トレンドから学ぶ 金融サービス革新のためのIT活用

進化するセキュリティ強化とモバイル活用

2015年10月中旬、金融総合専門紙「ニッキン」(日本金融通信社)が主催する国内最大の「金融機関のためのITフェア」「FIT(Financial Information Technology)」(金融国際情報技術展)が開催されました。その中で、導入が加速する「デスクトップ仮想化」「アプリケーション仮想化」はセキュリティと業務生産性を両立させるためのソリューションとして金融業界での利用が活発化しているとの認識が伝えられました。今回はシトリックス・システムズ・ジャパンのセッションの内容をもとに金融業界におけるデスクトップ仮想化のトレンドをご紹介します。

本格化する金融業界でのデスクトップ仮想化導入

セッション前半では、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 エンタープライズ営業本部 通信・金融サービスインダストリ営業統括部 統括部長である福永哲也氏(以下、福永氏)から、金融業界におけるトレンドやデスクトップ仮想化の導入効果に関して紹介がありました。

冒頭、福永氏は、国内バーチャルクライアントコンピューティング市場におけるシェアを維持していることを述べるとともに金融業界における課題を解決するソリューションがシトリックスにはあることを強調しました。

その金融業界における仮想化の導入目的は大きくは「セキュリティ、運用管理の効率化」と「生産性・利便性の向上」の2つに分かれると言います。それぞれの傾向をご紹介します。

仮想化導入の目的

Webブラウザの仮想化

金融業界では最も重要な要素であるセキュリティや情報漏えい対策の目的で、デスクトップ仮想化、アプリケーション仮想化ソリューションの導入を推進してきました。今までデスクトップ仮想化の導入は、物理PCからのデータ漏えい防止やオフショア環境でのセキュリティ確保のための導入が主流でしたが、最近ではこれらの対策に加えてサイバー攻撃を意識した導入が増えてきていると福永氏は言います。

具体的には金融機関においてブラウザを仮想化して利用することが増えていると言います。背景として行内や社内システムではWebブラウザとして最新ブラウザIE 11を利用しているケースは少なく、IE 6、7、8といった旧バージョンのWebブラウザを利用している場合が多いことがあります。その理由として行内アプリケーションのWeb化は進んでいるものの互換性の問題で簡単に行員のブラウザを最新にアップグレードできないのです。このような旧ブラウザを利用する状況では、外部のインターネットにアクセスする場合にセキュリティリスクが増します。しかし、旧ブラウザを利用しないと行内のアプリケーションが動作しないというジレンマに陥るのです。

webブラウザの仮想化

福永氏はこの解決策として、画面転送方式によるブラウザの仮想化が有効であると言います。行内システムごとにIEのバージョンに対応するためにIE 6、7、8など複数バージョンをXenAppで配信して利用することで、外部へのアクセスは最新ブラウザを用い、行内システムは互換性のあるブラウザを用いることができるようになります。また、XenApp上のIE11だけを外部インターネットアクセスのセグメントに配置し、行内システムから直接インターネットにアクセスさせないように構成することも可能になるため、セキュリティリスクの軽減が図れると言います。

ブラウザを分離

シトリックスのセキュリティ対策ソリューションの詳細はこちらをご確認ください。

渉外活動効率化のためのタブレット活用が加速

福永氏は最近の案件の傾向として、より戦略的な課題解決のためにデスクトップ仮想化の導入が加速しており、特に金融業界におけるニーズは「リモートアクセス、モバイルワーク」「ペーパーレス」「在宅勤務によるワークライフバランスの向上」の3点に集約されると言います。

金融業界では、例えば、今までお客様の要望を聞き一度帰社してから見積りや提案書作成などを行っていた渉外業務が、デスクトップ仮想化を利用する事によりタブレットを利用して外出先等からリモートアクセスにより安全に利用することが可能になります。そのため、セキュリティを確保した状態で社内システムにアクセスでき、時間をかけずにタイムリーにお客様への提案ができるようになります。

多くの金融機関では、外部からのタブレット利用を今まで社内でしか実現できなかった社内資料の閲覧やCRMなどのアプリケーション利用、契約業務の実現などで行っています。これらの業務にはデスクトップ仮想化ソリューションが活用されており、その最大の理由は画面転送型の利点であるデータがローカルに一切残らないことがポイントであると言います。また、多くの金融機関ではタブレット紛失時の対策としてSIMモデルのタブレットを採用しており問題発生時にSIMを停止して接続できないような設定を行っていると言います。

Excelの互換性対応でXenAppを活用

また上記で説明したブラウザの互換性問題と同様のケースとしてExcelマクロの互換性を解決する手段としてもXenAppを用いるケースがあると福永氏は言います。金融機関にはExcel 2003など旧バージョンベースのマクロが多数存在しており、そのほとんどのExcel表はシステム部門管轄ではなく、各部門で作成管理されている背景があります。システム部門は最新版のExcelにバージョンアップを行いたいのですが、それが原因で部門業務が回らなくなるケースがあります。そのような場合にXenAppを用いて旧バージョンのExcelを配信することで課題を解決している金融機関もあると言います。

社内および社外からのアクセスを識別

多くのデスクトップ仮想化ソリューションでは、社内および社外からのアクセスを区別することができません。しかし、セキュリティ上、外部からのアクセスでは見せたくないアプリケーションは表示させないなどの設定が必要になる場合があります。このような場合、セキュリティを最高のものに保つため内部用と外部用の仮想デスクトップ環境を構築してセキュリティを担保する必要があります。この方法ではコストもさることながら管理が煩雑になるため現実的ではないでしょう。
この解決策として、NetScalerを導入しHDX SmartAccess機能を活用することで簡単に内部からのアクセス、外部からのアクセスを識別することに加えてきめ細かな設定が可能になります。これにより従来必要とされていた内部用、外部用の環境を個別に構築する必要がなくなります。福永氏は、このようなHDX SmartAccess機能の活用を行っている金融機関が増えてきており真にモバイル活用を進めている金融機関が増えてきていると言います。

HDX SmartAccess機能

加速するクラウド・DaaSの活用

また、福永氏は金融機関においてもクラウドやDaaSの活用が進んでいると言います。セッションの中で富士通仮想デスクトップサービスを利用している伊予銀行様や東邦銀行様、IIJのサービスを利用している常陽銀行様、IBM SoftLayerを利用している地方銀行様の事例を挙げシトリックス製品のクラウドやDaaSへの広がりや対応に関しても説明を行いました。特にAmazon Web Services (AWS) やMicrosoft AzureもFISC安全対策基準への対応ドキュメントをリリースした背景もあり、今後シトリックス製品を活用したパブリッククラウドへの展開が加速することを予測しました。

シトリックスが金融機関から選ばれる理由

福永氏は多くの金融機関がシトリックスのソリューションを選択した理由に関して、実際にお客様が検証したケースを踏まえて幾つか補足しました。

XenDesktop、XenAppが採用された理由の一つに圧倒的な「パフォーマンス」が挙げられます。たとえば大手金融機関が行ったMicrosoft Officeアプリケーションを用いた他社のソリューションと比較した実証実験では、ネットワーク環境が256kbpsの場合にはさほど変わらなかったパフォーマンスでしたが、128kbps、64kbpsとネットワーク帯域が狭くなっていった場合にシトリックス製品だけが問題なく動作したと言います。また、最近ではCisco JabberやMicrosoft Skype for Business (旧Lync)などのユニファイドコミュニケーション系アプリケーションの利用や動画などの再生も金融機関でも行われてきており、シトリックスソリューションのパフォーマンスの良さが圧倒的な優位性になると福永氏は述べました。

さらにシトリックスの優位性は「豊富なデバイス対応」にあると言います。たとえばシトリックスでは、本年提供が開始された「Citrix X1 Mouse」は仮想環境においてiPadを活用する際に利用可能なマウスを提供しています。

WACOM Pen Tablets STU-430

WACOM Pen Tablets STU-430

セッションでは、Citrix X1 Mouseに加えて参考出展としてWACOM Pen Tablets STU-430とXenDesktopとの連携のデモが行われました。このWACOM Pen Tablets STU-430は、液晶サインタブレットでサイン入力に特化したハードウェアデバイスです。1024レベルの筆圧機能により自筆に近いリアルな表現と高精度な読み取り機能によりサイン固有の様々な特徴を捉えることが可能になります。このWACOM Pen Tablets STU-430とXenDesktopを組み合わせることで金融機関は、サイン業務が必要なサービスの迅速化や煩雑な入力業務の軽減にお役立ていただけるようになります。

まとめ

金融機関はXenDesktopやXenAppにより企業内アプリケーションを自席にいるような感覚で外部から操作可能になります。XenDesktopやXenAppを採用することでセキュリティリスクを軽減するだけでなく行員や従業員の生産性向上やワークライフバランスに対応することが可能になります。
シトリックスの豊富な実績と経験、そして製品性能の圧倒的な優位性が金融機関の戦略的なモバイル活用による競争優位な戦略の実現をサポートしています。

セッション終了後にシトリックスブース前に集まる聴講者やお客様

セッション終了後にシトリックスブース前に集まる聴講者やお客様