日本に新たな活力を与える、モバイルワークのすすめ

~企業ITのモバイル化、現実的なアプローチの提言~

日本のモバイル活用の現状

クラウドコンピューティングEXPO 春の特別講演で、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社のチャネル アンド マーケティング本部長 鈴木 和典氏が登壇し、日本に新たな活力を与えるモバイルワークのために、企業ITをモバイル化するための現実的なアプローチを提言しました。講演の冒頭で、鈴木氏は日本のモバイルにおける現状を次のように整理します。

citrix_suzuki_waten_sama1「国や地域による組織でのモビリティの活用を比較したときに、日本はアメリカや中国に続く経済大国でありながら、モバイルでの働き方については、世界平均よりも下回っています」
同社の分析によれば、アメリカでは63%の従業員が場所や端末に制約されることなく仕事を推進でき、48%の企業がその利用を奨励しています。中国でも48%の企業がモバイルを奨励すると共に、69%の従業員が活用しています。それに対して、日本は世界平均の43%よりも低い、31%の従業員だけがモバイルを活用し、22%の企業しか利用を奨励していません。
「モバイル端末の中でも、スマートフォンの利用に注目すると、シンガポールの76.8%をトップに、韓国(67.8%)、英国(56.3%)、米国(47.6%)、フランス(44.4%)という順位で、日本は38.2%という低い利用率にあります」と鈴木氏は補足します。
現実として、日本ではスマートフォンがビジネスで充分に活用されていない現状があります。その一方で、シャドウITと呼ばれる企業が認知していない未承認の端末による利用が多い実態もあります。

「こうした現状を整理しますと、日本では企業ITのコンシューマ化の流れに乗って、ユーザーのニーズは高まっているものの、組織としてはまだ消極的なのです」と鈴木氏は分析します。

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労務管理の視点から見たモバイル化の課題

「労働基準法では、事業場外みなし労働時間制として、第三十八条の二が営業職など事業所外での業務を規定する根拠となっています。しかし、このみなし労働時間制の採用企業の割合は、平均で約10%と低く、大企業ほどみなし労働時間制の採用割合が高いものの、約90%の労働者は適用外という現状にあります」と鈴木氏は労務管理におけるモバイル活用の課題について説明します。

多くの企業では、時間と場所による労務管理を規定しているため、営業職のような外出が多い職種においては、みなし労働時間制を適用できるものの、その範囲は一部にとどまっています。

「ここ数年の推移においても、大きな変化は見られません。就業規則などの労務規定において、日本では出社を前提とした労務管理が行われているのです」と鈴木氏は指摘します。

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