Amazon Web Servicesで仮想アプリケーション&デスクトップをクラウドに発展させる

CitrixとAWSによるデスクトップ仮想化セミナー

対談者

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シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
プロダクトマーケティング部
シニアマネージャー 竹内裕治氏

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アマゾン データ サービス ジャパン株式会社
技術本部 エンタープライズソリューション部
部長/ソリューションアーキテクト 片山暁雄氏

アマゾン データ サービス ジャパン株式会社と、仮想アプリケーションおよび仮想デスクトップのトップベンダーであるシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社。両社のコラボレーションは、IT市場にどのようなビジネスの価値や可能性をもたらすのでしょうか。その将来性やサービスの特長を確かめるために、両社を代表するアーキテクトと製品責任者が対談しました。

両社の製品・サービスの特徴および将来の方向性について

—お二人の簡単なプロフィールと担当されている製品やサービスの特長について、教えていただけるでしょうか。

片山:
アマゾン データ サービス ジャパン株式会社の技術本部で、エンタープライズソリューション部の部長とソリューションアーキテクトを努めている片山です。企業のお客様に対して、技術面でサポートしたり、当社の製品の紹介を行っています。最近では、クラウドファーストを強く認識されている企業様が多く、クラウドをうまく使いたいというニーズが高まっています。それに対応するために、エンタープライズソリューション部としては、仲間のアーキテクトと協力して、お客様に対応しています。

アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)は、初期費用をかけずに始めていただけるクラウドサービスです。本格的なエンタープライズシステムの構築からまずはコストをかけずに試してみたいとか、新しいビジネスに採用したいというものまで、幅広い要望にお応えできるのが特長です。従来のITでは、ハードやOSにミドルウェアやアプリケーションに開発環境などの調達に初期投資がかかるので、新規の案件にはブレーキがかかっていました。それに対して、AWSは初期費用なくスタートでき、重量課金制で使ったら使った分だけを払えばいいので、新しいサービスを始めやすいのです。

小さくはじめて、必要に応じてサイズを大きくでき、いらなくなった場合には消してもらえる、という特長のあるサービスを30以上提供しています。また、価格についても、過去8年間で43回の値下げを行っており、お客様にとっては利用し続けると、どんどん値段が安くなっていくクラウドサービスとなっています。

竹内:
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社で、プロダクトマーケティング部シニアマネージャーの竹内です。私は、入社してから12年になり、主にソフトウェア製品のマーケティングを担当してきました。現在は、XenAppとXenDesktopを担当し、お客様にいかに安全に快適に仮想アプリケーションや仮想デスクトップを使ってもらうかをお伝えしています。モバイルファーストとクラウドファーストが市場の意識が向いている方向であり、お客様の注力する分野だと思います。当社では、それに加えて、エクスペリエンスファーストというコンセプトを掲げています。これは、お客様のエクスペリエンスを最優先に考え、それをもとに、製品を開発していこうという姿勢を表すものです。情報のインフラがクラウドサービスになり、利用するユーザーの環境がモバイル中心になったときに、どこにいてもビジネスの環境を快適かつ安全に利用できるエクスペリエンスを提供することが、当社の仮想化技術や製品、そしてサービスの使命だと思っています。

AWSとCitrixによるソリューションの魅力と可能性

—なぜ今回、両社はAWSとCitrixというソリューションをお客様に提案されたのでしょうか。

竹内:
DSC03139私どもの製品は、これまでずっとオンプレミスが中心でした。設計・調達・構築・準備・導入、そして運用までを、お客様の環境で構築してきました。それがクラウドを利用することで、徹底的に時間を短縮できるようになります。またクラウドでは、本稼動を開始してからの伸縮が柔軟で、システムの展開を考えると願ってもない環境になります。そして、これからクラウドの利用が当たり前になっていくと、多くのお客様は、オンプレミスで維持しているサーバーとクラウドのハイブリッドな環境を両用するようになるので、それを統合的に管理する仕組みも必要になってきます。そこで、まずは世の中に支持されているクラウド基盤としての優先順位として、AWSが当然の選択だと思っています。もともと当社の商用ハイパーバイザ (hypervisor) のXenServer と同じ根っこを持つ(コアモジュールを共有する)XenハイパーバイザをインフラにするのがAWSですから、以前から親和性が高いことはわかっていました。

片山:
DSC03108仰る通りで、オンプレミスにVDIを構築すると、ピークに合わせてリソースを用意する必要があります。夜間は使われていないけれども、従業員が増えればシステムを拡張しなければなりません。また、VDIでは非常に多くのクライアントを管理するので、その管理コストも負担になります。それがクラウドを使うと、そのすべてをベンダーが吸収してしまうので、企業にとって非常に多くのメリットが得られます。またクラウドなので、ネットワークさえつながっていれば、場所を選ばずに仕事ができるようになります。AWSのお客様企業の中でも、時間や場所も選ばずに働けるようになって、首都圏から地元に戻って仕事をするとか、新しいワークスタイルを取り入れた例もあります。さらに場所だけではなく、デバイスも選ばなくなるので、タブレットやスマートフォンでも利用できるようになります。

このようなワークスタイルの変化に追随するためには、インフラもアプリも対応しなければなりません。AWSの基本はインフラの提供にあるので、その上で、お客様の要望に応えられる仮想化アプリケーションやデスクトップが必要になります。そこに、実績のあるシトリックス製品が入ることで、お客様企業の既存の資産をうまく組み合わせて、オンプレミスとクラウドをハイブリッドで使えるようになれば、大きなメリットになると思います。

竹内:
確かにお客様にとって、必要なときにいつでもどこでも仕事ができる環境を手に入れることは、とても重要です。モバイルは、その端末がアクセスする先にクラウドがなければ、利用は伸びていきません。クラウドによって、必要とするサービスやシステムが、いつでも利用できるようになってこそ、モバイルが活きてくるのです。

片山:
モバイルで働く環境のために、そのインフラを企業の情報システム担当者が構築することに価値はありません。それはむしろ、クラウドベンダーやシトリックスのノウハウで、なるべく早く構築して、企業はそれを使って、いかに現場の業務の生産性を上げるかが求められています。例えば、AWSのサービスにあるロードバランサーを使えば、モバイルからのアクセスをより効率よく処理できるというメリットもあります。AWSとCitrixという実績のあるインフラとソリューションの組み合わせは、すべてのユーザーにメリットがあるのです。

また、インフラという観点では、セキュリティとコンプライアンスにもメリットがあります。AWSのインフラは、もっとも高度な水準にセキュリティ対策を合わせていますので、単独の企業では投資できないほど高度なセキュリティ対策を安価に利用できるのです。さらに、データの暗号化も無料で提供しているので、ネットワークからも安心して利用できます。

ユーザーが利用するサービスのイメージとは

—実際にAWSとCitrixに興味を示されたお客様は、どのようにサービスの利用を開始すればいいのでしょうか。

竹内:
DSC03117イメージしやすい導入は、既存のオンプレミスの環境が手狭になってきたときに、クラウドを使って拡張していくというシナリオです。オンプレミス環境にある仮想デスクトップのユーザーを増やしたいと思われたときに、AWS+Citrixを使われるのが、スムーズな選択だと思います。おそらくクラウドに対する信頼性や社内システムとの整合性などの要件で、まだ決断されていないお客様も数多くいらっしゃいますが、私は期は熟していると思います。タイミングは、決して早くはありません。ただ、一気にクラウドに移るのではなく、既存の環境をそのままの状態でクラウドに展開できるようにするために、当社もテクノロジーを提供しながら、協力していきたいと考えています。

片山:
同じテクノロジーをAWSとオンプレミスで使うために、当社でも専用線による接続やVPC(バーチャルプライベートクラウド)などのアクセス方法を提供しています。それらを使えば、オンプレミスとAWSのハイブリッド利用が可能になり、社内システムの更新がきた段階で、すべてをクラウドに移す、といったマイグレーションも可能です。クラウドかオンプレミスか、という0と1の理論ではなく、クラウドという選択肢を増やして、上手く使うべきだと思います。仮想アプリケーションやデスクトップを利用されているエンドユーザーの方々にとっては、オンプレミスであってもクラウドであっても、見た目のGUIや操作性などのユーザビリティには違いがないので、移行はスムーズになると思います。

竹内:
クラウドによる仮想化環境については、中小企業よりも大企業の方が、いろいろな要因を論理的に判断して、明快な意識を持ってオンプレミスからクラウドへと乗り換えるのではないかと思います。企業の大小に関わらず、エンドユーザーは環境の変化に対して抵抗を示しがちですが、大企業の方がスタンダードを決めたら、それに向かってダイナミックに動いていくと思いますし、それに期待しています。

片山:
DSC03112AWSのクラウド自体は、企業のIT基盤になるので、AWSとCitrixという新しいテクノロジーを取り入れて、もっと効率よく働けないか、という取り組みは今後も増えていくでしょう。AWSは初期費用がいらないですし、様々なサービスがありますので、新しい取り組みを行いたい時でも、AWSならば簡単に試せます。例えば、AWSのAmazon WorkSpacesを試してもらって、リモートで働くとはどういうことかを体験してもらうのもいいでしょう。それからシトリックスの製品を選んでもらい、違う機能を組み合わせて使うなど、小さく始めて大きく伸ばしていくこともできます。また、NetScalerもAWSのマーケットプレースで買えるので、ユーザー数が増えてきたときに、小さなNetScalerを置いてみて、どのような機能があり、使ったらどうなるのかなども、手軽にお試しいただけます。私は、スモールスタートから大規模な導入や移行になるケースも増えてくるのではないかと期待しています。

竹内:
確かに、仮想化という取り組みにおいては、当社のお客様はほぼすべてスモールスタートでした。その意味では、オンプレミスからクラウドへの移行も、最初はスモールスタートになると思います。それをどのくらいの期間をかけて、大規模へと移行していくのかが問われているのかもしれません。モバイル化へ進むのが当たり前になったように、何年かすれば企業IT基盤のクラウド化は当たり前になるのでしょう。両社が協力して、クラウド化への期間をどれだけ短縮できるのかが、重要なのだと思います。

今後の両社の活動予定

—これから両社は、どのような形でお客様のクラウド化への対応に取り組んでいかれるのでしょうか。

竹内:
ITの世界の変化は、お客様の環境の変化でもあると感じています。私の長いマーケティング経験の中でも、当社のパートナーはかなり変わってきています。今回のアマゾンのように、クラウドとモバイルに強いパートナーが、多くのお客様に支持されていると肌で感じています。それだけに、当社としてアマゾンに期待しているところは大きいです。
当社では、今年から来年にかけて、クラウドでのサービス展開を自動化する新しい製品の提供を計画しています。こうした製品は、当社が販売するのではなく、サービスプロバイダーの方々に部品として使ってもらうようになるでしょう。当社では、クラウドがお客様にとってのゴールだとは考えていません。ただ、私どもの考える理想のワークスペースというゴールを考えると、そのインフラがクラウドであることは明白です。また、実際に使われる場面では、AWSが大きく支持されると期待しています。

片山:
AWSを選んでいただければ、仮想アプリケーションやデスクトップだけではなく、それ以外の業務サーバーや開発サーバーなどのさまざまなコンポーネントが利用できるようになります。AWSであれば、VDIだけではなく、他のサービスをうまく組み合わせていただいて、お客様の求めるワークスペースを構築できると思います。その一例が、ハイパフォーマンス・コンピューティングではないでしょうか。AWSが提供しているC3というサービスは、製造業のお客様の解析や並列計算などに多くご利用いただいています。

竹内:
そうですね。当社のお客様も、製造業では3D CADの仮想化に注目しています。これまでは、エンジニアに対して一台とか二台の高価なワークステーションを用意していましたが、セキュリティ対策やグローバルでの展開を考えたときに、3D CADを仮想化できれば、多くの問題を解決できるのです。

片山:
オンプレミスで高価なハードウェアを保有してしまうと、通常は5年ほどはリプレースできません。しかし、AWSでは最新のハードウェアが自動的にクラウド側で更新されるので、常に新しいテクノロジーを使い続けることができるようになります。最近でも、暗号化やSSDなどインフラの機能面をどんどん強化しています。

竹内:
確かに、オンプレミスでハード中心に考えると、古くなっても4~5年は我慢して使い続けなければなりません。しかし、ネットワーク、グラフィックや音声処理、モバイルなどのエリアはテクノロジーの変化も激しいので、それを利用できるかどうかが企業の競争力につながる重要な要素ですね。

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片山:
まずは、お試しいただきたいです。AWSの性能やセキュリティは、常に向上しているので、その信頼できるインフラの上に、仮想アプリケーションやデスクトップを構築して、いままでのシステムをクラウドで使える環境を手に入れるのは、企業にとって重要な取り組みだと思います。

竹内:
シトリックス・ジャパンとしても、今後もアマゾンと共同でセミナーやイベントを開催していきます。プロモーションも展開していきますので、これからの両社の活動に注目していただきたいと思います。

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