[NTTデータ]どこもやっていない新たなデスクトップ仮想化で国内No. 1インテグレーターを目指す

2012年度までの中期経営で1兆5000億円の売上を達成し、世界のグローバルIT企業のトップ5を目指すという目標を掲げるNTTデータ。その取り組みのひとつとして、2010年2月にシトリックスとの提携を発表し、デスクトップ仮想化の国内ナンバーワンになるための取り組みを推進しています。そんな同社に、デスクトップ仮想化を中心とした取り組みや考え方などについてお伺いしました。

デスクトップ仮想化

株式会社NTTデータ
基盤システム事業本部 システム開発担当
仮想化ビジネスプロジェクト シニアコンサルタント
坂野雅子氏

2012年にグローバルトップ5を目指すNTTデータ

NTTデータでは、ITの活用で、新しい“しくみ”や“価値”を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献するという企業理念のもと、経営者、社員、一人ひとりが自らなすべきことを考え、行動を改革し、事業そのものを変革することに取り組んでいます。また、グループ全体で「Global IT Innovator」というビジョンを掲げ、グローバル展開を視野に入れながら、ITを駆使して社会を変革することを目的に常に進化を続けています。

2012年度までの中期経営では、2012年度に1兆5000億円の売上を達成し、世界のグローバルIT企業のトップ5を目指すという目標を設定。社員一丸となって、システムインテグレーション事業、サービス事業、ソフトウェア事業の主力3事業を推進しています。その取り組みのひとつとしてNTTデータでは、2010年2月にデスクトップ仮想化ソリューションの分野における包括的な提携をシトリックスと発表しました。

デスクトップ仮想化の国内ナンバーワンを目指す

NTTデータでは、10年以上にわたりサーバの仮想化に取り組んできました。基盤システム事業本部 システム開発担当 仮想化ビジネスプロジェクト シニアコンサルタント(MS開発部)の坂野雅子氏は、「これまでは他社の仮想化ソフトウェアを使用してサーバ統合を実現してきました。たとえば、約140台のサーバを6台程度に集約した事例もあります」と話します。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)の取り組みとしては、2005年に日本初となる仮想PC方式によるシンクライアントシステムを社内に導入。サーバ仮想化ソリューションとともに、シンクライアントシステムの販売も開始しましたが、VDIに関しては、なかなか軌道に乗せることができませんでした。

最大の原因のひとつとして、当時のネットワーク環境が低帯域幅であったために、シンクライアント環境で利用できないアプリケーションが多かったということが挙げられます。坂野氏は、「当時はお客様が抱えている課題に対して、技術的に解決できないことが多くありました。そのため、数多くの提案を行っていたにも関わらず、なかなか契約までには至りませんでした」と話します。

しかし、XenDesktopが登場したことで、これまで実現が難しかったシンクライアントシステムを、お客様の要望に応える形で提供できるようになりました。こうした背景に基づき、シトリックスと協力することで、デスクトップ仮想化の国内ナンバーワンインテグレーターを目指すことを発表しています。

NTTデータにおいて、デスクトップ仮想化ソリューションを推進するMS開発部は、MSという頭文字から連想されるマイクロソフト製品だけを取り扱う部門ではなく、インテルアーキテクチャ(IA)を採用したソリューション全般を取り扱っている部門です。

坂野氏は、「MS開発部では、IAを採用したさまざまなソリューションをパートナー企業と協力して提供しています。仮想デスクトップの分野ではシトリックスと協業していきます。VDIだけでなく、Microsoft SharePointなどと組み合わせたソリューションとして提供できるほか、大規模案件にも対応できることがNTTデータの強みです」と話しています。

シトリックスと4つの取り組みを推進

デスクトップ仮想化の実現にXenDesktopを採用した理由を坂野氏は、「XenDesktopは、サーバサイドのテクノロジに依存しないので、お客様にとって最適なVDI環境を柔軟に実現できる点がメリットです」と話します。

また、基盤システム事業本部 システム開発担当 仮想化ビジネスプロジェクト シニアコンサルタント(MS開発部)の小川一元氏は、「データセンターからデスクトップまで、エンド・ツー・エンドの仮想化ソリューションを提供できるのがシトリックスの強みだと思っています。MS開発部ではマイクロソフトのHyper-Vも取り扱っているので、マイクロソフトとシトリックスが仮想化の分野で提携を強化していることも我々にとっては有利です」と語ります。

デスクトップ仮想化

株式会社NTTデータ
基盤システム事業本部 システム開発担当
仮想化ビジネスプロジェクト シニアコンサルタント
小川一元氏

NTTデータでは、シトリックスとの協業により、次の4つの取り組みを推進していく計画です。

(1)国内最大規模のCitrix XenDesktop認定資格取得者を養成
(2)自社内におけるCitrix XenDesktopの導入
(3)コンピテンシーセンターの開設
(4)新たなデスクトップ仮想化ソリューションの構築

まず、(1)国内最大規模のCitrix XenDesktop認定資格取得者を養成では、2010年前半をめどに、国内最大規模の人数の認定技術者を育成する計画です。小川氏は、「シトリックスが提供しているトレーニングコースを社内に展開するなど、全社で取り組んでいることが特長です」と話します。

また(2)自社内におけるCitrix XenDesktopの導入では、社内にXenDesktop環境を構築し、将来的にはオフィス内クラウド環境を実現。社内プロジェクトの開発環境として貸し出すことなども検討されています。小川氏は、「まずはXenDesktopにより、プロトタイプを構築し、MS開発部で検証していく計画です」と話します。

さらに(3)コンピテンシーセンターの開設では、XenDesktopをベースに顧客企業の稼働環境を検証するためのコンピテンシーセンターを開設する計画です。坂野氏は、「現在、新しいショールームを本社内に開設する準備をしているのですが、そこをすべて仮想化するという計画があり、XenDesktopの導入を検討しています」と話しています。

最後に(4)新たなデスクトップ仮想化ソリューションの構築に関して坂野氏は、次のように語ります。「これまでNTTデータが仮想化ソリューションの実現で培った経験やノウハウを生かし、シトリックスが提供するVDI環境と組み合わせることで、どこもやっていない新たなデスクトップ仮想化ソリューションを構築し、他社との差別化にしていきたいと思っています」

新しい分野のひとつとして、3次元CADシステムを販売しているNTTデータエンジニアリングシステムズと協力することで、3次元CADに特化したデスクトップ仮想化ソリューションの実現に取り組んでいます。「ある自動車部品メーカーと、アジアの拠点をつないだ3次元CADのリモートシステムを構築しています」と坂野氏は話しています。

また小川氏は、「実際にお客様のサイトで、社内およびリモートから仮想化されたデスクトップで3次元CADを使ってみてもらったのですが、予想以上に快適だという評価をいただいています。3次元CADは非常に重いアプリケーションなのですが、XenDesktop上でストレスなく利用することが可能です」と話しています。

システムの延命が仮想化最大のメリット

仮想化の最大のメリットを坂野氏は、「システムの延命が可能なことです」と語ります。

たとえば、Windows 2000を利用している場合、サーバOSを新しくするとそれまで利用していたアプリケーションを作り直さなければならないことがあります。しかし問題なく動いているアプリケーションを作り直すことはリスクも高く、ムダな投資も必要になります。

そこで、ハードウェアを新しくし、仮想サーバを稼働させ、その上でこれまで使用していたWindows 2000環境や既存のアプリケーションをそのまま利用することで、IT資産の有効活用が可能になります。

また、一般的に1台のサーバで利用されているリソースは15%程度といわれています。そこで、残りの85%のリソースを有効に利用できこともサーバ仮想化のメリットのひとつです。

坂野氏は、「最近では、せっかくサーバ側を仮想化したので、今度はクライアント側も仮想化しましょうというのがデスクトップ仮想化への流れです。特に、Windows XPの販売、サポートが終了するために、Windows 7への移行が必要になりますが、デスクトップの仮想化であれば、移行を容易に実現できます」と話します。

小川氏は、「PCのセットアップは、OSやアプリケーションのインストールを行い、ネットワークや周辺機器を接続するなど、以外と時間がかかります。これが大規模になると必要なコストや時間は膨大になってしまいます。デスクトップ仮想化であれば、コピー&ペーストでデスクトップ環境を設定できるので非常に便利です」と話しています。

ただしサーバ仮想化は、たとえば10台のサーバを2台に集約できるなど、コスト削減が目に見えて実感できるので導入が早いのですが、デスクトップ仮想化は、特に導入コストに関して削減効果が明確にできないことが多いので、効果の検証が難しいことが課題です。

小川氏は、「初期導入のコストだけを見るとPCを導入した方が安くなることもあります。そこで運用コストを含めたデスクトップ仮想化の価値をいかにお客様に理解してもらうかが今後の課題です」と話しています。

オフィスクラウド実現に全社で取り組む

今後の取り組みについて坂野氏は、次のように語ります。「XenDesktopによるオフィスクラウドを社内に立ち上げるという最大のミッションがあるので、まずはこれを成功させることが重要です。その後、オフィスクラウドを社外に拡販していくことも考えています。これは、全社として取り組んでいるクラウド事業の一環となります」

また小川氏は、今後のシトリックスへの期待として、「シトリックスとマイクロソフトは提携の強化を発表しているので、今後より導入しやすいライセンス体系を実現してもらえればと思っています。マイクロソフトとシトリックスのウイン・ウインの関係に、利用者も含めたウイン・ウイン・ウインの関係を構築してもらいたいと思っています」と話しています。