人事担当者インタビュー:人事制度として取り入れる、社員の柔軟なワークスタイルの選択

欧米諸国では、ほぼ当たり前とされているテレワークという働き方ですが、日本国内でもテレワークを採用する企業が増えています。国内では総務省が、少子高齢化対策やワークライフバランスの実現、地域活性化、環境負荷軽減、生産性向上、非常災害時の事業継続などのために、このテレワークを推奨しています。

テレワークとは、ITを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。

そして、今回はテレワークを推奨している企業の一社でありますシトリックス・システムズ・ジャパンの人事部にお伺いし、テレワークに関する取り組みに関してお伺いいたしました。

シトリックスシステムズジャパン株式会社

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
人事部
忍田 麻衣子氏

インタビューア:
具体的なお仕事の内容を含めまして、自己紹介をお願いできますか?

忍田様:
シトリックス・システムズ・ジャパンで人事部に所属しています忍田です。職務は人事のゼネラリストということで、社員がオファーレターにサインをした時から退職するまでの全てを担当しています。日々、人事戦略や社員の満足度、会社や社会への貢献を考えながら業務に取り組んでいます。

インタビューア:
人事部の戦略とは、具体的にどのような戦略なのでしょうか?

忍田様:
戦略的採用や組織変更、社員の能力開発など様々ありますが、私が昨年担当いたしましたのは、全世界のシトリックス社員が決められた一定時間にボランティア活動に参加するというプロジェクトです。これにより社会に貢献するというものなのですが、全世界と連携しながら、国内のボランティア活動に関する企画から実施までを行いました。参加可能な活動を社内メンバーで検討し、今回のテーマが「人」に関わるものだったので、主に高齢者や障害のある方々をサポートするものを選びました。

インタビューア:
社員は喜んで参加しましたか?

忍田様:
個人の自発的なボランティアというよりは会社主導のプロジェクトですので、全員が進んで参加したということはありませんが、シトリックス・システムズ・ジャパンは、世界一の高い参加率でした。なんと言っても障害者の方々に喜んでいただけたので社員一同満足していて、また同じような活動に参加したいというコメントを多くいただきました。また、当日は、5名以上の社員がチームとなって参加するのですが、副次的な効果として、仕事ではあまり接しない社員同士の絆も深まったことが良かった点だと思います。

インタビューア:
ありがとうございます。
シトリックス社では、テレワークなどのさまざまな雇用形態があるとお聞きしたのですが、詳しくご紹介いただけますか?

忍田様:
シトリックスでは、フレックスタイム勤務制の設定など一般化されつつある勤務形態の他に「Web Commuting制度」という勤務形態を設けています。この制度は、入社したときに社員全員へご紹介しています。具体的には、事前申請することにより決めた期間や曜日に事業場以外の場所でも勤務可能な制度です。

インタビューア:
テレワークとは違うのですか?

忍田様:
Web Commuting制度とは、一種のテレワークではありますが、世の中一般的にはテレワークやワークアットホームというと、事前に上長の承認を取得した段階で明日は自宅作業などということを指す場合が多いのです。しかし、Web Commuting制度は、社員の働き方をあらかじめ社員と会社が決めるという制度なのです。
たとえば、極端な事を言いますと自宅作業可能な事務系の社員はずっと家で作業していても良いということになります。

インタビューア:
Web Commuting制度は、誰でも取得可能なのですか?

忍田様:
全世界の社員全員に平等に提供される制度となっています。
在籍6ヶ月を超える社員に対して、社員の業務適合性および人事評価をもとに審査をしています。また、上長だけでなく社長決裁が必要な点もテレワークとは違います。

インタビューア:
人事部は、この制度を推奨しているのですか?

忍田様:
この制度は、会社が社員に提供している柔軟な勤務形態の一つにすぎません。自分の仕事の生産性や満足度が高まるのであれば利用すれば良いと思います。もちろん業務効率化だけではなく成果が求められます。

インタビューア:
どのような社員がこの制度を利用するのでしょうか?

忍田様:
取得している社員は、さまざまです。個人的な用事や家族の世話をすることを目的とした制度ではありませんが、家で介護を必要としている方や小さいお子様がいるなど家族に関係する場合もあります。それ以外にもアメリカ本社時間に併せる必要がある社員などが取得しています。

この度、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響のため、シトリックスでは、シトリックス社員の安全確保やオフィスの節電、また困難な通勤に対してのストレス軽減することなどを目的に、仮想デスクトップ環境を活用した在宅勤務の勤務形態を基本方針としました。このような非常事態であっても、社員は家族のケアをしながら会社の業務を継続することができました。

インタビューア:
この制度を提供するにあたり人事評価でマイナス面などあるのでしょうか?

忍田様:
Web Commuting制度利用者だから人事評価でマイナス査定をすることはありません。あらかじめ上長と設定した目標達成度での評価になります。シトリックスでは、この制度が文化として存在しますのでWeb Commuting制度利用者が不利な状況になることはありません。

インタビューア:
この制度の課題はありますか?

忍田様:
Web Commuting制度に関わらず、私自身もテレワークを利用して家で仕事をすることがあるのですが、電話やメールに迅速に応えないと仕事をしていないと思われるのが嫌なので会社に居るときよりもレスポンスが早いかもしれません。成果を出さないといけないというプレッシャーも感じてしまいます。
このような事から社員が働きすぎてしまう傾向にあるのが課題です。
あまりに熱中しすぎて所定の労働時間を超えたり、必要な休憩をとらなかったりするのは、法的な問題だけでなく社員の体調にも悪い影響を及ぼしますので人事としては上長などと相談しながら労働管理をきちっとしなくてはならないのです。

インタビューア:
パソコンなどの持ち出しによってセキュリティ面などの心配はありませんか?

忍田様:
一般企業では、人事部門がこのような制度を立案しても情報システム部門やセキュリティ監査部門が対応出来ないというのが現状だと思います。
幸いシトリックスでは、XenDesktopなどの自社製品を使うことにより自分のパソコンであろうが会社のパソコンを持ち帰ろうが、情報が持ち出せない、コピーも出来ない環境になっています。
私自身は、会社でも家でもパソコンを利用する時には常にXenDesktop経由で社内環境にアクセスしています。
いつでも、どこでもストレスなく同じ環境を使えるのは生産性向上にもつながっていると思っています。セキュリティという観点から見るとこの製品があるから成り立っている制度だと言っても過言ではありません。

インタビューア:
この制度で社員の満足度は上がりますか?

忍田様:

家や外出先で仕事が出来ない企業では、社員にとって働き方の選択肢がありません。つまり、夜遅くまで会社に残って残業をする必要があったり、休日出勤の際にも通勤時間をかけて仕事をする必要があります。
シトリックスでは、社員のストレスを軽減することを目的にテレワークやこのような制度を提供しています。
さっと帰宅して、リフレッシュしたり、用事を済ませたりしてから作業する方が効率があがるのであれば、このような制度を利用すれば良いのです。社員のストレスを軽減しモチベーションや満足度を高めることが結果的に会社の成長につながると思います。

最後に、私自身、今回の東北地方太平洋沖地震の発生以降、不安な毎日を過ごす中、通勤や停電などの心配をすることなく自宅で安全に業務を継続することができ、テレワークという勤務形態が存在することに心から感謝しました。今回通勤困難な中、環境が整っていないことから出社を余儀なくされた方々が多くいらっしゃったことから、今後ますますこのような制度や勤務形態が必要とされ、利用する企業が増えていくことと思われます。

インタビューア:
ありがとうございました。

忍田様:
ありがとうございました。

 

2011年1月、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は、自社内におけるテレワーク推進の取り組みにより日本テレワーク協会主催「第11回テレワーク推進賞」優秀賞を受賞しました。今回の受賞は、シトリックスが推進する「自社内におけるデスクトップ仮想化ソリューションを活用したテレワーク」が、日本テレワーク協会が普及を推進している「“ITを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方”である、テレワークによる企業の生産性向上、従業員のワークライフバランス向上」を実現していると評価されたものです。

シトリックスは、自社の社員がテレワークを活用することで、それぞれの業務に適した、柔軟なワークスタイルの選択が可能になり、ストレスが軽減されてワークライフバランスが向上することを目指しています。今回、優秀賞を受賞したのは、社員が自分に合った勤務、ワークスタイルを選択できる環境を整え、実践していることが高く評価されたものです。
そして、自社のデスクトップ仮想化ソリューションである「Citrix XenDesktop」が、それら全てを支えているのです。