デスクトップ仮想化環境でのCAD利用

CTCが実現するワークスタイル変革の実践!!《連載:第4回》
設計環境の仮想化を失敗させない導入とは?

第4回では、CADなどには現実的ではないと言われていたデスクトップ仮想化について、昨今のデスクトップ仮想化製品の技術進歩をご紹介するとともに企業を取り巻く環境や課題、デスクトップ仮想化におけるCAD利用の導入までの留意事項、そして展開後のメリットなどを伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の主要なメンバーにご協力をいただきご説明いたします。

GPUの仮想化が設計現場と経営の課題を同時に解決

多くの企業がデスクトップ仮想化技術の導入を進める中、その対象は一般ユーザーによるデスクトップPCの仮想化だけでなく、今までパフォーマンスやコスト面において課題があった3D CADなどのデスクトップ仮想化にも注目が集まっています。

今、なぜ3D CAD環境のデスクトップ仮想化が、これほどまでに注目を集めているのでしょうか。それには設計部門を有する企業のビジネス環境の変化と、これらの要望に応える技術がそろってきたことの2つの背景があります。

ビジネス的な背景としては、少子高齢社会による国内需要の縮小や新興国企業の躍進、製品のコモディティ化により国内製造業をはじめとした設計業務を行う企業を取り巻く環境の変化があります。これらの企業では、生産拠点の海外展開をはじめ、研究や設計、販売にいたる一連のプロセスを海外へ拡張するなど企業競争力強化のための施策を絶え間なく展開しています。

技術的な背景としては、GPU仮想化技術(vGPU)の登場が挙げられます。同技術は、1つのGPUを論理的に分割し、仮想デスクトップに対して仮想GPU処理を割り当てるものです。そして、この技術に仮想化基盤やデスクトップ仮想化製品が連携することにより、各仮想マシンでGPU処理がスムーズに行われるとともに高いサーバー集約率でデスクトップ仮想化を利用できるようになったのです。

多くの3D CADデスクトップ仮想化導入を支援しているCTCのデスクトップソリューション推進課 古谷 尚敬 氏(以下、古谷氏)は、以下のように述べます。

エンタープライズ事業企画室 ビジネスソリューション推進部 デスクトップソリューション推進課 古谷 尚敬 氏

エンタープライズ事業企画室
ビジネスソリューション推進部
デスクトップソリューション推進課
古谷 尚敬 氏

「私たちCTCが、デスクトップ仮想化をお客様に提供する中で、3D CADやPDM、CAEといった設計部門が扱っているワークステーションも同じように仮想化できないかというご相談は以前より受けておりました。ブレードワークステーションという解もありましたが、非常に割高でした。しかし、その状況は技術の発展により大きく変わりました。2012年くらいからGPUの仮想化ができるようになり、その仮想GPUにデスクトップ仮想化製品が対応するという大きな技術的な革新がありました。そのため一気に3D CADでもデスクトップ仮想化が脚光を浴びたのです」

今まで多くの設計者が3D CADなどを扱う端末は通常のデスクトップPCとは違いワークステーションと呼ばれる非常に高価なものでした。その特殊性から多くの企業では、CADシステムそのものの管理をIT部門ではなく設計部門で行っています。大規模な製造業などでは本来IT管理の専門家ではない何人もの設計者が、業務の傍らCADシステムを管理するという現状があります。これらの現状は、グローバル化が進む企業においてセキュリティ面で大きなリスクがあると同社 デスクトップソリューション推進課の責任者である井出 貴臣氏(以下、井出氏)は指摘します。

エンタープライズ事業企画室 ビジネスソリューション推進部 デスクトップソリューション推進課 課長 井出 貴臣 氏

エンタープライズ事業企画室
ビジネスソリューション推進部
デスクトップソリューション推進課
課長 井出 貴臣 氏

「企業がグローバル化を推進するにあたり、今までのようにワークステーションを現場に設置する方法では情報漏えいが発生する可能性があります。設計データというのは企業にとって最高機密に近い情報です。それらがワークステーションごと盗難にあうなどのインシデントが現に海外で発生しています。このセキュリティリスクを減らすためには3D CADなどのアプリケーションを仮想化することで解決可能になります」

これら最新の技術を使うことで設計部門は、システム管理から解放され、本来の設計業務に集中することができます。IT部門からすれば情報漏えいを防ぐことでリスクを最小化することができます。このように両方のニーズを同時に満たすソリューションが3D CADのデスクトップ仮想化ということなのです。

3D CADデスクトップ仮想化で設計部門は設計業務に専念

実際にCTCが提供した3D CAD デスクトップ仮想化を導入したお客様は、セキュリティ面や運用面といったデスクトップ仮想化特有のメリットに加えて現場でもさまざまなメリットがあると言います。同社 デスクトップソリューション推進課の田内 康晴 氏は付け加えます。

エンタープライズ事業企画室 ビジネスソリューション推進部 デスクトップソリューション推進課 田内 康晴 氏

エンタープライズ事業企画室
ビジネスソリューション推進部
デスクトップソリューション推進課
田内 康晴 氏

「多くのお客様から高いご評価をいただいております。今まで現場ではワークステーションを台車に乗せてゴロゴロと転がしながら会議に臨んでいることさえもありました。それが普通のパソコンやタブレットで会議に参加できるのは大きなメリットの一つです。また、設計ルームに行って設計作業を行う企業もあります。その場合、わざわざ設計ルームに行く必要がなくなりスッキリとした自身の机で設計を行えるようになります。ワークステーションは通常のPCと比べて発熱や騒音が大きく利用環境が劣悪になりがちですが、仮想デスクトップ化することによりワークステーションの利用環境は格段に向上します。技術的な観点ではサーバーサイドのGPU処理をフルに使えるので少人数で利用している場合には、多くのマシンリソースを支えるため処理は高速になります。また、設計者の方々も設計業務以外のことをされている際はワークステーションは利用されていません。仮想デスクトップ数を最適化して配置することにより稼働率を向上させることが可能になります」

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3D CAD仮想化における注意ポイント

CTCは、その最新のテクノロジーの実用化に向けて、各メーカーと徹底的に検証を重ねてきました。そして、同社は、今ではその知見を生かし数多くの3D CADのデスクトップ仮想化プロジェクトを成功へと導いています。プロジェクトを成功に導くためのポイントを井出氏は以下のように述べています。

「ものづくりにおいて設計業務は核となる重要要素です。プロジェクトを成功に導くためには、デスクトップ仮想化の知識だけでは設計者は納得してくれません。深い現場の知識に加えてCADソフトウェアの知識が必要不可欠です。この両者が揃っていないとプロジェクトは成功しないでしょう」

デスクトップ仮想化に加えてCADソフトウェアにおいても豊富な実績を有するCTCでは、デスクトップ仮想化における3D CAD の実用化に向けて、CADエンジニアを含めた多くのエンジニアが徹底的にその実現性を確認したといいます。その徹底した検証範囲は社内LAN環境だけでなく、狭帯域高遅延のWANを利用した海外拠点から日本への接続検証なども含まれています。古谷氏は3D CADのデスクトップ仮想化の実用性について以下のように語ります。

「3D CADのデスクトップ仮想化は、設計者の大多数のユーザーに受け入れられるレベルになってきたと考えています。もちろんアプリケーションを配信するわけですからオフィス内で使っている場合や外出先での利用、海外からの接続など利用する場所に左右されることはあります。CTCでは、お客様に納得してご導入いただくために検証機材の貸し出しを行う評価サービスを提供しています。設計者の方と一緒に検証を実施し、実際の動作特性を体感いただくことが重要です」

さらに、評価機を提供し満足いただくだけでは不十分であると古谷 氏は以下のように述べます。

「実際に試し評価することは重要ですが、それだけでは3D CADのデスクトップ仮想化は成功しません。3D CADを仮想化する方法は、求める集約率や性能に応じてGPUパススルー、GPUシェアリング、GPU仮想化といった複数の実現方法が存在します。それぞれ特徴があり、目的や期待する効果などを整理し方式を選定することが重要です。また、GPU仮想化の方式、デスクトップ仮想化の展開方式、さらに利用する3D CADアプリケーション、ユーザー区分などをグルーピングしパターン化します。これによりやみくもに仮想デスクトップが展開されることなく、必要なデスクトップを効率的に展開可能になります。このことにより将来的な運用コストの削減を見込むことができます」

導入効果を最大化するためには、導入前フェーズにおいてPoCによる実現性の検討に加えてスコープと要件を整理し、「仮想デスクトップ方式の割当」や「グルーピング」といった、導入コストや運用コストを削減するための十分な検討を行う必要があるのです。それと同時に大きく変わる運用も見据えることが重要です。CTCでは、これらの作業を支援するための「3D CAD デスクトップ仮想化の導入方法策定支援サービス」を提供しています。今後、3D CADの仮想化を検討されている企業は、検討してはいかがでしょうか。

まとめ

常に最新技術をいち早く提供してきたCTCは、3D CADのデスクトップ仮想化でも「安心して使える技術」「安心して導入できる方法論」の整備をしてきました。CADテクノロジーとデスクトップ仮想化を知り尽くした同社だからこそ、顧客を成功へと導くためのサービスを提供できるのです。

今回、ご紹介しました3D-CAD デスクトップ仮想化 導入方法策定支援の詳細は以下からご覧いただけます。