最新!XenDesktopで始めるデスクトップ仮想化入門(第1回)

第1回 デスクトップ仮想化の概要と導入の準備

デスクトップ仮想化とは、これまで各クライアントに個別に用意していたデスクトップ環境をサーバーに集中配置して運用するソリューションです。シトリックス社では、このデスクトップ仮想化を実現する製品として大企業向けに「XenDesktop」、中堅中小企業向けに「VDI-In-a-Box」を提供しています。

今回は最新版の「XenDesktop」を動作させるためのセットアップ、設定などをわかりやすく、順を追って説明いたします。

XenDesktopでは、それを動作させるための仮想マシンインフラストラクチャーとして、シトリックス社が提供するXenServerだけでなく、VMware社が提供するハイパーバイザーであるVMware vSphere、VMware ESX(i)、マイクロソフト社が提供するHyper-Vなどユーザーニーズにあわせて選択することが可能です。

例えば、XenDesktopとの親和性やサポート一元化などを目的にXenDesktopとの組み合わせとしてXenServerを選択したり、既存の自社環境がVMware ESX(i)で構築されている場合にはVMware上にデスクトップ仮想化ソリューションとしてXenDesktopを選択することが可能です。

本連載ではXenDesktop環境を構築するに当たり最も広く使用されているXenServerを選択した場合のセットアップや設定に関してご紹介いたします。最新版の以下の環境を利用いたします。

  • XenDesktop 5.6
  • XenServer 6.0
  • XenApp 6.5

まず、インストールおよび設定の前に、デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化の概要、またXenDesktopの基本情報などをご紹介いたします。

■デスクトップ仮想化とは

デスクトップ仮想化とは、これまで各クライアントに個別に用意していたデスクトップ環境をサーバーに集中配置して運用するソリューションです。

デスクトップ仮想化

Citrix XenDesktopでWindows 7 OSを仮想化

デスクトップ仮想化によるメリットとして、以下のことが挙げられます。

・デスクトップ環境をサーバー側で集中管理できるため、OS やアプリケーションを一括管理できる
・オフィスだけでなく、自宅や外出先からも同じデスクトップ環境を利用できる
・個人情報漏えい事故等の防止
・1つのデスクトップ環境を複数の利用者で共有できる

 

今回ご紹介するCitrix XenDesktopでは、通常のPCはもちろん、iPhoneやiPadなどを使って仮想デスクトップ環境を利用することができます。

このようなデスクトップ仮想化を実現するソリューションをVDI(Virtual Desktop Infrastructure)と呼びます。代表的なVDIには、Citrix XenDesktopのほか、Microsoft VDI、VMware Viewなどがあります。

なお、Citrix XenDesktopにおけるVDI機能はCitrix XenDesktopの機能のほんの一部に過ぎず、後述のアプリケーションの仮想化を実現するXenAppと組み合わせる事によってユーザーの様々な要求に応えられる、あらゆるタイプのデスクトップ環境を仮想的に配信出来ます。

 

■アプリケーション仮想化とは

アプリケーション仮想化とは、アプリケーションを個別のデスクトップにインストールせず、サーバーで集中管理して運用するソリューションです。アプリケーション仮想化には、アプリケーションをサーバー側で実行する方式と、デスクトップ側で実行する方式の、2つの方式があります。

アプリケーション仮想化によるメリットとして、以下のことが挙げられます。

・アプリケーションをサーバー側で集中管理できるため、バージョンや設定などを一括管理できる
・オフィスだけでなく、自宅や外出先からもアプリケーションを利用できる
・アプリケーションを複数の利用者で共有できる

代表的なアプリケーション仮想化には、Citrix XenAppやMicrosoft App-V、VMware ThinAppなどがあります。

アプリケーション仮想化のメリットは、デスクトップ仮想化のメリットと似通っています。両者の違いは、ユーザーが利用するデスクトップ環境全体を仮想化するのか、ユーザーが実行するアプリケーションを個別に仮想化するかの違いです。両者を組み合わせることで、より効率的な環境を実現することができます。

Citrix XenAppはXenDesktop同様、通常のPCはもちろん、iPhoneやiPadなどを使って公開アプリケーションを利用したり、共有ドキュメントにアクセスする事ができます。

また、XenDesktopとXenAppのアプリケーション公開機能、アプリケーションストリーミング機能を組み合わせることで、より多彩なメリットを享受することができます。

 

■XenDesktopの構成

XenDesktopは以下の3つのコンポーネントで構成されています。

    • XenDesktop Controller

XenDesktopインフラストラクチャの中心的な役割を担うものです。ユーザーへの仮想デスクトップの配信のほか、ユーザー認証、VM電源管理、ポリシーの決定など、仮想デスクトップのアクセス制御などを行います。

    • Web Interface

ユーザーがデスクトップやアプリケーションにアクセスするためのアクセスポイントです。アプリケーション、デスクトップ、またはその両方のリンクがユーザーに表示されます。ユーザー認証方法や、仮想デスクトップの画面色数の設定などを行う事が出来ます。

    • Provisioning Services

単一のシステムイメージを複数の仮想マシンに配信します。各仮想マシンは配信されたシステムイメージを使って、OSやアプリケーションを起動できます。

これら3つのコンポーネントをインストールするサーバーは、同じActive Directoryのドメインに参加している必要があります。小規模な構成で利用する場合、Provisioning Servicesを導入しない構成も可能です。その場合、管理コンソールでどのユーザーがどの仮想デスクトップを利用するのかを正しく設定する必要があります。

 

■XenServerについて

Citrix XenServerは、サーバー仮想化プラットフォームです。サーバー仮想化とは、単一の物理サーバー上で複数の仮想マシンを実行できるようにする技術です。各仮想マシンは、完全に隔離された状態で異なるオペレーティングシステムやアプリケーションを実行することが可能となります。

ここでは、ユーザー独自の完全な仮想マシン(VM)と、OS、アプリケーション、設定を含むカスタマイズされたデスクトップ環境を各ユーザーに提供できる設定を行うためにXenServerを利用いたします。

ユーザーは、自身のクライアントデバイスからサーバー上の仮想マシン内でアプリケーション・データとOSストリーミングを組み合わせて自身専用のデスクトップ環境を使用できます。

また、XenServerはクラウドや仮想環境に実績のあるエンタープライズクラスの仮想化プラットフォームであり、仮想インフラストラクチャーの作成と管理に必要とされるすべての機能を提供しています。ライブマイグレーションや共有ストレージのサポート、P2VおよびV2V変換を備えていながら、無償で利用できるサーバー仮想化製品であるため、最近では広く利用されるようになりました。XenServerは、用途や目的ごとに複数のエディションが提供されており、無償版のほか、対応している機能ごとに以下のエディションがあります。

  • Advanced
  • Enterprise
  • Platinum

 

例えば、可用性のサポートが必要な場合はAdvanced、自動的なロードバランシングが必要であればEnterprise Editionが必要になります。

各Editionの違いについて詳しい説明はこちらのサイトをご覧ください。

無償版のXenServerをインストール後30日以上継続して利用したい場合は、アクティベーション(無償)を行う必要があります。

アクティベーションを実行してXenServerのユーザー登録を行うことで、XenServerを継続利用するためのライセンスを取得出来ます。ただし1年の有効期限付きのライセンスであるため、アクティベーションは1年ごとに行う必要があります。

 

■XenDesktop/XenAppを使うための準備

XenDesktopとXenAppを使い始めるには、以下のような手順で環境を構築します。

My Citrix アカウント登録
必要なコンポーネントのダウンロード
インストール
ライセンスの適用
各種設定
仮想デスクトップ/仮想アプリケーションの実行

今回はMy Citrixへアカウント登録を行い、各コンポーネントをダウンロードする手順を説明します。

 

■My Citrix アカウント登録

必要なコンポーネントをダウンロードするには、Citrix社のWebサイトでMy Citrixにアカウントを作成する必要があります。

1.Citrix社のWebサイトにアクセスします

2.右上の[Log In]リンクをクリックします
デスクトップ仮想化

3. My Citrixサイトへ移動

4.[新規カスタマーアカウント]をクリックします

デスクトップ仮想化

5.「My Citrix 登録」画面が表示されたら、必要事項を入力しアカウントを登録します

デスクトップ仮想化

[My Citrixサイト]アカウント登録入力画面

6.ID/パスワードの情報をメールで受け取ります

7.アカウントを有効化します

 

登録が完了すると、ID/パスワードの書かれたメールが届きます。
添付された URL にアクセスし、アカウントを有効にしてください。

My Citrixについて詳しくは以下のページを参考にしてください。

・My Citrixのユーザー登録について

http://www.citrix.co.jp/customerservice/mycitrix/new_user.html

・そのほかの情報

http://www.citrix.co.jp/customerservice/mycitrix/
http://www.citrix.co.jp/customerservice/ps_faq.html

 

■必要なコンポーネントのダウンロード

XenDesktopは複数のコンポーネントによって成り立ちます。ここでは必要なコンポーネントをダウンロードする手順を説明します。

1. 登録したMy CitrixのIDでログインする。

デスクトップ仮想化

2. 「Welcome to My Citrix」というページが表示される。

デスクトップ仮想化

3. グレーのバー上の「Downloads」をクリックする。

4. 「The downloads you need in one, easy place.」というページが表示されるので、同ページの「Search Downloads by Product」から「XenDesktop」を選択する。

デスクトップ仮想化

5. このページから「XenDesktop 5.6 xxx」をクリックする。

6. 「XenDesktop 5.6」のページが表示されるので、「Custom Download」をクリックして展開して、以下のコンポーネントをダウンロードしてください。

・Delivery Controller and Additional Components
・Desktop Director
・Receiver for Windows
・XenApp for Windows Server 2008
・XenServer(※XenServer上にXenDesktop VDI環境を構築する場合に必要)
・Provisioning Services
・Profile Manager

7. ダウンロードするには「Download Agreement」に同意する必要があります。「I have read and certify that I comply with the above Export Control Laws.」にチェックマークを入れて、「Accept」ボタンを押します。

8. Citrix Download Managerが表示されますので「Download Now」ボタンを押してコンポーネントをダウンロードしてください。

9. ダウンロードしたisoファイルをCD-R/RWやDVD-R/RWなどのメディアに書き込んでおいてください。NFSサーバー上にISOイメージを置く環境があればメディアに書き込む必要はなく、XenServerからISOイメージを直接読み込むことができます。

 

【参考情報】ISOファイルをCD-Rに書き込む方法
・Windows XP/2003

http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/win2ktips/825isorec/isorec.html
・Windows 7/Windows Server 2008 R2
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/win2ktips/1259win7isowrite/win7isowrite.html

【参考情報】NFSをXenServerで使う

XenServerはISOイメージをNFSサーバー上に置くことにより、ISOイメージをCD/DVDなどに書き込むことなく読み込むことができます。
最後にNFSサーバーの構築方法とXenServerでNFSサーバー領域を登録する手順を説明します。

なお、今回の手順ではCentOS 5を使ってNFSサーバーを構築します。
以下の手順に従って構築してください。

◆NFSサーバーの構築
1)CentOS 5を通常通りインストールしたあと、固定IPを設定します。

IP:172.18.5.5
サブネットマスク:255.255.0.0
デフォルトゲートウェイ:172.18.5.1
DNS:172.18.5.12(※ADサーバーのIP)

2)nfs-utilsパッケージをインストールします。
# yum install nfs-utils

3)idmapd.confのドメインをCentOSのホスト名に書き換えます。
# vi /etc/idmapd.conf
Domain = nfs.localdomain

4)/etc/exportsにNFS共有する場所とオプションを指定します。
# vi /etc/exports
/nfs 172.18.5.0/24(rw,sync,no_root_squash,no_all_squash)

5)NFS共有するフォルダを作成します。
# cd /
# mkdir nfs
# chown nfsnobody:nfsnobody /nfs

6)必要なサービスを起動します。
# /etc/init.d/portmap restart
# /etc/init.d/nfslock restart
# /etc/init.d/nfs start

7)サービスの自動起動を設定します。
# chkconfig portmap on
# chkconfig nfslock on
# chkconfig nfs on

以上で、ファイアウォールを無効にしている場合はNFSサーバーの準備は完了です。
NFSサーバーのファイアウォールを有効にして使う場合は以下のページを参考に、各種ポートの固定とポート解放を行なってください。
http://www.tooyama.org/nfs.html

 

◆XenServerでNFSサーバー領域を登録する

1)XenCenterでXenServerにアクセスします。

2)サーバーを「右クリック→New SR」をクリックします。

3)「New Storage Repository」で「NFS ISO」をクリックします。

4)NFSライブラリの名前を決定します。

5)「Share Name」にNFS共有の場所を入力します。
例) 172.18.5.5:/nfs

以上でXenServerからNFS領域にアクセスできるようになります。
後はNFSサーバーの/nfsにISOイメージを転送すれば、仮想マシンにOSやアプリケーションをインストールする際に インストールメディアの一つとして利用可能になります。

デスクトップ仮想化

 

今回はデスクトップ仮想化の紹介、My Citrixの登録方法、XenDesktopコンポーネントのダウンロードについて説明いたしました。

次回は最新のハイパーバイザーXenServer 6.0.2のインストール、XenDesktop環境の構築に移りたいと思います。