XenDesktop/XenAppで始めるデスクトップ仮想化入門(第3回)

第3回 Citrix XenDesktop 環境の構築

前回はXenServerとXenCenterのインストールと設定、Active Directoryの構築を行いました。今回はいよいよXenDesktopの構築に移りたいと思います。

XenDesktop 環境の構築

XenDesktopを導入して、同じXenServer上にインストールしているWindows 7の環境をWeb Interfaceからアクセスできるよう設定してみましょう。

それではまず、インストールする構成を理解するためにどういった作業を行うのか説明します。
まず、ddcと名前を付けたサーバーにDesktop Delivery ControllerとWeb Interface、ライセンスサーバーをインストールします。仮想デスクトップ用のWindows 7にはCitrix Virtual Desktop Agentをインストールします。

すべてインストールが終わったら、Web Interfaceにアクセスして、VDI環境が起動するか確認します。

1. Desktop Delivery Controller インストール前に必要なコンポーネント

まず、DDCサーバーにDesktop Delivery Controllerをインストールします。
Desktop Delivery ControllerをインストールするサーバーにはWeb Interfaceもインストールするため、Desktop Delivery Controllerのインストール前に以下のコンポーネントをインストールしておく必要があります。

  • ターミナルサーバー
  • IIS
  • ASP.net

2. Desktop Delivery Controllerのインストール

Desktop Delivery Controllerのメディアをセットするとセットアップが開始されます。ウィザードに従ってインストールを行います。

  1. [サーバーコンポーネントのインストール]をクリックします。デスクトップ仮想化 Desktop Delivery Controllerのインストール
  2. 「Citrixライセンス契約書」が表示されますのでライセンスを読み、[ライセンス契約に同意します]を選び[次へ]をクリックします。
  3. 「コンポーネントの選択」の画面ではすでにすべてのコンポーネントが選択されていますので、そのまま[次へ]をクリックします。
  4. 「サーバーファームの作成またはサーバーファームへの参加」で新しいサーバーファームを作成します。
    作成したサーバーファームはこの後の手順でActive Directoryサーバーに登録されます。また、この先Desktop Delivery Controllerをインストールしたり、設定を行う際に必要なものですので、メモを取っておくと良いでしょう。ここではXDFarmという名前で登録します。
  5. 「ファームエディションの指定」ではダウンロードした製品のエディションを指定します。正しいものを選択して[次へ]をクリックします。
  6. 「オプションサーバー指定」は、今回は新規でDesktop Delivery Controllerをインストールするため、未チェック状態で[次へ]をクリックしてください。
  7. 事前設定がすべて終わると「インストールの開始」画面が表示されます。[次へ]をクリックしてインストールを開始してください。
    インストール中、何度か再起動を求められますので速やかに再起動してください。再起動後、インストールチェックが走り、処理が継続されます。
  8. Desktop Delivery Controllerのインストール中に「ハードウェアのインストール」の警告ウィンドウが表示されたら[続行]をクリックして処理を継続してください。このウィンドウは複数回表示されます。
    この警告画面についてはこのページをご覧ください。
  9. インストールの工程が終わると、「セットアップ完了」の画面が表示されます。引き続きActive Directory OUの設定とライセンス管理コンソールの設定を行います。そのまま[終了]をクリックしてください。

ウィザード終了後、「ライセンスサーバーに必要なライセンスがありません」というエラーが表示されます。次の手順で評価版のライセンスファイルを取得して登録しますのでそのまま[OK]を押してください(複数回エラーが表示される事があります)。

3. ライセンスの取得と登録

Desktop Delivery Controllerのインストールが終わると、「Citrix Desktop Delivery Controller 4.0 Active Directory 設定ウィザード」と「ライセンス管理コンソール」が表示されます。
まず、「ライセンス管理コンソール」で必要なライセンスを取得したものを登録します。

1) Citrixライセンスの取得

  1. 「ライセンス管理コンソール」画面の「MyCitrix.comからライセンスファイルをダウンロードする」をクリックします。デスクトップ仮想化 Citrixライセンスの取得
  2. My Citrixにログインして、{My Tools}のメニューから{Activation System/ライセンスの管理}を選択してクリックします。
  3. 「Activation System/ライセンスの管理」の概要が表示されますので、{現在のツール}のメニューから{アクティブ化/割り当て}を選び、ページ中の[ライセンスの表示]リンクをクリックします。
  4. 「Activation System/ライセンスの管理」が表示されます。{新しいライセンス(未割り当て) – 割り当て}項目の、[Click to Allocate]リンクをクリックします。
  5. 「Citrix Activation System」画面が表示されますので、そのまま[Continue]をクリックします。
  6. このアクティベートの担当者を選択して[送信]をクリックします。
  7. アクティベートの担当者情報を確認します。印がついたところすべてを入力してください。
  8. ライセンスファイルの生成に必要な情報の確認画面が表示されます。正確なホスト名を確認してください。確認後、[次のページへ]をクリックしてください。
  9. 「ライセンスの割り当て」ページが表示されます。ページ中の{Citrixライセンスサーバーのホスト名}にホスト名を入力してください。今回のガイドに従って導入した場合は、ddcというホスト名のサーバーに「Desktop Delivery Controller」と「ライセンスサーバー」を導入していますので、ddcと半角小文字で入力して[割り当て]をクリックしてください。※ホスト名の確認はコマンドプロンプトを開き、hostnameと入力してください。例えばddc.example.comがフルコンピューター名の場合は、ホスト名はddcになります。C:WINDOWS> hostname
    ddc
  10. 「ライセンスの割り当てが完了しました」と表示されたら、ページ中のライセンスサーバー名が正しい事を確認して、[ライセンスファイルのダウンロード]をクリックします。

2) ライセンスの登録

  1. 「ライセンス管理コンソール」画面の「ライセンスファイルをこのライセンスサーバーにコピーする」をクリックします。
  2. 取得したライセンスファイルを選択して、[アップロード]リンクをクリックします。デスクトップ仮想化 Citrixライセンスの登録
  3. ライセンスが登録され、以下のように使用できる製品のライセンスが一覧で表示されます。
    デスクトップ仮想化

3) Desktop Delivery Controllerの設定

ライセンスの登録が終わったらDesktop Delivery Controllerの設定を「Citrix Desktop Delivery Controller 4.0 Active Directory 設定ウィザード」で行います。

– Active Directory OUの設定

  1. Active DirectoryのOUとサーバーファームの登録を行います。「選択したOU」にはActive Directoryに登録したOUを設定します。このガイドに従ってインストールした場合、DDCというOUを作成したと思います。今回はこれを選択します。デスクトップ仮想化 Active Directory OUの設定
  2. 「上で選択したOU内にサーバーファームを作成する」にチェックマークをつけると、XDFarmと表示されます。[次へ]をクリックします。
  3. 設定が終わったら「Active Directory 設定ウィザードの完了」画面が表示されます。[完了]をクリックしてウィザードを終了してください。

4) Desktop Delivery Controllerの管理設定

  1. デリバリーサービスコンソールを起動します。初回起動時はウィザードが表示されます。デスクトップ仮想化 Desktop Delivery Controllerの管理設定
  2. 「製品またはコンポーネントの選択」でCitrixリソースをデリバリーサービスコンソール管理するためにコンポーネントを追加してください。
  3. コントローラを追加します。[ローカルコンピュータ]をクリックして、Desktop Delivery Controllerをインストールしているサーバーをコントローラとして追加してください。
  4. コントローラの検出が行われます。問題なければ[完了]をクリックしてウィザードを終了してください。
    コントローラの検出でエラーが出ている場合はエラーの指示に従い設定を行ってください。
  5. デリバリーサービスコンソールの左ペインにCitrixリソースが追加され、Desktop Delivery Controllerの下にXDFarmが表示されます。

5) 仮想デスクトップの公開

仮想デスクトップの公開を行う前に、仮想デスクトップをXenDesktopで使えるようにするため、Virtual Desktop Agentを仮想デスクトップ環境にインストールしなければなりません。
あらかじめダウンロードしておいたVirtual Desktop Agentのインストーラを実行してインストールを開始しましょう。

6) 仮想デスクトップ環境へCitrix Virtual Desktop Agentの導入

Citrix Virtual Desktop Agentをインストールする場合は、Active Directoryに属しているユーザーでログインしてから実行してください。また、再起動を要求された場合は必ず再起動するようにしてください。

それでは早速インストールを行いましょう。

  1. インストーラを実行して「Citrix Virtual Desktop Agent x86 セットアップウィザードにようこそ」画面では[次へ]をクリックします。
  2. 「Citrixライセンス契約書」が表示されますのでライセンスを読み、[ライセンス契約に同意します]を選び[次へ]をクリックします。
  3. DDCサーバーとの通信用に使うポートを指定します。[次へ]をクリックします。
  4. 「サーバーファーム選択」の画面で作成済みのサーバーファーム(XDFarm)を選択します。
    サーバーのファームが選択できない場合は、ファームが正しく作成されているか、DDCサーバーの設定がすべて行なわれているか今一度確認してください。
  5. 「インストールの開始」画面が表示されたら[インストール]をクリックしてインストールを開始してください。
  6. 設定が終わったら「Citrix Virtual Desktop Agent x86 セットアップウィザードの完了」画面が表示されます。[終了]をクリックしてウィザードを終了し、仮想デスクトップ環境を再起動してください。

7) 仮想デスクトップの公開

仮想デスクトップ環境の再起動が終わったら、DDCサーバーの「デリバリーサービスコンソール」を起動して仮想デスクトップを公開します。

  1. 左ペインのファームをダブルクリックして展開し、{デスクトップグループ}を[右クリック – デスクトップグループの作成]をクリックします。デスクトップ仮想化 仮想デスクトップの公開
  2. 「デスクトップグループの作成ウィザード」が表示されます。[次へ]をクリックしてウィザードを開始します。
  3. 「割り当ての種類」はプールのまま、[次へ]をクリックします。
  4. 「ホストインフラクチャ」で[なし]を選択して[次へ]をクリックします。
  5. 「仮想デスクトップ」に紐付けされているActive Directoryのアカウントを[追加]して、[次へ]をクリックします。
  6. 「ユーザー」追加画面では、先に設定した仮想デスクトップにログインできるユーザーを設定します。
  7. 「デスクトップグループ名」では「仮想デスクトップ」のグループを作成します。グループの例:
    Windows 7
    win701.example.com
    win702.example.com
  8. 最後に、仮想デスクトップの識別用アイコンを設定します。
  9. デリバリーサービスコンソールに新しいデスクトップグループが追加されます。作成したデスクトップグループを選択して「デスクトップ状態」を確認します。アイドル:正常な状態です。仮想デスクトップは使用可能です。
    使用中:仮想デスクトップは別クライアントで使用中か、ローカルログオンされています。
    非登録:仮想デスクトップ環境の準備が出来ていない状態です。非登録のままステータスが変わらない場合、以下の項目を確認してください。1) 仮想デスクトップ環境の電源が入っているか確認してください。
    2) 仮想デスクトップ環境にXenCenterからログインできるか確認してください。
    3) 仮想デスクトップ環境がActive Directoryに属しているか確認してください。
    4) pingが通るか確認してください。
    5) 仮想デスクトップ環境にCitrix Virtual Desktop Agentが導入されているか確認してください。
    6) 仮想デスクトップで以下のサービスが起動しているか確認してください。

    • Citrix Desktop Service
    • Citrix ICA Service

    7) 問題を改善する修正プログラムが公開されていないかCitrixのサイトから確認してください。

クライアントの準備

  • Online Plug-in のインストール Online Plug-inはWeb Interfaceに初回アクセス時インストールする事が出来ます。
    また、最新版のプラグインはCitrixのサイトからダウンロードできます。インストール後、画面の指示に従い、アドオンを実行してください。

動作確認

ガイドに従いインストールしたのであれば、以下のURLを入力することでXenDesktopのVDI環境にアクセスできるはずです。

URL: http://ddc.example.com/Citrix/DesktopWeb/
ユーザー名: user1
パスワード: ADのユーザー追加時に設定したパスワード
ドメイン: example.com

ログインしたら公開したデスクトップをクリックしてログインしてみましょう。
仮想デスクトップ環境にログインし、操作可能になったはずです。

デスクトップ仮想化

 動作確認

Desktop Delivery Controller構築のポイント

Desktop Delivery ControllerをインストールしてVDI環境は利用可能になったと思います。
しかし、Windows Updateや様々な理由からVDI環境にアクセスできなくなった場合、以下の項目を確認してみてください。

  • デスクトップ状態が「非登録」状態になってしまった。 今までVDI環境にアクセスできていたのにActive DirectoryサーバーやDDCサーバーを再起動したら、仮想デスクトップのデスクトップ状態が「アイドル」にならず「非登録」状態になってしまった場合は、一旦仮想デスクトップをシャットダウンして再度電源を入れ直してみてください。
    これはDesktop Delivery Controllerが正常に立ち上がったあと仮想デスクトップを起動しなかった場合、良く起こる現象です。Windows Updateが行なわれる毎に発生する可能性があります。状況によっては「非登録」状態でもVDI環境にアクセスできる事があります。
    仮想デスクトップを再起動しても「非登録」のままであった場合、Web Interfaceからアクセスしてみてください。
  • Desktop Delivery Controllerを再インストール後、VDI環境にアクセスできなくなった Desktop Delivery Controllerはインストールの途中でファームを作成します。ガイドに従って環境を構築した場合、XDFarmというファームを作成したと思います。このファームの情報をActive Directoryと仮想デスクトップが持っているため、Desktop Delivery Controllerをクリーンインストールしたい場合は以下の手順に従う必要があります。
    1. Active DirectoryのOUに作成されているXDFarmを削除するか、Desktop Delivery Controllerを再インストールする際に新しいファームを作成する。
    2. Active Directoryの管理権限を持ったユーザー(EXAMPLEAdministrator)でログインして、Citrix Virtual Desktop Agent のインストーラを実行し、「インストールの変更、修復、または削除」の画面で、{変更}を選ぶ。デスクトップ仮想化 VDI環境にアクセスできなくなった場合
    3. 「サーバーファームの選択」で新しく作成したファームを選択して変更を完了する。
    4. 「デリバリーサービスコンソール」を起動して、デスクトップグループを作成し直す。
    5. 仮想デスクトップを再起動して、デスクトップの状態を確認する。

     

  • VistaやWindows 7、Windows Server 2008などでPingが通らない 何らかの理由から通信がうまく通じていないとき、Pingコマンドを利用しますが、Vista以降のWindowsではデフォルトではファイアウォールでICMP Echoをブロックしているため、設定によってはPingが通りません。
    対処方法としてアットマークアイティの記事「Windows Vistaのファイアウォールでpingへの応答を許可する」を参考に、ICMP Echoをドメインに属しているユーザーのみ許可するよう設定しておきましょう。
  • VDIのパフォーマンス設定 Web Interfaceでログイン後、[基本設定-セッション設定]で接続したVDI環境の解像度、画面色数などを設定可能です。
    接続速度を設定する事でVDI環境のパフォーマンスが向上します。デスクトップ仮想化 VDIのパフォーマンス設定

今回はXenDesktopの数ある機能のうち、VDI環境の構築までを行いました。
次回はアプリケーションの仮想化「XenApp」を構築して、Web Interfaceから公開アプリケーションにアクセス出来るよう構築していきましょう。