レノボが革新するCAD on VDI

近年、設計や開発の現場の業務改革を実現するべく3D CADやCAE用ワークステーションをデスクトップ仮想化で稼働させる「CAD on VDI」の関心が高まっています。今まで高いグラフィックス性能を要求する3D CAD/CAEソフトウェアは、高性能なワークステーションが必要不可欠でありデスクトップ仮想化を実現しようとしてもハードウェアやソフトウェアの制限があり実用化されていませんでした。しかし、昨今のIT技術の発展により「CAD on VDI」が実用的になってきました。今回、多くのCAD on VDIの実績を有するレノボジャパン株式会社(以下、レノボ)の主要メンバーに、CAD on VDIの戦略や取り組みをお伺いしました。

市場環境の変化とレノボが実現したいこと

私たちを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。人口減少に伴う労働人口の減少や国内需要の縮小、新興国企業の躍進、製品のコモディティ化により日本企業はますます厳しい環境に直面しています。

「日本の生産性の動向2014年版」によると、日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、リーマンショック以降改善傾向ではあるもののOECD加盟34カ国中では22位、主要先進7カ国中では最下位と低迷しています。

otsuki-sama

レノボジャパン株式会社
システムエンジニア本部
ビジネス・デベロップメント・マネージャー
大月哲史 氏

レノボジャパン株式会社 システムエンジニア本部 ビジネス・デベロップメント・マネージャー 大月哲史 氏(以下、大月氏)は、同社の役割について以下のように述べています。
「主要先進7カ国において日本の生産性は20年連続で最下位という状況です。労働生産性を向上させるためには現場や経営の効率化が必要不可欠です。生産性が上昇すれば国民一人当たりのGDPは上昇し経済的な豊かさをもたらします。VDIソリューションはセキュリティーを担保しつつ生産性を高めるのに有効なITインフラであると考えています。そして、このVDIソリューションを活用し、製造業の経営や現場、IT管理を革新させグローバル競争を勝ち抜くための一つの手段としてCAD on VDI(CAD用ワークステーション仮想化ソリューション)を推進しています」

デスクトップ仮想化やモバイル機器の活用が普及し、社内でも社外でも社内の自席にいるかのように仕事ができるようになりました。しかし、その恩恵にあずかりにくい領域があったことも事実です。

具体的には、製造業における設計/開発の領域です。その根本原因は、CADやCAEツールを利用する際に設計室に設置されたワークステーションの前から離れられない状態でした。このような状況下での課題は多岐にわたり、利用者の観点ではワークステーションの設置スペース、熱や騒音の問題、経営面では、製造業の生命線である設計データの漏えいリスク、管理面ではレイアウトチェンジが困難であったり、負荷の高いオンサイトサポート、ワークステーションの低い稼働率などの課題がありました。

しかし、CAD on VDIの登場でこれらの課題を改善する環境が整ったのです。

CAD on VDIとは、3D CADやCAE用のワークステーションを仮想化してサーバー上で稼動させ、画面イメージのみを端末側に転送して利用する仕組みです。CAD on VDIでは一般的なVDIと異なり、アプリケーションが要求する高度なグラフィクス処理に対応するために、サーバー上にGPUパワーが必要です。大月氏はこの状況に関して次のように述べています。

「2013年にNVIDIAがサーバー上で仮想化して利用する為のGPUである、NVIDIA GRIDの提供を開始しました。そして、仮想化ベンダーとしてシトリックス社はいち早くGRIDに対応し、ここ2~3年で大きな技術革新が行われてきました。私どもレノボでも、IAサーバーであるSystem xを使い「System x CAD on VDI」として技術の黎明期より対応して参りました。一方、CADベンダーも仮想環境上での稼動検証情報を公開するようになってきました。
このように、CAD on VDIソリューションを取り巻く環境は日々進化し、今日では国内でも多くのお客様が採用し始めています。」

vdi3d-caseSystem x CAD on VDIは、すでに国外では多くの実績があるといいます。例えば自動車メーカーのボルボは、帯域幅2.5Mbpsのネットワーク環境でも1,500を超えるパートの操作で良好なパフォーマンスを実現しています。また、航空機メーカーであるボンバルディア社は、カナダのデータセンターに配置したDassault CATIA R18を、北米だけでなくインドやアイルランド、メキシコといった国々から快適に利用しているといいます。

kondo-sama

レノボジャパン株式会社
システムエンジニア本部
エンタープライズ・ビジネス・グループ
近藤 晢司氏

レノボジャパン株式会社 システムエンジニア本部 エンタープライズ・ビジネス・グループ 近藤 晢司氏(以下、近藤氏)は、以下のように付け加えます。「CAD on VDIは、すでに実用的な段階です。ユーザーは、国を超えた遠隔地からの操作でも快適に利用できるだけでなく、セキュリティ面や管理面においても大きなメリットを享受しています」

 

 

設計スピードの向上や快適な設計環境に寄与

CAD on VDIの登場により、品質管理の強化による競争力強化だけでなくコスト面でも大きな貢献があるといいます。データセンターをグローバルに複数配置してライセンスを一括管理し、各国の時差を利用してアクセスすることで、24時間を通じて同一ライセンスを使うという利用も可能にする企業も存在します。大月氏はCAD on VDIのメリットを以下のように語ります。

「CAD on VDIは、これまでモバイル環境から取り残されていた開発業務にかかわるエンジニアに対して最新のワークスタイルを提供可能です。例えば、従来環境では外部での打ち合わせの際に、大きく重たいモバイルワークステーションに予めCADデータをダウンロードし、情報漏えいのリスクを抱えながら持ち出してプレゼンテーションや会議に臨むといったやり方はよく見受けられました。CAD on VDIでは情報漏えいリスクを排除しながら、携帯性に優れたPCやタブレットを活用し、その場で設計変更を行いながら打ち合わせを行うといった事も可能になります。エンジニアは様々な制約から解放され、開発業務に集中することが可能になります」

CAD on VDIを成功に導くレノボのサーバーとクライアント

黎明期よりCAD on VDIに取り組んできたレノボでは、単にサーバーを提供するだけでなく導入の際のノウハウを蓄積している点も大きな特徴です。この点について近藤氏は次のように述べています。
「レノボではサーバーやクライアントだけを提供するだけではお客様のためにならないと考えています。vGPU方式を導入してしまえば良いというものではなく、業務によってはパススルー形式のCAD on VDIが適している場合もあります。数多くのノウハウを生かしお客様に提案していきたいと思います」
lenovo-nextscale
また、レノボではワークステーションはもとより、PCやタブレットと言った豊富なクライアントデバイスを提供している点も特徴であり、ワークスタイルやシーンに応じた最適なデバイスの提供が可能です。

例えば、2 in 1 テーブルトップPCの「Lenovo HORIZON 2」ではマルチユーザーに対応した専用ユーザーインターフェイス「AURA2」を搭載しており複数のユーザーが「Lenovo HORIZON 2」を囲み、図面や写真などを360度のあらゆる角度から操作可能なクライアントデバイスです。「タッチパネルを搭載したLenovo HORIZON 2は、4~5人での打ち合わせやコミュニケーションスペース等でCADモデルを触りながら情報交換する等の利用形態を想定しています」と大月氏は語ります。

lenovo-horizon2

また、レノボの2 in 1デバイス「ThinkPad Helix」は、画面だけ取り外せばタブレットとして活用可能です。キーボードと合体すればノートPCとして利用できるPCのためワークスタイルに応じて使い分けが可能になります。ThinkPad Helixは通常のノートPCと同じCPUを搭載しているため、CAD on VDIでも高いパフォーマンスを発揮します。

今回ご紹介したクライアントは一例ではありますが、レノボではあらゆるワークスタイルの需要に対応するための豊富なクライアントデバイスを提供可能な点も大きな魅力の一つでしょう。

デモや実証実験が可能なレノボ・エンタープライズ・ソリューション・センター

レノボでは実際にSystem x CAD on VDIソリューションを体験可能な「レノボ・エンタープライズ・ソリューション・センター」を東京・秋葉原UDXビル内に開設しています。
この施設では、XenServerやXenDesktopといったSystem x CAD on VDIを支えるソフトウェアを提供するシトリックス・システムズ・ジャパンやNVIDIA、また、その展開を実現するシステムインテグレーターといったレノボのビジネスパートナーとともに各種検証やデモストレーションを行うことが可能となっています。

lenovo-center

まとめ

レノボ・ジャパンでは、製造業の開発環境の生産性向上を目指してCAD on VDIの推進を行っています。サーバーやクライアントの提供のみならず、ソフトウェアベンダーやシステムインテグレーターとの強いパートナーシップにより最高のソリューションを提供することが可能です。また、CAD on VDIを検討する企業にとっては、レノボ・エンタープライズ・ソリューション・センターを活用し、ソリューションの検証を実施することで、CAD on VDI導入を加速させる事が可能です。
CAD on VDIは、セキュリティや利便性を備え、開発業務に関わるエンジニアを本来の業務に集中させる事でグローバルレベルで生産性が向上し、強い経営基盤を獲得することができるようになります。

この機会にレノボ・ジャパンのSystem x CAD on VDIに注目してみてはいかがでしょうか。

2shot-lenovo