SDN時代における失敗しないロードバランサーの選び方(後編)

ユーザーごとにSLA保証しつつ、サービスを集約するには?

この内容をPDFで読む

SDN時代における失敗しないロードバランサーの選び方

前編はこちら

物理インフラの簡素化と省電力化を実現

NetScalerファミリーの特長の1つは、スケールアップ、スケールイン、スケールアウトによって物理インフラの簡素化と省電力化を実現する「NetScaler TriScale™ テクノロジー」である。

sdn-image4

「従来は、将来的な拡張を考慮して、必要以上に大きなハードウェアを購入することが一般的でした。しかし今は、“必要なときに必要なパフォーマンスを得られること”が基本的な考え方として定着しつつあります。そのニーズに応える取り組みの1つが、TriScaleテクノロジーです」(犬塚氏)

スケールアップについては、「Pay-As-You-Grow」と呼ばれるライセンス体系にポイントがある。NetScalerファミリーには10種類のハードウェアがラインアップされているが、同一筐体において複数のパフォーマンスが型番として設定されている。例えば、MPX 11500シリーズの場合、MPX 11515(スループット 15Gbps、SSL2048 ビット 2,500TPS)から MPX 11542(スループット 42Gbps、 SSL2048 ビット 69,000TPS)までの5種類が存在し、価格もパフォーマンスに応じて設定されている。

実は、同一筐体でもライセンスファイルを更新するだけで、ハードウェアを買い換えることなく、極めて短時間で上位の型番に性能を向上させることができるのだ。まずは下位のライセンスからスモールスタートして、徐々に拡張していくというニーズにマッチする。90日間だけ最大のパフォーマンスを利用できる「Burst Pack」も用意されており、年末商戦などの一時的なピークへの対応も容易だ。

sdn-image5

sdn-image6

スケールインを実現するのはNetScaler SDXだ。従来は、アプリケーションやユーザーごとに個別のハードウェアを用意して、異なる設定やパフォーマンス、管理性などを実現するのが一般的であった。前述したように、NetScaler SDXは2Uのマシン1台に80の仮想アプライアンスを搭載することで、高い集約率を実現することができる。

「当社の強みは、ハイパーバイザーとADCの技術を両方持ち合わせている点にあります。だからこそ、NetScaler SDXのような技術・製品を生み出すことができました。同様の仕組みを複数のベンダー製品で実現することも可能ですが、すべてを当社技術でまかなうことにより、パフォーマンスや安定性に加えて、サポートの安心感も得られます」(犬塚氏)

スケールアウトは、L2スイッチであればスタッキング、L3スイッチであればバーチャルスイッチなどと呼ばれる技術に相当するが、犬塚氏によれば、ADCの分野でクラスタリングを実現したのはシトリックスが初めてだという。管理の統合だけでなく、トラフィック処理も複数のハードウェアに分散化できるというのが大きな特長だ。スループット120GbpsのMPX 22120であれば、最大32ノードのクラスタリングで3Tbps以上の負荷分散性能を達成する。

「一般的なADCの構成は、2台用意してアクティブ/スタンバイに設定し、冗長化を図るものです。したがって、機器は2台ですが1台分の性能しか得られません。NetScalerであれば、3台のクラスタリングを組んで、うち1台を“スペア”とすることにより、3台で2台の性能を実現しつつ、冗長化も図れます」(犬塚氏)

sdn-image7

sdn-image8

さまざまな用途に適合するNetScaler

NetScaler は、キャリアやサービスプロバイダー、データセンターのみならず、幅広い分野での活用が広がっている。

例えば、大学のキャンパスネットワークでは、研究室ごとに異なるポリシーで運用したいというニーズが多い。多くのグループ会社を抱える大規模企業においても、ネットワークインフラを統合しつつ、各会社には個別のサービスを提供するというマルチテナントのニーズが高まっているという。

「特に、インフラの統合を進めていく途中の段階では、ネットワークは分けつつハードウェアは統合したいなどというハイブリッドな状況になるケースが多々あります。その場合でも、NetScalerであれば柔軟に対応することが可能です」(犬塚氏)

ここで、2つの事例を紹介しておこう。

株式会社オウケイウェイヴは、数千万の月間利用者数と1億以上の月間ページビュー数を誇る日本最大級のQ&Aサイト『OKWave』 を運営している。このコンテンツデータベースは、70社以上のパートナー企業にも提供されており、巨大なトラフィックを抱えていた。

同社はもともと、NetScaler 9010を用いて負荷分散を実現していた。しかし、サービスの拡充や訪問者数の増加によって負荷が高まり、本機ではまかないきれなくなってきたところであった。そこで同社は、NetScaler MPXへの移行を決定した。

導入の決め手は、NetScalerの使い勝手を気に入っており、以前の設定をほとんど引き継ぐことができる点であった。Webサーバに負荷をかけていたSSLの処理をオフロードすることもでき、安心して運用できるようになったという。NetScaler MPXの管理画面もレスポンスがよく、効率的に管理できているとのことだ(※1)

ソフトウェアの企画・開発・販売を生業とするロックオンは、インターネット広告の効果測定システム「AD EBiS」を提供している。2013年2月には、より細かに効果を分析できる第三者広告配信サービス「ViewThru EBiS」の提供を開始した。

AD EBiSが広告のクリックを起点として情報収集するのに対し、ViewThru EBiSは広告の表示をベースとする。そのため、処理すべきリクエストは15倍以上にもなった。当初は1台のWebサーバでテスト運用を開始したが、ユーザーが急激に増えたこともあり、サービス基盤の負荷増大が課題となっていた。

そこでロックオンは、NetScaler MPXを導入し、負荷分散とSSLアクセラレーションを活用している。ある就職情報サイトが広告を出稿したときには、週間のリクエスト数が2.5 倍に跳ね上がったこともあったが、アラートすらあがらなかった。サービスの特性上、ピークを予測することが難しいため、Pay-as-You-Growライセンスによる拡張性も決め手の1つであったという(※2)

「最近は、Amazon Web Servicesのようなパブリックサービスを活用してシステムをクラウドに移行する例も増えています。このシステムのパフォーマンスやセキュリティレベルを向上させたいならば、マーケットプレイスからNetScalerを購入・導入することが可能です。こうした選択肢の広さも、NetScalerの特長です」と犬塚氏は締めくくった。

 

関連情報