急成長を続けるデスクトップ仮想化市場と高いROI

失敗から学ぶデスクトップ仮想化導入の秘訣(第1回)

デスクトップ仮想化は、企業にとって、さまざまな経営課題を解決するソリューションとして大きな注目を浴びています。デスクトップ仮想化を導入する目的は、企業によって異なります。データをクライアント側に保持せずに画面イメージのみを配信するデスクトップ仮想化技術は、情報漏洩やセキュリティ対策、内部統制に有効です。また、デスクトップ管理コストの削減、パンデミック対策、2011 年に発生した東日本大震災により、加速した事業継続や災害対策、多様化するワークスタイルへの対応など多くの課題を解決します。

しかし、その一方でデスクトップ仮想化に関して失敗プロジェクトや投資対効果が見えないという声が多く聞かれるようになったのも事実です。

本記事では、3回にわけてデスクトップ仮想化の導入プロジェクトを成功に導くための指針を詳しくご紹介します。

急成長を続けるデスクトップ仮想化市場の実態

デスクトップの仮想化は、企業マネジメントを変革する上で重要な手段になります。しかしその一方で、企業 IT システムの形態を大きく変化させることになるため、それなりの投資も必要なのは言うまでもありません。従来型のクライアント PC から仮想デスクトップへと移行するには、これまで PC 上で行っていた処理をサーバー側で行うため、サーバー、ストレージ、ネットワーク構成の見直しや追加投資が必要になります。さらに運用管理やヘルプデスク体制も見直す必要もでてくるのです。

それにもかかわらず、デスクトップ仮想化の導入を予定している企業は増え続けており、その市場も着実に伸びています。

IDC Japan の「国内クライアント仮想化市場 2012 年上半期の分析と 2012 年〜2016 年の予測アップデート(J12170106, 2012 年 11 月)」によれば、2011 年の法人向けクライアント端末の仮想化導入率は 16.6%でした。そして、2016 年には 40.4%に達すると予測しています。また国内のクライアント仮想化ソフトウェアの出荷ライセンス数も、 2011 年の 94 万 2,318 ライセンスに対し、2016 年には 227 万 2,344 ライセンスに達する見込みです。このように、出荷ライセンス数は 5 年間で 3 倍以上、企業における仮想化導入率も 4 割以上に達すると予測されているのです。*1

なぜこれだけの伸びを見せているのか。その理由についてIDC Japanでは「エンドユーザー環境のビジネス課題を解決する戦略的IT投資として期待されている」からであると指摘しています。さらに別の調査資料では「デスクトップ仮想化が極めて高い投資効果が得られる」点を明らかにしています。

デスクトップ仮想化の実態
デスクトップ仮想化の実態

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デスクトップ仮想化 初期投資 23 万円に対し 70 万円の効果

IDC Japan の「2013 年 国内クライアント仮想化市場 ROI 分析調査」(J13190101)」レポートによると、クライアント仮想化製品の平均 ROI は全社導入と部分導入と試験導入を合わせたクライアント仮想化製品平均の ROI は 359.0%、投資の回収期間は 11.6 ヵ月となっています。これはクライアント仮想化製品を使用することによって、投資に対して約 3 倍以上の効果が得られ、およそ 1 年弱で投資コストを回収可能なことを意味します。

具体的な金額は、「全社導入+部分導入+試験導入」の初期投資額、年次投資額、ベネフィットはそれぞれ 1 人当たり 23 万 7,773 円、 4 万 3,790 円、 70 万 5,412 円です。ベネフィットには、ダウンタイムや各種メンテナンスなどによって生じる機会損失に伴うコストの軽減、ビジネスリスクの軽減、生産性の向上などが含まれます。クライアント仮想化製品の導入によって、エンドユーザー、IT 管理者および IT スタッフ、企業全体でそれぞれ 36.9%、36.5%、36.3%の効果の改善率が見られました。

また、同じIDC Japanの調査では「デスクトップ仮想化の適用領域や規模の多様化」というトレンドも指摘されています。従来はオフィス内での利用を前提とした導入事例が多く、定型業務向けが主流でした。しかし最近ではモバイル通信環境の進化やスマートデバイスの出現、さらに多様な業務を担う上で必要な機能や性能の向上によってユーザー体験を犠牲にすることなく実装できるようになったことで、銀行の勘定系システムや小売りの流通系システムなどの基幹系業務への適用や、営業系システムのモバイル化、工場への展開、学校や病院への導入もかなり進んでいます。

導入目的も、以前はセキュリティの強化や管理性向上を挙げるケースが一般的でしたが、、最近ではこれも変化してきており、事業継続性やビジネス俊敏性の向上、ワークスタイル変革へとシフトしつつあるといいます。

デスクトップ仮想化のROI

*1 出典:「国内クライアント仮想化市場 2012年上半期の分析と2012年〜2016年の予測アップデート(J12170106)」 IDC Japan 2012年11月

「デスクトップ仮想化の導入を阻害するコスト問題を解決する」 へつづく