デスクトップ仮想化を成功に導くストレージの勘所

ストレージの選定がデスクトップ仮想化にどれだけ影響を及ぼすのか?デスクトップ仮想化のための最新ストレージ技術についてネットアップにインタビュー

デスクトップ仮想化(VDI)の普及が進む中、ストレージのパフォーマンス問題が大きく取り沙汰されるようになりました。ブートストーム(就業開始時間など仮想デスクトップが同時間帯で集中的に起動することに起因して起動が遅くなる現象)やアンチウィルスストーム(各種アンチウィルスソフトのパターン更新や昼休みなど就業時間内のアイドル時間に一斉にウイルスチェックが走査されることに起因する高負荷現象)にとどまらず、当初通りのパフォーマンスがでないといったことも起きています。今回はユニファイド・ストレージ提供ベンダーのリーダーであるネットアップ社において、マーケティング担当の瀧川大爾氏(以下、瀧川氏)、アライアンスマネージャーの日詰廣造氏(以下、日詰氏)および数多くの仮想化関連案件を携わってきた大西宏和氏(以下、大西氏)にインタビューを実施しました。デスクトップ仮想化を導入しようとするお客様からどのような相談を受けているのか、どのような機能を活用すべきか、ネットアップのVDIに対する取り組みをお伺いしたスペシャル・インタビューです。

NetApp

(左)
ネットアップ株式会社
マーケティング本部
ソリューションマーケティング
担当シニアマネージャー
瀧川 大爾 氏
(中央)
ネットアップ株式会社
システム技術本部
テクノロジーSE部
シニアシステムズエンジニア
大西 宏和 氏
(右)
ネットアップ株式会社
マーケティング本部
ビジネスアライアンス
アライアンスマネージャー
日詰 廣造 氏

インタビューア:まず、ネットアップについて簡単にご紹介ください。

日詰氏:ネットアップはネットワークストレージのリーダーとして、創業以来最適な共有ストレージソリューションを提供してきました。具体的な製品はNetApp FASシリーズです。NetApp FASシリーズはData ONTAPと呼ぶ独自のストレージ専用OSによって企業システムの強固なストレージ基盤を実現します。

インタビューア:VDIについて、どのように取り組まれていますか。

瀧川氏:ネットアップはVDIを、データベースやSAPと並ぶ重要なアプリケーションと位置付けています。VDIは常にオンラインでなければならず、パフォーマンス要件も高いのが特徴です。ネットアップとしてはどのような基盤が必要か、アーキテクチャはどうあるべきか、リーズナブルに提供できないか、などの観点から製品開発やソリューション提供を進めています。システム統合などのニーズは以前からありましたが、最近ではVDIに関するご相談も数多く寄せられるようになりました。

インタビューア:具体的にどのような相談を受けていますか。

大西氏:とくに多いのが性能面に関する相談です。お客様はデスクトップ仮想化を導入されている他のお客様の声を聴き、ストレージがボトルネックになると認識されています。そのようなお客様の懸念を払拭するためにネットアップは正しいサイジングをご提案することが多いです。たとえば、ハイパーバイザーのクローン機能を活用する場合、オリジナルとクローンの差分管理もハイパーバイザーで行うことになりますが、I/Oのボトルネックが発生するため、ストレージにしわ寄せがくるのです。実際に調査しますと、仮想マシンのI/Oが想定の2〜3倍になるケースも見受けられます。これはいわゆるサイジングミスともいえるでしょう。そうするとストレージを増設するしかないという結論になるわけですが、これには費用がかかってしまいます。

インタビューア:なるほど。サイジングが重要というわけですね。それに対する具体的な取り組みを教えていただけますか。

大西氏:たとえばWebベースのサイジングツールの提供があります。パートナー様に提供したり、ネットアップ自身がお客様に提案する際にも実際に使用しています。このサイジングツールによって、どのようなコントローラが適切か、ディスクの本数はどれぐらい必要なのかを事前に把握できるのです。

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※ネットアップおよびネットアップのパートナー企業のみが利用可能なサイジングツール

インタビューア:VDIにおけるネットアップの優れたポイントは何ですか。

大西氏:ネットアップは創業時からVDIのようなワークロードに対応できるアーキテクチャになっていますので、正確なサイジングを行えば、特別なチューニングを施すことなく、性能を出すことができます。また、マルチプロトコル対応のユニファイド・ストレージであるNetAppストレージは、同一筐体において、FCやNFS、iSCSI、CIFSなどのさまざまなプロトコルを介したアクセスを同時にサポートしますので、VDIと極めて親和性が高いことがあげられます。

インタビューア:具体的には?

大西氏:たとえば、コントローラにはNVRAMが搭載されているのでランダムI/Oを効率よく処理することができます。また最近ではフラッシュ技術も登場していますので、SSD(ソリッド・ステートメント・ディスク)をRAIDグループに含めることもできますが、それではコストが高くついてしまいます。ネットアップではFlash Cacheという高速フラッシュメモリを使ったインテリジェントなキャッシュ機能をコントローラに搭載することでI/Oをさらに高速に処理することが可能です。Flash CacheはSSDを大量に導入するよりも低コストで、数百、数千台の仮想デスクトップのサポートに大きく貢献します。また、NetApp Deduplicationは同一ディスク上のデータをブロック単位で重複排除を行うことができますので、容量効率も向上しますし、性能もよくなります。NetApp Deduplicationは他社が採用しているファイル単位の重複排除よりもVDIに最適なのです。また、ネットアップはVDI環境にNFSを推奨していますが、これはNFSの設定がシンプルで、ボリュームの拡大・縮小がとても簡単だからです。こうしたことから工数も削減できますし、環境構築の時間も短くてすみます。

NetApp

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インタビューア:なるほど。しかし、ストレージを使いこなすのは難しくありませんか?

大西氏:まず、ストレージがVDIに寄与する機能としては、snapshotや先ほどご紹介したDeduplication、そして災害対策機能があります。データ保護機能はソフトウェア側にも搭載されていますが、ストレージ側にオフロードしたほうが高速で高効率です。しかし、おっしゃるとおり、仮想環境の管理者がストレージを管理するのは難しいところがあります。これに対する解決策として、ネットアップは仮想環境の管理者向けの運用管理ツールであるVirtual Storage Console(以下、VSC)やXenServer用のプラグインを提供しています。VSCをご利用いただければ普段お使いの運用管理ツールから、ストレージを意識することなく、NetAppストレージの強力な機能を活用したVDI環境の管理が可能となります。

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インタビューア:XenDesktop向けに特化した機能も提供しているのですね。シトリックスとはなにか共同で取り組んでいますか?

日詰氏:ネットアップはシトリックス様をTier1の最重要パートナーと位置付け、緊密に協業しています。VDIはサイジングの難しさや複雑なワークロードの処理など多くの課題があるのも事実です。このため、ハードウェア側のテクノロジーも大きく関わってくるのですが、こうした問題に取り組むためには開発レベルで対応する必要があるわけです。先に紹介したVSCもこうした協業の成果です。また、「Citrix XenDesktop built on FlexPod(以下、FlexPod)」は、シスコシステムズ様とシトリックス様、そしてネットアップ社のノウハウを集結し、XenDesktopベースのVDIに最適化された事前検証済みのリファレンスアーキテクチャです。お客様がVDIをスムーズに導入するためにはインフラまわりのレベルを高めることと、統合された管理機能が必要です。それらを包括したFlexPodが協業の中核にあるのは間違いありません。さらに、製品以外の成果としては技術資料「Citrix XenDesktop on NetApp Storage Solution Guide」があります。これは、ネットアップの機能を活かしてどのような構成でシステムを構築するべきなのかを適切にガイドさせていただいているものです。こうした成果も協業なしに提供できるものではありません。これらは本社主導で取り組まれていることですが、日本においてもシトリックス社との共同検証やパートナー様の支援などを行っています。このような取り組みを続けることでお客様のVDI導入のハードルが下がればよいと思っています。

インタビューア:ネットアップのお奨めの機能は何ですか。

大西氏:お客様にはFlash Cache、Deduplication、FlexCloneをぜひ使っていただきたいと思います。たとえばOSイメージはユーザーに関係なくほぼ同じです。こうした場合にはDeduplicationの効果が高く、容量効率を90%以上改善したケースも確認されています。また、FlexCloneはデータをまるごとコピーするのではなく、ストレージ内部でポインタ情報のみをクローンする機能ですが、FlexCloneを使えば、本来必要な容量消費を最小限に留めることができますし、なによりもクローンを瞬時に作成できるため、数千台の仮想デスクトップの展開をすばやく行うことができます。一方で、ユーザー領域の保護も非常に重要ですが、NetAppの場合、ユニファイド・ストレージですから、OS環境とユーザー領域を統合することができます。つまり、お客様の仮想デスクトップ環境からネットアップ上のユーザー領域にCIFSで接続することで、ユーザー自身でデータをバックアップやリカバリーを行うことができるのです。

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インタビューア:お客様からはどのような評価をいただいていますか。

瀧川氏:VDIを導入したネットアップのお客様は1,000システムを超えており、年125%成長を続けています。先日プレスリリースも出させていただきました全日本空輸株式会社様のような大規模事例もございますし、最近では金融業からの問い合わせも数多く寄せられるようになりました。

インタビューア:ネットアップのVDIに対するさらなる取り組みを教えてください。

瀧川氏:最初に申し上げましたが、ネットアップはVDIを重要なアプリケーションだと位置付けておりますので、高パフォーマンスだけではなくユーザー数の増減に対応できる柔軟性や無停止が不可欠だと考えております。そのためにはシトリックス様との協業をベースに機能を強化していくことはもちろんですが、ネットアップ単独の取り組みとしては、ストレージのクラスタ化を推進していきます。これは俗にいうスケールアウトという考え方です。ネットアップはNetApp FASシリーズにclustered Data ONTAPを搭載したスケールアウト型ストレージをご提供しております。VDIで性能が不足した、あるいは容量を増やさなければならない場合には、通常であればコントローラを交換し、ディスクを増設することになります。いわゆるスケールアップの考え方です。clustered Data ONTAPを活用すると、使用中のNetApp FASシリーズに新しいNetApp FASシリーズを追加するだけでパフォーマンスや容量を強化することができます。使用されているリソースが無駄にならないため費用対効果も高くなります。また、コントローラのメンテナンスやライフサイクルにおけるリプレースを行う際には、システムを停止することなく交換作業を行うことができます。無停止オペレーションは常にオンラインが要求されるVDIには必須の要件となると考えています。さらに他社のスケールアウト型ストレージはNFSしかサポートしていないのですが、clustered Data ONTAPはマルチプロトコルに対応したユニファイド・ストレージのままクラスタ構成にすることができます。つまり、VDIでシステム環境とユーザー環境が統合できる唯一のスケールアウト型ストレージなのです。clustered Data ONTAPはネットアップの戦略製品として、今後もさらなる強化を施していく予定です。

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インタビューア:最後に読者に一言お願いします!

日詰氏:ネットアップはVDIに最適なインフラストラクチャをシトリックス社とともに推進してきました。この緊密な協業は今後も継続してまいります。2013年8月にはシトリックス社内のお客様向けデモ設備にNetAppストレージを設置いたしますので、ご案内したVDIにおけるNetAppストレージの効果をお客様にご覧頂けるようになります。VDI環境の構築をお考えのお客様や提案を進めているパートナー様は、ぜひネットアップにご相談ください!

インタビューア:ありがとうございました。

大西氏、瀧川氏、日詰氏:ありがとうございました。