企業の成長を維持、加速させるデスクトップ仮想化の真価

デスクトップ仮想化導入のガイドライン【第1回】

s-exeCIO(最高情報責任者)や経営層が企業の成長戦略のために検討するIT投資の対象にはどのようなものがあるだろうか。本稿にて解説するデスクトップ仮想化はその選択肢の1つだ。今回から6回にわたりデスクトップ仮想化を実践するためのポイントを解説する。このソリューションがもたらす価値、費用対効果の考え方、費用の抑え方、課題解決の例、技術的に準備しておくべきポイントなどを整理する。今後、デスクトップ仮想化に取り組む方々に基本的なガイドラインとして参考にしていただきたい。

デスクトップ仮想化がもたらす価値とは何か

このソリューションの価値を一言でいうと、「企業の成長を維持、加速させる」ということだ。第1回ではデスクトップ仮想化の2つの側面を挙げて、このソリューションがどのような価値をもたらすのか整理する。

まずはデスクトップ仮想化の仕組みを簡単に説明しておこう。デスクトップ仮想化とは、PC上で動作しているOSやアプリケーションをデータセンターやサーバ上で仮想化して動作させ、ユーザーはデバイスからネットワークを介してこれらにアクセスする技術だ。一度データセンター上で動作させてしまえば、ユーザーはいつどこにいても、OSやアプリケーションをサービスとして呼び出せる。この技術がもたらす本質的な価値について、下記2つの側面から解説したい。

1.企業の取り組むべき課題をバランスよく解消

もう1つの側面は、昨今の企業が取り組むべき課題をバランスよく解決できるということだ。下記に重要な課題を洗い出して分類してみた。

まず、コスト圧縮による経営の健全化は常なる要求であるし、昨今は情報漏えい対策やITをベースにした業務の統制を行わなければならない。また、変化の激しいビジネス環境で企業が存続していくためには、俊敏性と柔軟性をもった組織、システムの運用が必要とされる。さらには、在宅勤務や出張先からの業務、モバイルを活用した業務への移行などワークスタイル変革の実現、生産性向上も検討しなければならない。そして企業の成長以前に、事業を継続させる仕組みにも投資をしておかなければならない。このように、課題が山積しているのが現状である(図)。

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重要な点は、これらの課題を全て解決しようとすると、その中に潜むトレードオフに突き当たるということだ。IT投資の圧縮やシステム上の統制、データ保護対策といった守りのベクトル(図の1、2)は、企業の生き残りや成長に必要な俊敏性、柔軟性、モバイル活用をはじめとする生産性向上を実現するベクトル(図の3、4)とは相反する(図の5、事業継続だけは少し別の次元の話である)。