タブレットの業務活用

タブレット活用

タブレット活用

近年、通信インフラの高速化やクラウドコンピューティングの浸透、モバイルワークへの要求を背景にタブレットやスマートフォンなどのスマートデバイスを業務で活用する動きが加速しています。

調査会社のIDC Japan株式会社が発表した2014年第3四半期 国内タブレット端末市場規模では、法人向けタブレットに限ると、Windows OSおよびiOS搭載タブレット需要が堅調に推移しており前年同期比36.3%の成長になっているといいます(詳細はIDC Japan社のリリースを参照)。

コンシューマライゼーション

2011年末に米ガートナー社が発表したIT予測レポート「Gartner Predicts 2012」において“企業におけるITのコンシューマー化とクラウド化がITの方向性を変換していく”という報告がなされました。

ITのコンシューマー化(ITコンシューマライゼーション)とは、一般消費者がプライベートで利用しているデバイスやソフトウェアが、企業ITに活用される概念です。まさに国内においてもITのコンシューマライゼーション(消費者先導のIT)が、企業の情報システムでも活用され始めています。

企業は、自社の情報システムに「IT コンシューマライゼーション」を積極的に取り入れていくことで、社員の満足度や生産性の向上、コスト削減など多くのメリットを享受できます。しかし、その一方で企業においては管理するデバイスが増えることによるセキュリティリスクやデバイス、アプリケーションの管理、コンプライアンスといった多くの課題も抱えることになります。

本記事では、タブレットを業務で活用しようとしている企業に向けてメリットや活用シーン、そしてデメリットとそれを解決するための方法などをご紹介します。

それでは最初にタブレット活用のメリットから見ていくことにしましょう。

タブレット活用のメリット

タブレット活用のメリットは、タブレットデバイスそのもののメリットに大きく依存するため、ここではまずタブレットデバイスのメリットをご紹介します。

タブレットデバイスは、パソコンと同等のスペックを維持しながらスマートフォンに比べて画面が大きく見やすく扱いやすい特長があります。マウスやキーボードなど入力デバイスを用いるパソコンとは異なり、一般的にはタッチパネルを用いて直感的に操作可能な点やノートパソコンに比べて軽量なため持ち運びしやすい点がユーザーに受け入れられています。

タブレットデバイスのメリットは、以下の点に集約されます。

1. 軽量で持ち運びしやすい
2. すぐに使える
3. バッテリー寿命が長い
4. 直感的に操作可能
5. 画面が見やすい

例えば、Apple社のタブレットであるiPad Air 2(2014年発売)は、2010年に発売された初代iPadに比べてCPU性能は12倍、GPU性能に至っては180倍にも及んでいます。また、特筆すべきは437グラムという軽さです。可搬性が高いだけでなく、パソコンと違い、使いたい時に一瞬で起動でき、画面を指でタップするだけでアプリケーションの起動から利用まで簡単に操作が可能です。

情報をいつでも、どこでも、手軽に活用可能なタブレットをビジネスシーンで活用することで、企業は、営業力強化やペーパーレス化など俊敏かつ効率的な経営の実践とコスト削減を行うことが可能になります。

それでは、次のタブレットデバイスのデメリットに関してご紹介します。

タブレットデバイスのデメリット

タブレットデバイスのデメリットは、ハードウェアキーボードがないため簡単なアプリケーションやWebサイトの閲覧程度であればソフトウェアキーボードで問題はありませんが、本格的なビジネスアプリケーションでは不便な点も多々あります。ほとんどのタブレットデバイスはBluetoothキーボードに対応しているため、ハードウェアキーボードと組み合わせて使うことは可能ですが、iPadなどではマウスとの組み合わせが出来ない仕様であるため、微妙な感覚での選択や業務に必要な高度なアプリケーション利用となるとパソコンが必要になると言われています。

また、タブレットデバイスに最適化されていないWebサイトやiPadで表示できないFlash、タブレット版の少ないタブレット用業務アプリケーションの品揃えなど本格的に企業で活用するとなると対策は必要になることはご理解いただけるのではないでしょうか。

また、それと同時に非常に便利なタブレットではありますが、企業で使うとなると多くの課題があることも理解しておく必要があります。

企業のタブレット活用における課題と解決策

企業においてタブレットをビジネスに活用する流れは加速しています。しかし、コンシューマー利用から先行して発展してきたタブレットやスマートフォンの利用は、許可されていない個人のデバイスやコンシューマー向けのクラウドサービスを仕事で使うシャドーITの脅威が広がっている事実もあります。従業員から見れば生産性を向上させるためにタブレットやスマートフォンを活用する一方で、企業から見ればセキュリティ面で大きなリスクを抱えています。
そのために企業としてはリスクを排除するための包括的なITシステムの提供とともに適切なルール作りが必要不可欠になります。
課題を整理して解決策をご紹介します。

アプリケーションおよびデータに関するセキュリティ

簡単に持ち運び可能なタブレットにおける最大の課題はセキュリティであると言っても過言ではありません。社内でアクセス可能なアプリケーションが社外でも利用できてしまうということは、情報システム部門の監視が行き届かないことでもあります。

タブレットに標準で搭載されたアプリケーションや個人利用のアプリケーションと会社で提供するアプリケーションがタブレット内で同居するため、重要な情報をアプリケーション間でコピーして、個人メールやSNS経由で情報を漏えいする可能性もあります。

このような課題を解決するためのソリューションがMAM(モバイルアプリケーション管理)です。MAMは、タブレット上で動作する企業アプリケーションとそのデータを個人アプリケーションとは別に適切に管理します。具体的には、「モバイルアプリコンテナ」と呼ばれる技術を用いて、個人のアプリケーションと企業のアプリケーションとを完全に分離することでアプリケーション間のデータのコピーなどを禁止することが可能になります。一般的にMAM製品では、企業のポリシーに応じてアプリケーションごとに適用が可能になります。

MAM製品であるCitrix XenMobileでもモバイルアプリコンテナという手法を利用して情報の漏えいを防ぐ設計になっています。アプリごとの認証やデータの暗号化はもちろんですが、漏えい防止のための機能制限(例えばコピー禁止など)やアプリケーションごとのVPN(マイクロVPN)などを搭載して情報の漏えいを防ぐように設計されています。これらの機能は目に見えない内部的な仕組みであるため、ユーザーの使い勝手に影響はありません。

さらに、持ち運びやすいという特性の裏で、紛失や盗難のリスクも高く、そこから情報漏えいが起きる危険性があります。これはノートパソコンでも同じですが、可搬性が高さに応じてリスクも高まります。
この課題に対して、Citrix XenDesktopなどによる、デスクトップ仮想化、アプリケーション仮想化が有効です。このソリューションでは、既存のWindows環境を、その画面だけをタブレットデバイスに送信するため、デバイス側にはキャッシュも含め、データが一切残りません。そのため、デバイス経由での情報漏えいを抑止する効果が期待できます。

デバイス管理

企業が管理すべきモバイルデバイスは、数も種類も増え続けています。これらのデバイスへの統制や管理体制を整備することが企業にとって急務の課題です。たとえばタブレットの盗難や紛失時の漏えい対策や不正利用防止、端末情報の取得やポリシーの適用といったモバイルデバイスの管理を企業は行う必要があります。

それらに対応するソリューションが、MDM(モバイルデバイス管理)です。Citrix XenMobileなどのMDM機能を有するソリューションを企業が適用することで、
パスワードロックの強制化や盗難・紛失時のリモートロック/ワイプなどの機能により、悪意ある第三者による操作を防止することが可能になります。
また、カメラやBluetooth、SDカードなど業務に必要のない機能を無効化するなどのポリシー適用も可能です。

ただし、個人所有のBYOD環境を推奨する企業にとっては、個人領域まで管理するためMDM製品を導入出来ない状況も考えられるため、そのような場合にはMAM製品や事項で説明する仮想デスクトップで担保する必要があります。

企業内のWindowsアプリケーション資産の展開

圧倒的な国内タブレットシェアを誇るiOSを搭載したiPadは、ご存知の通りApple社の製品です。WebアプリケーションであればiPadからSafariブラウザを用いて動作させることは可能なのは言うまでもありません。しかし、企業で活用されている多くのアプリケーションがWindows上に構築されたアプリケーションです。つまり、iPadやAndroidデバイスを用いて、業務を行うためのWindowsアプリケーションを動作させることができませんことが問題になってくるのです。Windowsアプリケーションでも各タブレットにネイティブに開発されたクライアントアプリケーションがあれば問題はないかもしれませんが、その多くのアプリケーションはタブレット用にネイティブ対応していない事実もあります。

このような課題を解決するために脚光を浴びているソリューションが、デスクトップ仮想化、アプリケーション仮想化です。前者のデスクトップ仮想化は、データセンター側で個人のWindowsデスクトップ環境を用意して、そのイメージをiPadやAndroidデバイスに配信する技術です。ユーザーはタブレットを用いてWindows OSを利用することが可能になります。主な製品としてCitrix XenDesktopなどがあります。後者のアプリケーション仮想化は、Windowsアプリケーションだけをデバイスに配信します。代表的な製品としてCitrix XenAppなどがあります。ユーザーはタブレットを用いてWindows上で動作するアプリケーションのみを利用することができます。

このソリューションを活用することで、タブレットからでも使い慣れた社内Windowsアプリケーションを利用することが可能になるので、既存の社内アプリケーション資産を有効活用可能になるのです。

このデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化技術は、画面イメージのみをタブレットに配信し、タブレットからはキーボード操作やタッチ操作の情報だけをサーバーに送信します。実行は、全てデータセンター側で行われます。このようなアーキテクチャーから副次的な効果として、情報漏えいが起こらない高いセキュリティが担保されるため多くの企業で採用されています。

以前、シトリックス社では世界17カ国で合計1,700人の決定権を持つIT部門の管理職を対象とした「ビジネスにおけるモビリティ(原題 : Mobility in Business)」に関しての調査結果を発表しました。その中で「どのようなテクノロジーを通してモビリティ戦略をサポートしていますか?もしくはサポートする予定ですか? 該当するものをすべて選んでください。」という問いに対してモバイル機器管理(48%)、モバイルアプリケーション管理(47%)、アプリケーション仮想化(41%)、デスクトップ仮想化(40%)、ファイル共有・同期・ストレージ(40%)、VPN(39%)があげられました。このことからも分かる通り、上記の課題はほとんどの企業で抱えている直近の課題であり、多くの企業がデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化、MDM、MAMでそれらを乗り切ろうとしていることが顕著に表れています。

タブレット活用シーンと導入成果

タブレットを活用することで、以下のような導入成果が期待できます。

  • 営業力強化と効率化
  • ペーパーレス化
  • 会議効率化
  • 接客サービスの強化
  • 現場作業員の効率化
  • 経営層の意思決定スピードの迅速化
  • 従業員の満足度向上
  • 従業員スキルアップのための教育

それでは具体的に見ていきましょう。

営業現場(移動編)

外出の多い営業は、就業時間の2割から3割が移動時間を占めていると言われています。移動時間中にメールや社内業務を処理することで残業を減らし、より多くのお客様に会うことが可能になります。そのためタブレット活用により大幅な業務効率の向上を図ることができるのです。

営業現場(商談編)

商談の際にタブレットデバイスを活用し、紙のカタログでは説明しきれないような場合にも動画などを活用し、商品の理解と強い印象を与えることが可能になります。また、在庫の引き当てや見積りの作成、最新商品情報の確認、商談の場での資料の修正など、今までは会社に戻らないと出来ないような作業をその場で行い、商談の補助ツールとして活用することで商機を逃しません。

医療

医療現場において、今までは担当医が外出先や帰宅時に患者のレントゲンやカルテなどの詳細情報を確認することは極めて困難でした。デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化とタブレットを活用することで病院にいる時と遜色のない情報をタブレットで確認することが可能になります。これにより医者のワークライフバランスと質の高い医療の両立が可能になります。

設計

3D CADなどの高度なグラフィックスアプリケーションでは、ワークステーションを利用します。このような設計現場では、会議やお客様先へのプレゼンテーションなどの際にもワークステーションの持ち運びを行っていました。デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化ソリューションを用いることでタブレットから簡単に普段使い慣れた3D CADアプリケーションを利用することができるため設計者の負担を大幅に軽減します。

施設管理

施設を巡回し管理する業務では、施設の状態を確認し所定のフォーマットに紙ベースで記述します。また、カメラなどで状態を保存する作業などを行います。そして帰社後にそれらをシステムに入力したり、報告書をまとめるといった作業を行います。タブレットを活用することで、現場で確認を行いながら施設の情報を入力するだけでなくカメラ機能を用いることも可能になるため大幅に作業効率を高めることができます。

乗務員

飛行機や鉄道、船などの乗務員は重いマニュアルなどを持参するケースが多々あります。タブレットを活用することで軽量化を図れるだけでなく、マニュアルを瞬時に検索することが可能になります。また、乗務日誌やスケジュール確認などにタブレットを活用することで業務の効率性を高めることも可能です。

教育現場

教育現場でタブレットを活用することで、動画や音声などを用いたビジュアルなコンテンツを用いることが可能になり、理解を促進しやすい質の高い教育を行うことが可能になります。また、紙によるテキストと違い、教育内容の変更も柔軟に対応可能なため最新の情報を提供できるのと同時にペーパーレス化にも貢献します。

タブレット活用事例

佐賀県

佐賀県では、タブレットと仮想デスクトップ環境を活用することで、現場での業務効率の改善を図っています。たとえば現場で発生している問題の対応の持ち帰りが49%削減し、実質的な対応時間を大幅に削減しています。また、子育てや介護のために、働きたいのに働くことができない女性にとってITを活用することで働き方の選択肢が増えることは家族を取り巻く多くの社会的課題の解決にも取り組んでいます。

東邦銀行

東日本大震災からの復興に向けた福島への貢献を最優先事項に掲げる東邦銀行は、福島県を中心に115カ店を構える東北地方最大級の金融機関です。同行の基本方針の一つである成長戦略の着実な遂行は、お客様から選ばれる仕組みの強化、多様な金融サービスの提供、変化するマーケットへ迅速な対応などを重点に置き、地域とともに”一歩一歩”着実に前進することを目指しています。2014 年、同行はCitrix XenAppと約1000台のタブレットを導入し、顧客ニーズの迅速な把握と活動効率の向上を実現しています。その結果、安全で効率のよい渉外活動で訪問件数を1.5倍に拡大しました。

マイアミこども病院

マイアミこども病院ではタブレットなどのITを活用しリアルタイムに患者のデータにアクセスすることで多くのこどもの命を救っています。シトリックス製品は、マイアミこども病院の電子カルテ、ビデオ会議、安全なモバイルワークをサポートしています。

中外製薬

中外製薬では営業部門に約2,100 台のiPad を配布してモバイルワークを実現しています。各MR は、外出先やお客様先などからiPad を利用して、Windows 環境で構築されているMR 営業支援システムや人事/経理系申請ワークフローなどを利用して業務を効率化しています。