[TIS]2010年、デスクトップ仮想化を本格的に推進。データセンター事業のサービスとしてDaaSにも期待

独立系SI企業であるTISとシトリックスの協業は、XenAppがMetaFrameと呼ばれていた1990年代後半までさかのぼります。TISでは、シトリックスがXenDesktopやXenClientなどの先進的なテクノロジを発表したことを機に、今後のデスクトップ仮想化市場の拡大も視野に入れ、シトリックスとの協業関係を強化しました。そんな同社に、デスクトップ仮想化を中心とした取り組みや考え方などについてお伺いしました。

先進かつ効果的なIT基盤サービスの提供を目指す

独立系SI企業として、常に「お客様にとって最適なIT環境」を提供することを企業理念とするTIS株式会社(以下、TIS)。顧客が抱える課題を解決するためのシステム構築で培った豊富な経験とノウハウ、確かな技術力に基づいて、システムライフサイクルのあらゆるフェーズを包括的にサポート。グリーン指向の次世代型データセンターを中核とした、先進的なITサービスを提供しています。

デスクトップ仮想化

TIS株式会社

TISでは、IT基盤構築・運用に関するノウハウの集約とビジネスの拡大目的に、2009年4月1日にIT基盤サービス事業部を設立。現在(2010年4月)では、お客様の業界ごとにサービスを提供する金融事業統括本部、産業事業統括本部の2つの統括本部に加え、業界横断的にサービスを提要するITソリューションサービス事業部、IT基盤サービス事業部の2つの事業部により、常に先進の「最適」を“世界基準”で顧客に提供できるITパートナーになることを目指しています。

シトリックスとの協業により、デスクトップ仮想化を推進するIT基盤サービス事業部では、サービスの拠点となる「次世代データセンター」を中核に、お客様のシステムを預かって運用・管理する「アウトソーシング」、ITインフラを最適化する包括的なサービス「IT@VSOP」を中核とした「IT基盤システムの設計・構築」、PaaS/IaaS(*1)を中心とした「IT基盤のクラウドサービス」の4つのサービスを中心に事業展開しています。

IT基盤サービス事業部 副事業部長の小竹裕之氏は、「従来、IT基盤サービスは、各業種別の事業部内で担当していましたが、より一層のビジネスの拡大を目的に新たな事業部としてスタートしました。現在は、コストを削減しながら、より強固な基盤を構築したいという要望が多く、仮想化を中心としたソリューションを提供しています」と話しています。

TISでは現在、2011年4月のサービスインに向けて、首都圏では最大級となる次世代型データセンター「GDC御殿山」の構築をすすめております。

(*1)PaaS:Platform as a Service/IaaS:Infrastructure as a Service

2010年度はデスクトップ仮想化を本格的に推進

TISでは2005年より、情報セキュリティ対策のソリューションとして、シンクライアント端末を採用したシステム構築サービスの提供に取り組んでいます。小竹氏は、「これからは、営業やサービスマンの様に、仕事の時間の大半を社外で費やす方々や、在宅勤務を採用する企業が増え、ワークスタイルに応じたクライアント環境を導入していく必要があると考えていたこともシンクライアント化に注目した理由でした」と話します。

デスクトップ仮想化

TIS株式会社
IT基盤サービス事業部
副事業部長
小竹裕之氏

しかし当時は、シンクライアント環境を導入するためには、高スペックのサーバが必要なほか、アプリケーションの作り直しが必要になるなど、かなり大がかりなシステム構築が必要になり、コストも高額になることから思ったほどの成果を出すことができませんでした。

小竹氏は、「単にハードウェアの入れ替えではなく、既存の資産をいかに有効に活用しながらシンクライアント化を実現するかが課題でした。この分野は、いずれ大きなビジネスになるという思いはありましたが、当時はそれを実現するための選択肢が少ないというのが実情でした」と話します。

しかし2009年ごろからは、ハードウェアを中心としたシンクライアント化だけでなく、XenDesktopなど、ソフトウェアを中心としたデスクトップ仮想化という選択肢が増えたことから問い合わせも多くなり、2009年後半にはデスクトップ仮想化を導入する企業も少しずつ増えてきました。

小竹氏は、「シンクライアント化における新しいアプローチがデスクトップ仮想化だと思っています。デスクトップ仮想化が登場したことで、市場が本格的に動き出したという実感があり、2010年度は本格的にデスクトップ仮想化に取り組んでいくことにしています」と話しています。

個別案件からすべての案件へシトリックスとの協業を拡大

TISとシトリックスとの出会いは古く、まだXenAppがMetaFrameと呼ばれていた1990年代後半までさかのぼります。XenAppは、C/Sシステムとして構築されている既存のアプリケーションを、サーバベースコンピューティングに移行することで、容易にブラウザ対応できる仕組みとして注目され、採用が進んでいました。

小竹氏は、「特に低帯域幅のネットワークでも、高いパフォーマンスとセキュリティ、管理性のもとにアプリケーションを利用できる点を評価しました」と話します。現在では、データセンターからデスクトップ、そしてアプリケーションまでを包括的に仮想化するためのソリューションの実現を目的に、シトリックスとの提携関係を強化しています。

小竹氏は、「シトリックスでは、デスクトップ仮想化に注力するというメッセージを打ち出しています。このメッセージとビジネス領域は、我々が考えているデスクトップ仮想化とまったく同じ方向性だと思っています」と語ります。

また、IT基盤サービス事業部 IT基盤サービス営業部 主査の嶋村誠氏は、「XenDesktop 4.0がリリースされたこともあり、技術的にもきちんと理解しておく必要があると思っています。また、認定資格の取得を含めた技術者の育成も行っていく計画です。2010年は、TIS社内においてデスクトップ仮想化のデリバリ体制をきちんと確立したいと考えています」と話しています。

そのほか、TISとシトリックス両社共同で、顧客の要望に関する情報交換のためのミーティングを定期的に実施したり、共同でセミナーやイベントを開催したりする計画です。具体的な取り組みとしてTISでは、7月22日に「ここまで使える!事例で分かる!仮想デスクトップ最新動向セミナー」を開催、また8月にはワークショップ形式のセミナーも実施する予定です。

「クライアント管理をいかに効率化していくかという中で、デスクトップ仮想化は避けて通れない技術です。これまでは、個別の案件でシトリックスと協業していましたが、今年からはすべての案件で全面てきに協業していきます。セミナーなど、共同の啓蒙活動も継続していく計画です」(小竹氏)

Windows 7の登場がデスクトップ仮想化を加速

デスクトップ仮想化の導入効果について嶋村氏は、次のように話します。「我々のお客様は、サーバ統合やアプリケーション統合については、すでにXenAppやXenServerで経験しているので、仮想化のメリットについては十分に理解しています。デスクトップ仮想化のメリットについてもすぐにイメージできるでしょう」

デスクトップ仮想化

TIS株式会社
IT基盤サービス事業部
IT基盤サービス営業部 主査
嶋村誠氏

「特にWindows 7がリリースされたことが、デスクトップ仮想化の追い風となっています。Windows XPのサポートが終了するために、企業ではWindows 7に移行する必要がありますが、数百台、数千台の物理PCに対し、1台ずつWindows 7を導入していくのは効率的ではありません。また、Windows 7を導入するために、古いPCを買い換える必要がありますが、デスクトップ仮想化により、スペックを満たさない古いPCの上でもWindows 7を使うことが可能になります」(嶋村氏)

また、IAサーバの性能が大幅に向上したことで、仮想PCをより効果的に導入することが可能になったこともデスクトップ仮想化の導入を加速させています。従来であれば、1サーバあたり10ユーザー程度しか管理できませんでしたが、現在では同価格のサーバで30〜40ユーザーを管理することが可能になっています。

小竹氏は、「これまでのシンクライアント化では、数百台が限界でした。しかしデスクトップ仮想化であれば、数千台のビジネスも期待できます。大規模になればなるほどコストメリットが期待できることがデスクトップ仮想化のメリットといえます」と話しています。

「最近では、XenDesktopを指名する企業が増えてきました。少ない数のデスクトップ仮想化では、他社の製品が指名されることもありますが、規模が大きくなればなるほど、XenDesktopを指名する企業が多くなります」と嶋村氏。

「大規模なデスクトップ仮想化でXenDesktopが評価される理由としては、シトリックスのICAクライアントやHDXデリバリテクノロジの優位性が挙げられます。ICAクライアントやHDXデリバリテクノロジにより、大規模システムにおいてもネットワークに悪い影響を及ぼすことなく、高いパフォーマンスを実現できることがXenDesktopを採用する理由です」(嶋村氏)

嶋村氏はさらに、「ネットワークのコストは、LANでも、WANでも、ボディブローのように後で効いてきます。そこで大規模なデスクトップ仮想化の案件においては、8割以上でXenDesktopが採用されています。この高いパフォーマンスは、他社に比べ大きなアドバンテージだと考えています」と話しています。

オフライン環境でも使えるXenClientに大きな期待

今後、シトリックスに期待することについて嶋村氏は、「オフラインでも使えるXenClientがリリースされたのですが、シトリックスには。XenClientをどんどんブラッシュアップしてほしいと思っています。XenClientが使えるようになれば、企業内のクライアントがPCでなくてもかまわない日がやってきます」と話します。

「HDXデリバリテクノロジも進化したことにより、これまでPCでしか動かないソフトウェアがあるのでシンクライアントを敬遠していた企業も、PCでなくてもかまわない状況になるでしょう。たとえば、高速なグラフィック機能が必要な3次元CADシステムや、上り下りのネットワーク帯域幅が必要なソフトウェアフォンなども利用可能になります」(嶋村氏)

また、これまでのシンクライアント環境は、ネットワークにつながっていることが前提でした。しかし、XenClientの登場により、オフライン環境でもセキュアに使えるシンクライアント環境を利用したいと考えている企業に早期にソリューションを提供することが可能になります。

小竹氏は、「今後は、我々が提供しているクラウドサービスであるTEOS(ティアイエス エンタープライズ オンデマンド サービス)のサービスのひとつとして、シトリックスのデスクトップ仮想化を取り入れていきたいと考えています。PaaS/IaaSからDaaSへのサービス拡大です。そのためにも今後もシトリックスとのより一層の協業強化を期待しています」と話しています。