サーバ、ネットワークと進む仮想化

SDN時代のADCに求められるものとは

サーバの仮想化が一般化し、ネットワークの仮想化が進みつつある。とりわけ大規模なシステムを運用する通信キャリアやクラウドサービスプロバイダは、今後さらに進むであろう仮想化を見据えて、システムを進化させていかなければならない。そこで選ぶべきネットワーク機器の条件とは何だろうか。

1310_citrix01シトリックス・システムズ・ジャパン
クラウドネットワーキング・ソリューション事業部
ネットワーククラウド技術統括部
SE部 統括部長
犬塚昌利氏

これまでに様々な仮想化技術が登場し、ビジネスの世界へと広まっていった。なかでもサーバ仮想化技術は多方面に浸透し、実際のビジネスの世界を支えている。

クラウドサービスを展開するプロバイダや通信キャリアのように、大規模なインフラを持つ企業にとって、仮想化技術はビジネスを強化する大きな力になる。機器集約によるコスト削減、効率化による運用管理負荷の軽減、インフラの柔軟性向上がもたらすユーザーニーズへの素早い対応力など、仮想化がもたらした恩恵は大きい。そのメリットを最大化するために、サーバ機器も仮想化に特化した進化を遂げてきた。

サーバの仮想化に続いて期待が寄せられているのがSDN、つまりネットワークの仮想化だ。XenAppやXenDesktopなど、仮想化の世界で先進的な技術を提供し続けてきたシトリックス・システムズ・ジャパンクラウドネットワーキング・ソリューション事業部 ネットワーク クラウド技術統括部 SE部 統括部長の犬塚昌利氏は、仮想化技術の浸透について「サーバ仮想化が一般化し、ネットワークの仮想化に各キャリア、クラウドプロバイダさんが取り組み始めたところ」と述べる。また仮想化に特化したサーバ機器が生まれたのと同じように、ネットワーク機器にも仮想化のメリットを最大限に生かす能力が求められているとも指摘する。

仮想化技術の老舗 シトリックスのADCに注目

仮想化のメリットを最大化するためのネットワーク機器選び、その視点とはどのようなものだろうか。今回はADC(アプリケーション デリバリ コントローラ)についてひもといていきたい。

ADCは言うまでもなく、ネットワークの中核となる機器だ。サーバ負荷分散だけではなく、高速化やセキュリティ強化など、今では多様な機能が集約されつつあるポイントでもある。

多機能化の1つとして今、ADCの世界に押し寄せているのが仮想化の波だ。1台の機器の中に、仮想化されたADCを何台も集約して運用できる製品が増えている。サーバ仮想化のADC版と考えるとわかりやすいだろう。少数の機器へ集約することによって機器コストを削減し、かつ統合管理によって運用管理負荷を軽減するというメリットも、仮想サーバのそれに似ている。

シトリックスのNetScaler SDXも、仮想化機能を持つADCの1つだ。Xen ServerやXen Desktopなどで培ってきたノウハウが存分に注ぎ込まれており、その仮想化機能の在り方は他社製品とは一線を画している。

「もっとも大きな違いは、NetScaler SDXが仮想化して集約する機能がADCにとどまらないという点です。各種のネットワーク機能を仮想アプライアンスとしてNetScaler SDXに集約して統合管理できる、いわばネットワーク機能に特化した仮想化プラットフォームとして機能する」と、犬塚氏は説明する。

特に注目したいのは、集約可能な仮想アプライアンスとして提供されるのがシトリックス製品に限らないということ。ファイアウォールやアンチウイルス、ユーザ認証などのトップベンダとの協業で仮想アプライアンスが開発、提供される。ADCがまさにネットワークの中核となり、ネットワークに必要な機能を統合的に提供するプラットフォームへと進化しようとしているのだ。

犬塚氏によれば「今後はネットワーク管理やセキュリティのトップベンダとの協業を広げ、これまで機能ごとに導入していたネットワーク機器をNetScaler SDXに集約できるようにしていく」とのこと。汎用性の高い仮想化プラットフォームの技術を持つシトリックスだからこそ可能な取り組みと言えるだろう。

かつて、ファイアウォールやロードバランサなどのネットワーク機器は、使い方により設置場所が決まっていた。しかしSDNの世界では、これら上位レイヤーの製品の物理的な設置場所を気にする必要はなくなる。ネットワークを仮想化し、自律制御を含めた柔軟な変化を可能にするためにはむしろ、ネットワークに必要な各機能も物理的リソースの束縛から自由であることが望ましい。NetScaler SDXはそのための統合基盤へと進化しようとしている。

1310_citrix02