デスクトップ仮想化ライセンス

デスクトップ仮想化のライセンスの考え方

デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化の導入時にライセンスに関して多くの質問が寄せられます。一般的なPCの導入、展開と違い、ライセンスの考え方に関して注意しなければならない点がいくつかあります。特にマイクロソフト社のWindowsの ライセンスは、物理PCで利用する場合と、仮想化してリモートで利用する場合で大きく異なります。本記事はデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化導入時に必要なWindowsやCitrix製品のライセンスの考え方についてご紹介します。

仮想化とライセンス

一般的にWindowsを利用する場合、マイクロソフト社が提供するOEMライセンスやFPPライセンスを利用しています。OEM(Original Equipment Manufacturer)ライセンスとはPCや周辺機器などにバンドルされて販売されます。FPP(Full Package Product)は、パッケージ(箱)として小売店などで販売されます。ここでOEMおよびFPPのWindowsでは、ライセンス使用許諾契約(EULA)により、リモートアクセスには一定の要件を満たしたユーザーしか行えず、VDIのような多数のユーザーによるリモートアクセスは許諾されない」という重要なポイントがあります。そのため、VDI等で利用するためのライセンスが用意されています。

それでは実際に仮想化環境ではどのように考えれば良いかをご紹介します。

VDIの場合のWindowsライセンスの原則

Windows 7 やWindows 10 などのクライアントOSを、XenDesktopを活用しVDI構成する場合、保有しているOEMやFPPのWindowsライセンスを仮想環境に移行し、リモートアクセスして利用することはできません。

リモートからWindows OSを利用する場合には、リモートアクセスで使用するためのライセンスが別途必要になります。このライセンスは、サーバーにホストされた仮想マシンの数ではなく、接続するデバイスに依存することをご注意ください。つまりサーバー上に仮想デスクトップを10台準備しておき30台の端末からアクセスする場合には、必要なライセンス数は30です。

接続するデバイスに必要となるライセンスは、その種類に応じて2種類あります。

(1) Windows PCであればWindows SA(Software Assurance)
接続する端末がWindows PC であれば、その端末にWindows SA を適用することで、VDIのクライアントとして使用可能です。マイクロソフト社が提供するSAとは、最新のバージョンへのアップグレード権利やサポートなどを提供するソフトウェアアシュアランスです。

(2) 非Windows端末にはVDA(Virtual Desktop Access)
接続する端末がタブレットやスマートフォンなど非Windows 端末の場合、Windows SA を適用することができないため、VDAを購入することでVDIのクライアントとして使用可能です。このライセンスはWindows PC に適用することも可能です。

vdi

例外規定の「ローミング使用権」で個人所有のデバイスからリモートアクセス

社内のWindows SAまたはVDAが適用されている端末の1名の主要なユーザー(任意の90日で50%以上、そのデバイスを使用するユーザー)は、第三者所有の端末より社外からVDI環境を利用する場合には追加のライセンスなしにVDI環境に接続可能です。ただし社内や関連会社内からのアクセスには適用できないので注意が必要です。デスクトップ仮想化と並行して、私物のデバイス利用を促進するBYODや在宅勤務での活用を検討するお客様が増えてきています。第三者所有には個人の所有物が含まれるためこのような場合にはローミング使用権を活用しライセンスコストを圧縮できます。

VDAライセンスがお得になるCSL(コンパニオン サブスクリプション ライセンス)

Windows SA または VDA を所有している場合、Windows コンパニオン サブスクリプション ライセンス(以下、CSA)を取得することが可能です。これによりライセンスの対象となるデバイスの主要なユーザーは、最大4つの追加のデバイスからVDI環境に接続可能になります。

サーバーベースコンピューティング(SBC)方式のライセンス

SBC方式とは、クライアントアプリケーションをサーバーに集約して実行させる方式です。Citrix XenAppやWindows Server Remote Desktop Services(RDS)などを用いたSBC方式による仮想化を行う場合、必要なライセンスが異なります。

この場合は、接続するデバイスまたはユーザー単位で、Windows Server Remote Desktop Services Client Access License (RDS CAL) が必要になります。VDI方式の際に必要となるWindows SA または VDA のライセンスとSBC方式の際に必要となる RDS CAL では、そのライセンス形式に大きな違いがあります。
Windows SA または VDA のライセンスは、使用する期間購入することが必要なサブスクリプションであるのに対し、RDS CAL はバージョンごとの通常のライセンスです。

rds

シトリックス製品のライセンスの考え方

XenDesktopやXenAppなどシトリックス製品のライセンスの考え方をご紹介します。

XenDesktopでは、「ユーザー/デバイスライセンス(User/Device)」「同時接続ユーザーライセンス(CCU)」の大きく2つのライセンス形態を提供しています。前者は企業全体でのデスクトップ仮想化活用に適したライセンスであるのに対して、後者は仮想デスクトップやアプリケーションへの不定期アクセスを必要とする環境に適しています。いずれのライセンスもSA(サブスクリプションアドバンテージ)と呼ばれるテクニカルサポートとソフトウェアの更新権をセットにしたサポートを付与することが可能です。XenAppの場合には後者の「同時接続ユーザーライセンス(CCU)」のみの提供となります。

それぞれのライセンスに関して具体的にご紹介します。

まず、ユーザー/デバイスライセンスに関してです。
ユーザーライセンスは、1 人のユーザーが任意の数のデバイスから任意の数のデスクトップや仮想アプリケーションに無制限にアクセスすることを許可します。デバイスライセンスは、任意の数のユーザーが使用可能な 1 台のデバイスから、任意の数のデスクトップや仮想アプリケーションに無制限にアクセスすることを許可します。仮想デスクトップへの無制限のアクセスまたは複数のデ バイスからのアクセスを必要とするユーザーには、ユーザーライセンスが最適です。1 台のデバイスを他のユーザーと共有するユーザーには、デバイスライセンスが最適です。企業の要件に応じてユーザー/デバイスライセンスの適切な数を算出することになります。

次に同時接続ユーザーライセンスです。
同時接続ユーザーライセンスは、デバイスがアクティブな接続を確立している場合にのみ「使用中」と見なされます。つまりこの「使用中」の状態の最大値を同時接続ユーザーライセンスとして算出し購入する必要があります。この同時接続の状態はライセンスサーバーで管理されます。接続が終了すると、別のユーザーが直ちに使用できるように、同時接続ライセンスはライセンスプールに戻されます。このライセンスモデルは、不定期または匿名での使用に最適です。

注意!デスクトップ仮想化のOSイメージの展開とライセンス

デスクトップ仮想化を実現する場合、WindowsデスクトップOSのイメージを仮想デスクトップに割り当てることになります。そこでライセンス認証に関する問題が出てきます。マイクロソフト社はOEMライセンスとFPPライセンスの場合、適用するPC以外のPCに利用することを認めていません。つまりデスクトップ仮想化でデスクトップOSイメージを展開する場合には、ライセンスされたデバイス以外に複製を行うことになるため、許諾されません。マイクロソフト社ではイメージの展開用に「ボリュームライセンスメディア(VLメディア)」を提供しています。

VLメディアのライセンス認証には「ボリュームアクティベーション」が必須になります。ボリュームアクティベーションは、ボリュームライセンスを購入されたお客様のライセンス認証手続きを自動化および管理することを目的としています。
ボリュームアクティベーションを実装する際は、キー管理サービス (KMS) とマルチライセンス認証キー (MAK)の2つが存在し、どちらか一方でライセンス認証を行う仕組みになります。

企業がOEMライセンスを保有している場合には、マイクロソフトはボリュームライセンス契約に基づき「再イメージング権」を提供しています。この再イメージング権は、購入した PC(OEMライセンス) と同じバージョン、同じエディションのボリュームライセンスメディアを用いて作成したマスターPC のイメージを大量展開する権利です。再イメージング権を行使するためだけにライセンスの購入をする必要はありません。

パブリッククラウド(IaaS)の場合のライセンス

前述したライセンスは、オンプレミス環境での展開を中心とした考え方でした。

多くの企業では、アプリケーションやデスクトップをパブリッククラウド上に展開することを模索しています。XenDesktopやXenAppといったソフトウェアもIaaS環境で動作させることが可能になってきたため、デスクトップ環境のパブリッククラウドへの移行も加速しています。しかし、パブリッククラウドにおけるライセンスに関してはいくつかの注意点が必要です。

ここでは、デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化をパブリッククラウドで実現する場合のライセンスに関してご紹介します。

マイクロソフト社では、企業や組織が保有するボリュームライセンスをパブリッククラウドで利用可能にするためのに、SA(ソフトウェア アシュアランス)の特典として「ライセンスモビリティ」を規定しています。このライセンスモビリティとは特定のアプリケーションを Microsoft Azure やAmazon Web Services (AWS) といったサービスプロバイダーのクラウド環境に導入することができるライセンスです。

もう一つは、SPLA (事業者向けのライセンス: Microsoftサービス プロバイダー ライセンス アグリーメント)を通じてサービス プロバイダーがライセンスを取得し、お客様はインフラストラクチャ サービスの一部として使用する方法で、こちらはサービスプロバイダがサービスの一部として提供することになります。

ここでポイントとなるのは、ライセンスモビリティの対象、およびSPLA製品にWindows デスクトップOS(Windows 7, Windows 8など)が含まれていない点です(2015年7月20日時点の情報です)。つまり、IaaS環境上でWindows デスクトップOSを配信することは認められていないことに注意する必要があります。

IaaS環境でデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化を行う場合にはWindows Server製品(Windows Server 2008, Windows Server 2012など)を利用する必要があることに注意が必要です。

まとめ

現時点での情報をもとにデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化を実現する際のライセンスに関する一般的な考え方をご紹介しました。実際に購入を行う場合には日本マイクロソフト社およびシトリックス社にお問い合わせください。