Citrix Synergy 2010総集編(その1)

パートナー企業との協力体制が日本での“work.shift (ワーク.(ドット)シフト)”実現の鍵

Citrix Systemsが5月に開催した「Citrix Synergy 2010(Synergy)」カンファレンスでは、いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも利用できる制限のないアクセス環境を実現することで、仕事のやり方を根本から変化させる“work.shift”というコンセプトが発表されました。

“work.shift”を実現することで、たとえば家族全員で夕食が楽しめる時間に家に帰り、食事を楽しんだ後に自宅で仕事をしたり、病気の子供を看病しながら自宅で仕事したり、国や文化、言語などの違いを超えた共同作業を可能にしたりすることができます。

Synergyでは、この“work.shift”をさらに前進させるソリューションとして、新しいデスクトップ仮想化ソリューションであるCitrix XenClientが発表されました(*1)。ローカルPCの仮想ソフトウエア上で仮想マシンを起動し、仮想マシンにインストールされているOSのデスクトップを使用する方法です。

XenClientでは、Synchronizer for XenClientを使用することで、オフライン環境で仕事をし、オンラインになったときに更新されたデータを同期したり、最新のデスクトップイメージに更新することが可能です。いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも、セキュアに企業システムにアクセスできる仕組みを実現できます。

Synergyの開催から1カ月あまりが過ぎた現在、マーケティング本部 プロダクトマネジメント&マーケティング ディレクターの足立修氏とマーケティング本部 担当部長の竹内裕治氏に、“work.shift”実現に向けた今後の取り組みについて話しを聞きました。

Synergyで発表された“work.shift”を日本市場にどのように展開していくのでしょう?

足立 今後やるべきことは、大きく3つあります。まずは既存の顧客に対し、我々が考えているデスクトップの仮想化についてきちんと理解してもらうことです。次に、既存顧客をサポートすると同時に、新規顧客に対するアプローチをいかに行っていくか。そして最後に競合対策ですが、これは言うまでもありません。

仮想化による“work.shift”の実現について話すシトリックスの足立修

 仮想化による“work.shift”の実現について話すシトリックスの足立修氏


(*1)Citrix XenClient Expressの評価キットは、Citrixのダウンロードサイトから無償で入手できる。

竹内 デスクトップの仮想化は、今後、大きな成長が期待できる市場であることは疑いのない事実です。ただし、日本ではまだまだこれからの市場であり、足立も話したとおり、まずはこれまでにリーチできていない顧客に対し、仮想化のメリットを理解してもらうことが重要です。

ただし、Synergyで発表された内容が、そのまま日本市場で受け入れられるかどうかも、もう少し考えてみる必要があると思っています。その上で、日本市場においてデスクトップの仮想化により、何を変えることができるのかをしっかりと伝えていきたいと思っています。

iPadでMicrosoft Excelのデモをするシトリックスの竹内裕治氏

 iPadでMicrosoft Excelのデモをするシトリックスの竹内裕治氏

どのような人たちに“work.shift”をアピールしていくのでしょう?

足立 まず考えられるのは、ミレニアム世代(25歳前後の世代)と呼ばれる人たちです。かつて“新人類”と呼ばれていた人たちとは少し違いますが……(笑)。

ミレニアム世代は、生まれたときからゲーム機やPCを使って育ってきた世代であり、このミレニアム世代の生産性をいかに向上させるかが、今後、企業が成長していくためには重要な鍵になります。

また、会社支給のPCや制限の多いシステムに使いにくさを感じている社員に対して、どのように満足度を高め、生産性を向上させるかも重要です。
個人所有のマシンを会社に持ってきて仕事をさせる(BYOC:Bring Your Own Computer)試みも、そのひとつの策でしょう。プライベートとビジネスをいかに切り分け、会社のパワーにすることができるのかを考えなければなりません。Synergyの基調講演で紹介されたXenClientのデモはまさにそれでした。
BYOCは仮想的なデスクトップを利用する仕組みを伴って実践するのが望ましいですが、自ずと企業ITの役割の変化を促進するでしょう。
マシンハードウェア自体のトラブル対応、メンテナンスは社員個人の責任であり、PCメーカーのメンテナンスにお任せするので、ITは業務デスクトップ環境とアプリケーション環境のメンテナンスに専念する。社員もITが
用意するサービスメニューから、セルフサービスでシステムを利用する。など、これも“work.shift”でしょう。

こうした社員のニーズを、現在の日本企業の経営層や管理者がどのように受け入れられるか、そしてシステムの在り方の大胆な変革を実行できるかが、今後、企業が成長できるかどうかの大きなポイントになるかもしれません。

竹内 一方で、最初からこうした新しい仕組みや技術になじめない人たちもいます。ただ、啓蒙活動を行わなければ、いつまでたっても浸透していきません。

昨年、今年と、お客さまにBYOCの話しをしてみましたが、ほとんどが「ふーん」という感じでした。まだまだイメージしてもらえないことが多いですが、希に「それはいいね。うちも考えないと」と言ってもらえるお客さまもいます。特にグローバルで熾烈な競争を展開しているお客様は、自社の優位性につながるITの可能性を真剣に検討していて、さらに我々が意図していない使い方を教えてもらえることもあります。

また、“work.shift”は、シトリックスだけで実現できるものではありません。そこで1社でも多くのパートナー企業と協力していきたいと思っています。たとえば、4月26日にマイクロソフトと共同で発表した「VDIキャンペーン」の提供もそのひとつです。

さらに、Wyseのゼロクライアント「Wyse Xenith」の提供や、McAfeeと仮想デスクトップ向けのセキュリティ製品を共同で開発することなど、Synergyで発表されたパートナー戦略は、日本でも展開していく計画です。

SynergyのデモではiPadが頻繁に使われていました。日本でも発売されましたが、企業での利用が広まるでしょうか?

竹内 デバイスやハードウェアのイノベーションは、今後も続くでしょう。新しいデバイスの活用に関しては、シトリックスはかなり積極的に取り組んでいます。Synergyでも多くのデモでiPadを使っていましたし、シトリックスの社員の多くもiPadを持っていて、Microsoft OfficeをiPadで動かすデモなどをユーザーに紹介しています。

6月1日には、日本でもiPad向けアプリケーションであるCitrix Receiver for iPadの提供を開始しました。Citrix Receiver for iPadを使用することで、XenDesktopやXenAppを利用しているiPadユーザーは、いつでも、どこからでも、自分のデスクトップ環境や業務アプリケーション、データに、高いセキュリティのもとにアクセスすることが可能になります(*2)。市場からの積極的な期待が高まりつつあり、予想以上に企業でのiPad利用は早く進みそうな感触を得ています。

足立 iPadのような新しいデバイスや、XenClientのような新しいテクノロジを、いくら担当レベルで理解してもらっても、その効果を経営層に理解してもらえなければ企業への採用は望めません。そこで、まずは日本企業の経営層にいかにデスクトップ仮想化の価値を理解してもらえるかが最大の課題であり、そのための戦略を立案しているところです。

 


(*2)(*2)Citrix Receiver for iPad(日本語対応済み)は、iPad向けのiTunes App Storeから無料で入手できる。