[CTC]Cloudage Desktopで仮想PCの管理を効率化。シトリックスと共に360度の仮想化を包括的に実現

CTCの強みは、システム開発の提案から設計、調達、構築、そして運用・保守、サポートまでの包括的なソリューションを提供できること。さらにシトリックスとの協業により、デスクトップからデータセンターまで、360度の包囲網で包括的な仮想化ソリューションの提案を実現しています。そんな同社に、デスクトップ仮想化を中心とした取り組みや考え方などについてお伺いしました。

デスクトップ仮想化

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
流通システム第5事業部
ビジネスソリューション第7部 部長補佐(兼)開発第2課 課長
井出貴臣氏

ITの活用で明日の革新に挑むCTC

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は、コンピュータ・ネットワークシステムの販売から、保守、ソフトウェア受託開発、情報処理サービス、科学・工学系情報サービス、サポートまで、総合的なシステム・インテグレーション(SI)サービスを提供するSI企業です。社名の略称である「CTC」は、プリンシプル(主義・主張)である「Challenging Tomorrow’s Changes」を表しています。

最大の特長であり、強みは、システム開発の提案から設計、調達、構築、そして運用・保守、サポートまでの包括的なソリューションを提供できること。近年では、保有しているデータセンターの能力を最大限に生かしたクラウドサービスの提供にも注力しています。その一環として、2012年4月に横浜コンピュータセンター(横浜市都筑区)の敷地内に新たにクラウド対応型データセンターを開設すべく準備を進めています。

シトリックスとの提携により、デスクトップ仮想化を推進する流通システム第5事業部は、本社を除く伊藤忠グループのシステム開発から運用管理まで、システム全般を担当する事業部です。また、DaaS(Desktop as a Service)の拡販にも取り組んでおり、2010年7月中旬より、「Cloudage Desktop」と呼ばれるデスクトップ提供サービスの提供を開始しています。

Cloudage Desktopでサーバや仮想PCの管理を支援

Cloudage Desktopは、月額利用型で、CO2排出量の削減やパンデミック対策、コンプライアンスの遵守など、利用者の要望にあった柔軟な運用が可能なデスクトップ提供サービスです。Cloudage Desktopにより、ビジネス環境の変化に俊敏にITリソースを適応することが可能になります。流通システム第5事業部 ビジネスソリューション第7部 部長補佐(兼)開発第2課 課長である井出貴臣氏は、「DaaSは、幅広い業種・業態のお客様に拡販していく計画です」と話します。

数百台、数千台と導入されているPCの管理をいかに効率化していくかは、多くの企業にとって解決すべき大きな課題のひとつになっています。たとえば、Windows XPを利用している企業では、Windows XPのサポートが終了してしまうためにWindows 7に移行することが必要になります。しかし、PCが数百台、数千台とある場合に、物理PCに1台ずつWindows 7やアプリケーションをインストールしていくのは現実的ではありません。

仮にすべての物理PCにWindows 7をインストールできたとしても、その後、数百台、数千台というWindows 7を搭載した物理PCを1台ずつ管理していかなければならないことに変わりはありません。こうした課題を解決できるソリューションのひとつとして、DaaSをはじめとする仮想化ソリューションが注目されています。

しかし、DaaSにも課題はあります。井出氏は、「DaaSを社内に構築したとしても、サーバの管理は行わなければなりません。また、サーバ上で稼働している、何百台、何千台の仮想PCも同様です。この“サーバや仮想PCの管理を、我々に委託しませんか?”というのがCloudage Desktopを開発したコンセプトになっています」と話しています。

CTCとシトリックスで360度の仮想化を包括的に実現

CTCでは、XenAppがまだMetaFrameと呼ばれていた時代からシトリックスとの協力関係を築いています。また最近では、XenDesktopによる仮想PC方式が登場したことから、より一層協業関係を強化しています。さらにCTCでは、以前よりシンクライアント端末を社内に導入していることもあり、シンクライアントを利用したソリューションの提供にも注力しています。

井出氏は、「当初は、ターミナルサーバ方式が主流でしたが、仮想PC方式が登場したことで、より選択の幅が広がりました。選択肢が広がると、より幅広いお客様の要望に応えるソリューションを提案することが可能になります。シトリックスの製品を中心に、最適なデスクトップ仮想化ソリューションを提供することを心がけています」と話します。

シトリックスの強みについて井出氏は、次のように語ります。「デスクトップ仮想化を実現するための方法が多岐にわたっていることです。複数の方法があることで、ある部門に仮想PC方式を提案しながら、その一方でほかの部門にターミナルサーバ型を提案することも可能です」

井出氏は、「複合的な提案が可能なのがシトリックス製品の魅力であり、特定のやり方にこだわらなくていいのが最大のメリットです。導入した後で、“こんなはずじゃなかった!”と言われない、お客様にとって最高のソリューションを提供することが可能になります」と話します。

「CTCの強みは、シンクライアント端末も含めたサーバ側のビジネスが得意なこと。一方、シトリックスはシンクライアント側からのビジネスが得意な分野。視点の違う2社が協業することで、360度の包囲網で包括的な仮想化の提案が可能であり、非常に重要なパートナーだと位置づけています」(井出氏)


アプリの棚卸とマスタ管理がデスクトップ仮想化成功の鍵

デスクトップ仮想化の導入効果について井出氏は、次のように語ります。「DaaSに関しては、話題先行の感があります。デスクトップ仮想化により、PC管理が楽になることは間違いないのですが、それはある程度PCを管理できている企業であることが前提です。これまでまったくPCの管理をしていなかった企業が、いくらクラウドを導入してもPC管理を効率化することはできません」

デスクトップ仮想化を導入して効果があるかないかを見極める指標として、アプリケーションの棚卸やマスタの管理ができているかがポイントになります。もし、アプリケーションの棚卸やマスタの管理ができていなければ、シンクライアント化を実施する場合に、画一的なデスクトップを実現することができないためです。

井出氏は、「アプリケーションの棚卸とマスタ管理をしっかり行った上でシンクライアント化を実施することで、ヘルプデスクの軽減や情報漏えい対策、インベントリ管理が不要になるなどの効果を得ることが可能になります。いまさら現場のPCでどんなアプリケーションやマスタが使われているかを調べたくない企業は、引き続きPCを利用した方が効果的です」と話します。

CTCでは、シンクライアントシステムを構築してきた経験やノウハウを生かし、デスクトップ仮想化を導入して成功するための4つのポイントを定義しています。

(1)シンクライアント導入の目標設定
(2)実現方式の比較(ターミナルサーバ方式か仮想PC方式か)
(3)アプリケーションの導入検討、展開・移行計画
(4)所有か、非所有かの検討

井出氏は、「まず、(1)シンクライアント導入の目標設定において、その目標がコスト削減ありきだと、多くのデスクトップ仮想化は失敗します。アプリケーションの棚卸をすることなくコストを削減しても、“これまでPCでは使えていたのに”という不満が現場から必ず出てくるからです」と話します。

しかし、たとえば「情報漏えい対策」のように企業としての目標設定がなされていれば、「セキュリティ上このアプリケーションは利用できません」という説明を、きちんと現場に行うことができます。井出氏は、「目標が立てられるということは、CIO的な立場の担当者がいて、トップダウンで取り組むことができるからです」と話しています。

次に、(2)実現方式の比較では、たとえば、仮想PCには多くのメリットがありますが、コストに関しては一般的にはターミナルサービスの方が安くなります。「“やりたいこと”と“それを実現する方法”を正しく結びつけることが必要」と井出氏は話します。

さらに、(3)アプリケーションの導入検討、展開・移行計画では、アプリケーションの棚卸だけでなく、たとえばストレージの問題も考慮しておく必要があります。井出氏は、「PCに搭載されたハードディスクは、一般的には1TBが1万円以下で購入できます。しかしサーバ用のハードディスク製品は価格が2桁程度違ってきます。そこで、個人がPC上で管理しているデータを、どれだけサーバ側に移行するかをきちんと見積もらなければ効率的なストレージ管理を実現することはできません」と語ります。

最後に、(4)所有か、非所有かというポイントにおいてCTCでは、さまざまなニーズに対応できるサービスの提供を実現しています。井出氏は、「アウトソーシングに関しては、デスクトップ運用サービスがあり、機器を導入したくない企業向けにはパブリッククラウドサービスを提供しています。クラウドサービスに全社で本格的に取り組みはじめたのは2010年からですが、クラウド関連のサービスに関しては2009年から少しずつ提供を開始しています」と話しています。

DaaSを牽引するのはiPhoneやiPadなどの新しいデバイス

CTCのデスクトップ仮想化における今後の取り組みとしては、まずCloudage DesktopをCloudageブランドのサービスのひとつとして展開していくとともに、さまざまなクラウドサービスをCloudageブランドとして拡充していく計画です。また、シトリックスとの協業では、XenDesktopを使用したサービスの提供はもちろん、根強い人気があるXenAppに関してもソリューションを強化していく予定です。

井出氏は、「まだ、MetaFrameやPresentation Serverを使っているお客様の多くは、XenAppに移行する場合に運用も含めてクラウドサービスを利用したいと考えています。こうしたお客様向けのサービス提供も考えていきたいと思っています。ターミナルサービス方式において、XenAppはデファクトスタンダードであり、他社に追従できない分野です。XenDesktopおよびXenAppは、CTCにとって非常に重要なソリューションです」と話しています。

これまでデスクトップ仮想化やシンクライアントシステムでは、情報セキュリティに強いソリューションという位置づけで、情報システム部主導で導入されてきました。次にコスト削減の施策として注目され、さらにサーバの性能が向上したことで、リソースの有効活用やTCO(総保有コスト)の削減が可能になりました。今後は、利便性の向上やパンデミック対策などでの活用が期待されています。

井出氏は、「現在では、いつでも、どこでも仕事ができる環境の実現に興味を持つお客様が多くなっています。アンドロイド携帯やiPhone、iPadなどの新しいデバイスなどが普及したことにより、これらの新しいデバイスで仕事がしたいという要望は必ず出てきます。そこで今後は、より一層、利便性や生産性の向上が注目されると思っています」と話します。

「DaaSはサーバ側の仕組みですが、魅力的なデバイスが需要を牽引していくと思っています。お客様の要件に応えるソリューションが提供できるおもしろさはありますが、リスクがあることも理解しています。仮想PCの登場で、シンクライアントに対する障壁は低くなってきましたが、まだリスクやギャップは残っています。こうした課題を少しでも取り払うための取り組みをシトリックスと一緒に推進していきたいと思っています」(井出氏)