニタリングして分析できます。さらに、セッションレコーディングでは、ユーザーの操作をすべて録画できるので、監査資料として役に立つだけではなく、操作の履歴を目視できるので、ヘルプデスクやトラブルシューティングなどにも有効です」

Citrixが可能にするシステム監視

Citrixが可能にするシステム監視

面倒なところはシトリックスが全部請け負うWorkspace Cloud

多くのIT担当者やシステムインテグレータが、頭を悩ませている運用・展開そしてライフサイクル管理において、新たなソリューションとなるWorkspace Cloudも紹介されました。Workspace Cloudは、クラウドを利用してモバイルワークスペースを利用するテクノロジーで「面倒なところはシトリックスが全部やります」と竹内氏は説明します。
壇上には、岩田 勲氏が登場し、新しいワークスペースの定義や設定などをブラウザから集中的に作業する様子を紹介しました。

岩田 勲氏

岩田 勲氏

Workspace Cloud

Workspace Cloudの設定画面

「Workspace Cloudは、管理とワークロードを分離して、面倒な設計やサイジングに検証などを不要にします。クラウドなので、もちろんメンテナンスフリーで、ライフサイクルも自動化されます。日本では段階的に投入していきますが、お客様やパートナーの皆様の多様な運用形態に合わせて、Cloud Connectorを介して柔軟に接続できます」

Workspace Cloudのサービス構成

Workspace Cloudのサービス構成

NetScalerが解決するネットワーキングの課題

続いて、モバイルワークスペースの重要なコンポーネントであるネットワーキングについて臼澤 嘉之氏が登壇し、現代の社会が抱える課題について切り出しました。

臼澤 嘉之氏

臼澤 嘉之氏

「証券取引所のシステムダウンや航空会社の運航システムのトラブルなど、世界的な規模でネットワークを取り巻く障害が発生しています。身近な例では、アプリケーションが遅いとか、サーバーに接続できない、といった問題を経験している人も多いでしょう。こうした課題を解決するには、サーバーの負荷を分散するためにNetScalerを、通信の最適化のためにCloudBridgeを、というソリューションをシトリックスでは提供しています。通信の最適化から負荷分散までをシトリックスの製品で一元化することにより、HDX Insightによる通信の可視化も実現し、総合化のメリットを享受できます」

ネットワークを快適にするシトリックス製品構成

ネットワークを快適にするシトリックス製品構成

さらに臼澤氏は、NetScalerのメリットについて触れます。
「NetScalerが最適化や冗長化できるのはCitrixアプリケーションだけではありません。たとえばMicrosoft ExchangeのADCとして、NetScalerはNo.1の評価を得ています。また、Webアプリケーションに求められる高速化とセキュリティにも、NetScalerは最適なADCとして機能します」
Webアプリケーションの高速化のために、NetScaler MobileStreamは、フロントエンドの最適化によりダウンロードサイズを低くします。またhttp/2プロトコルのサポートで、Webページのロード時間を50%短縮します。そして、これからのWebセキュリティ対策としてトレンドとなる常時SSLに向けて、業界最速のSSLパフォーマンスを実現しています。

NetScalerで業界最速のSSLパフォーマンスを実現

NetScalerで業界最速のSSLパフォーマンスを実現

「Software-deficed Workplaceを実現するために、シトリックスでは『配信ネットワーク』『ワークスペースサービス』『モビリティアプリ』、さらに『インフラコンバージェンス』の分野に、多様なソリューションを提供しています。そして、これらを個別に揃える手間とコストを削減するために、Citrix Workspace Suiteを提供しています。お客様のモバイルワークスペース構築のために、ぜひスイート製品をご検討ください」と竹内氏はワークスペーステクノロジー最前線のまとめを語った後に、シトリックスの提唱する新しい働き方をイメージしたビデオを紹介しました。

オールインワンのスイート製品

オールインワンのスイート製品