【Hyper-V編】- デスクトップ仮想化について –

最新XenDesktop7.5を触ってみよう 第1回

【Hyper-V編】

はじめに

デスクトップ仮想化とは、これまで各クライアントに個別に用意していたデスクトップ環境をサーバーに集中配置して運用するソリューションです。シトリックス社では、このデスクトップ仮想化を実現する製品として大企業向けに「XenDesktop」、中堅中小企業向けに「VDI-In-a-Box」を提供しています。

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図1 Windows8クライアントから仮想デスクトップのWindows7環境に接続

本連載では最新版の「XenDesktop 7.5」(以下XenDesktopと表記)を動作させるためのセットアップ、設定などをわかりやすく、順を追って説明したいと思います。

デスクトップ仮想化について

デスクトップ仮想化ソリューションはCitrixのほか多数のメーカーが展開していますが、CitrixのXenDesktopは特定のハイパーバイザーに縛られることなく導入できる点が利点としてあげられます。シトリックス社が提供するXenServerだけでなく、VMware社が提供するハイパーバイザーであるVMware vSphere、マイクロソフト社が提供するHyper-Vなどユーザーニーズにあわせて選択することが可能です。そのため、対応するハイパーバイザーをすでに利用済みであれば、デスクトップ仮想化基盤に適した構成にする必要はあるものの、既存の仮想化基盤にデスクトップ仮想化を容易に導入出来ます。

本連載ではXenDesktop環境を構築するに当たり、Windows Server 2012を利用したHyper-V環境を選択した場合のセットアップや設定に関してご紹介いたします。以下の環境を想定しています。

  • Citrix XenDesktop 7.5(以降XenDesktopと表記)
  • Citrix XenApp 7.5(以降XenAppと表記)
  • Microsoft System Center 2012 R2 Virtual Machine Manager(以降SCVMMと表記)
  • Windows Server 2012 R2
  • Hyper-V 2012 R2(以降Hyper-V)

事前準備

XenDesktopの導入にはActive DirectoryとDHCPサーバーが予め必要です。今回はクライアントと仮想デスクトップとしてWindows 8.1を利用しますので、Active Directoryの機能レベルはWindows Server 2012 以上で構いません。DHCPサーバーについてはWindows Serverに機能追加するものでも、既存のルーターなどに内蔵されているものでもかまいませんので予め利用できる環境を整えておいてください。

Active DirectoryとDHCPサーバーについて

今回の連載ではActive DirectoryやDHCPサーバーの構築について触れませんので、本連載に従ってXenDesktopによる仮想デスクトップ環境を構築する前にそれぞれのサーバーを準備しておいてください。

また、それぞれのサーバーにソフトウェアのインストールを行う場合は、各WindowsをActive Directoryに参加した後、ドメイン管理者のアカウントを利用してインストールしています。例えばvdi.example.comというドメイン名でActive Directoryを構築した場合、VDI\Administrator(もしくはAdministrator@vdi.example.com)がドメイン管理者のアカウントになります。XenDesktopコンポーネントの実行時も同様です。

SCVMMで利用するアカウントについて

SCVMMではVMMサービスで利用するアカウントとコンピュータの検出などに使うアカウントが必要です。本連載では前者としてVDI\Administratorユーザーを、後者としてVDI\scvmmadminユーザーを使う例で説明します。
なお、利用するユーザーはDomain Adminsグループに所属している必要がありますので、グループを予め追加しておいてください。
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仮想デスクトップを利用するアカウントについて

仮想デスクトップに接続するユーザーは予めActive Directoryのユーザーとコンピューターに登録しておいてください。本連載ではXenDesktop75という名前のOUを作成して、xduserという連番のユーザーを1から10まで作成し、XenDesktop7というグループに所属させた例で説明します。

また、Active Directoryに所属させたコンピューターアカウントがComputersディレクトリーに保管されていますので、このOUに移動してください。

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図2 OUとユーザーの構成

XenDesktopの重要なコンポーネントについて

XenDesktop は主に以下のようなコンポーネントで構成されています。
Delivery Controller
XenDesktop インフラストラクチャーの中⼼的な役割を担うものです。ユーザーへの仮想デスクトップの配信のほか、ユーザー認証、VM 電源管理、ポリシーの決定など、仮想デスクトップのアクセス制御などを⾏います。

Citrix StoreFront
ユーザーがデスクトップやアプリケーションにアクセスするためのアクセスポイントです。アプリケーション、デスクトップ、またはその両⽅のリンクがユーザーに表⽰されます。

Provisioning Services
単⼀のシステムイメージを複数の仮想マシンに配信します。各仮想マシンはPXEサーバーにより配信されたシステムイメージを使って、OS やアプリケーションを起動できます。大規模な仮想マシンの配備に適切です(今回は利用しません)。

Machine Creation Services
ハイパーバイザーのクローン機能を使って、マスターとなる単⼀の共有イメージ(以降マスターイメージ)を複製して仮想デスクトップを展開する仕組みです。複製した仮想マシンにはIDディスクと差分ディスクという2つの仮想ディスクが割り当てられ、仮想マシン固有の情報、例えばコンピューター名やドメインのSIDが格納されており、仮想マシンの起動時にその情報が読み込まれます。MCSで構築できる仮想デスクトップはプールタイプと専用タイプの二種類があります。

プールタイプの仮想デスクトップは再起動ごとに差分ディスクに書き込まれたデータがクリアされるため、起動毎にマスターイメージが参照されるのでユーザー自らOSの設定やアプリケーションの追加、Cドライブへの書き込みは基本的には出来ないものの、マスターイメージと同様の環境を維持することができるという利点があります。マスターイメージにパッチを適用しておけば、各仮想デスクトップはセキュアな状態を維持できるということです。

専用タイプの仮想デスクトップは変更したデータは恒久的に保持されるため、ユーザー自らOSのカスタマイズなどを行うことができます。ユーザーはローカルPCを使うような感覚で仮想デスクトップを利用できます。ただその反面、仮想デスクトップの展開後の管理は従来のPCの管理と同様の手間暇が必要になります。

また、仮想デスクトップ環境の構築時に設定が必要ですが、Personal vDiskというものを使うことで、機能を有効にした仮想デスクトップではユーザーにはPCのハードディスクの一つとして見えるようになり、ユーザープロファイルは書き換え可能なPersonal vDisk上に保存されるため、仮想デスクトップ上の設定変更やドキュメントの保存を行うことが可能になります。

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図3 Personal vDiskを有効にした仮想デスクトップ

図3のローカルディスク(Cドライブ)は配備した仮想デスクトップのマスターイメージであり、読み込みは可能ですが書き込みはできません。その他に表示されているドライブは、仮想デスクトップにアクセスしているクライアントのローカルドライブが見えています。デフォルトの設定ではクライアントのローカルドライブはこのように見えます。こちらのドライブも仮想デスクトップのドライブと同様に利用可能であり、USBメモリーを接続すれば仮想デスクトップ上でマウントして利用することができます。

これらは仮想デスクトップの利便性を向上させますが、ビジネス用途で考えるとクライアント上のドライブを表示させたくない場合もあるかもしれません。その場合はCitrix Studioのポリシーを使って行います。ポリシーではその他、使用帯域制御や仮想デスクトップのパフォーマンスチューニングなどを行うことができます。

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図4 ポリシーの設定

Citrix Studioのポリシーを使ったXenDesktopのチューニングについては、過去の記事にはなりますが「デスクトップ仮想化のチューニング」を参考にしてください。