仮想デスクトップ導入事例:北洋銀行

部門ごとに分散したクライアント環境をXenDesktop で仮想化。勘定系・情報系・OA 系のすべての業務を1 台の端末で可能にし、一層のサービス向上とコスト削減を目指す

北洋銀行は、北海道札幌市に本店を置く資金量6 兆8,415 億円の銀行であり、道内に188 店舗、東京に1 店舗の営業店を展開(2011 年3 月末現在)。個人から法人までの幅広い顧客層に、総合的な金融商品およびサービスを提供しています。「北海道の洋々たる発展の礎となる銀行」を企業理念に、「お客さまとの信頼関係」の構築、組織的・継続的な「お客さまの事業支援」、ビジネスモデルである「地域密着型金融」の3 つの取り組みにより、「お客さまに選んでいただける銀行」を目指しています。またIT 化への取り組みの一貫として、行内で利用する端末環境の再構築を実施。Citrix® XenDesktop® を中心としたシトリックスの仮想化ソリューションの採用により、すべての業務アプリケーションを1 台の端末から利用できる仕組みを構築しています。

 

デスクトップ仮想化 デスクトップ仮想化 デスクトップ仮想化 デスクトップ仮想化
北洋銀行
システム部
担当部長
櫻井 誠 氏
北洋銀行
システム部 システム企画課
課長
平林 誠司 氏
北洋銀行
システム企画課
主任調査役
佐々木 勉 氏
北洋銀行
システム部 システム企画課
調査役
門脇 秀樹 氏

 


課題:老朽化、サイロ化した端末環境の再構築

インタビューア:XenDesktop導入前の背景や課題に関してお聞かせください。

佐々木氏:

北洋銀行では、行内イントラネットなどのOA 系システムで利用しているPC が、導入から6 年以上を経過して老朽化していることから入れ替えが必要となっていました。また同時に、勘定系システム用の営業店端末も更改時期がきていました。さらに既存のシステムは、部門や業務単位で導入されてきたためにサイロ化しており、勘定系には勘定系端末、情報系には情報系専用端末、OA 系にはOA 系端末と、3 種類の端末を業務ごとに使い分けなければなりませんでした。1 人が複数台のPC を使って業務をしなければならないために非効率的でした。また端末の多くはWindows 端末だったため、1 人1 台に集約できるのではないかと考えたのです。端末環境の抜本的な見直しが必要でしたが、リーマンショック後だったこともあり、銀行内でもコスト意識が非常に高まった時期でした。そのため、最小のコストで最大の効果を期待できる仕組みを検討することが必要でした。


ソリューション:XenDesktop によるデスクトップ仮想化を採用。業務に応じてサーバーデスクトップ共有型と仮想PC 型を活用

インタビューア:具体的にどのようにお使いになっているのですか?

佐々木氏:

検討の結果、仮想デスクトップの実現方式として、まずXenDesktop の1 機能であるCitrix XenApp™を利用した、サーバーデスクトップ共有型のシステムを採用することを決定しました。まず最初にアプリケーションをサーバー側で一元管理し、標準化されたサーバーデスクトップを端末側に配信する仕組みを構築しました。これによりWindows OS に依存することなく、Microsoft InternetExplorer(IE)6 環境とIE 8 環境、最新バージョンのMicrosoft Office(Office)環境と旧バージョンのOffice 環境などを混在させて使用することが可能になりました。

インタビューア:OSのバージョンアップをすると業務システムが動かなくなるという問題があったのですね。

門脇氏:
はい。北洋銀行の業務システムのほとんどは、ブラウザ環境としてIE 6 を利用するWeb アプリケーションで構築されています。そのためPC 環境をWindows XP からWindows 7 に移行すると、ブラウザ環境もIE 8 に移行されてしまい、業務アプリケーションの更改が必要になってしまいます。またOffice 環境も同様に、複数バージョンの管理が必要でした。現在稼働中のシステムをIE 8 環境へ一斉移行することなく、IE 6 とIE 8 の環境を混在させながら順次移行できる点もXenDesktop を採用した理由です。

インタビューア:すべてにおいてサーバーデスクトップ共有型を採用しているのですか?

門脇氏:
いいえ。
部門によっては、本部等の特定ユーザー向けクライアント/サーバー(C/S)型のアプリケーションも利用されており、これらには、XenDesktop をベースとした仮想PC 型の採用を決定しました。仮想PC 環境では、Windows 7 でC/S 型のアプリケーションを利用できる仕組みになっています。このとき各利用者の端末には、利用者の権限に合わせたWindows 7 のデスクトップイメージが配信されるようにしています。XenDesktop およびXenApp を使用した新しい仮想デスクトップ環境は、2011 年4 月よりシステム構築が開始され、2012年 9月より、全店展開を開始する予定です。

デスクトップ仮想化

図1:行内仮想デスクトップ システム概要図


導入効果:クライアント端末への投資を削減しながら業務効率の大幅な向上を実現

インタビューア:導入効果に関してお聞かせいただけますか?

櫻井氏:
営業店によっては、職員の数以上に端末が設置されているところもあり、業務ごとに使い分けていました。これをXenDesktop により、1 台の端末に統合することで、今後のIT 投資を大幅に削減することが期待できます。

また以前は、営業店のカウンターで顧客対応をしている職員が、関連業務を行う際に、別のPC 端末を利用するため移動しなければなりませんでした。しかし1 台の端末ですべての業務を行えるようになることで、カウンターに設置されている端末のみを利用して、顧客と接しながら関連業務を行うことができます。これにより、より一層の顧客サービス向上と業務の効率化を期待できるようになると考えます。これからの銀行は、お客様との対話やコンサルティングにも注力していかなければなりません。そこで、従来のようにシステム側からではなく、お客様側から見た場合の端末環境はどうあるべきかを考えました。この逆転の発想で生まれたのが、XenDesktop およびXenApp を活用した仮想デスクトップ環境の実現でした。

インタビューア:システム面での具体的な効果をお聞かせいただけますか?

佐々木氏:
プロビジョニングサービスを利用することで、バージョンアップやセキュリティパッチなどの作業を一気に行うことができ、作業の効率化と運用コストの削減を実現できました。端末の台数が多いので、プロビジョニングサービスの利用は大前提でした。従来、Windows のサービスパックを導入する場合、各営業店の担当者が2 時間以上を費やして作業していました。この作業をすべての営業店の端末で行うと、1 回あたり数千万円のコストがかかると試算されていました。現在は、前の夜に設定しておけば、自動的に更新モジュールが配布され、翌日の朝、営業店の担当者が端末を立ち上げると最新の状態で利用できるようになっています。運用管理コストだけで年間数千万円のコスト削減を
見込めるのです。

インタビューア:コスト削減以外にはいかがでしたか?

佐々木氏:

以前はセキュリティ対策として、利用者の操作ログを収集するために、パッケージソフトをカスタマイズしなければなりませんでした。しかし、すべてをカスタマイズすることは現実的ではありません。そこで注目したのが、XenApp の1 機能であるSmartAuditor でした。SmartAuditor は、XenApp 上のアプリケーションの操作を録画、再生できるので、利用者の操作記録を取得できるとともに、録画をログイン時に利用者に知らせることで、利用者への注意を促すことができます。またサブシステム構築時、操作ログを収集するためのカスタマイズも不要になり、開発コストを大幅に低減できました。

インタビューア:電力消費量という観点ではいかがですか?

佐々木氏:

2009 年よりMicrosoft® Windows Server® 2008® Hyper-V™ を使用したサーバー仮想化を実現しており実績もあることから、サーバー集約のため、XenDesktop もHyper-V 2.0 上で構築することとしました。サーバーおよびデスクトップの仮想化により、PC 台数を約2 割削減することを目標としており、シンクライアント端末環境では従来型デスクトップPC の約4 割
程度の電力量の削減を目標としています。さらにサーバー環境をHyper-V で仮想化したことで、物理サーバー
で構成するのに比べ、電力消費量を7 割も削減できると試算しています。


今後のプラン:ダイバーシティや在宅勤務の実現にも期待

インタビューア:今後のプランに関してお聞かせください。

櫻井氏:

北洋銀行では、2012 年9 月から全店展開を開始し、行内イントラネット用にはシンクライアント端末を、営業店端末に関してはWindows ベースのクライアント端末を導入する計画です。最終的には、シンクラ
イアント端末の環境を約3,500 台、主に勘定系システムを利用するためのWindows 端末が約1,500 台の構成
を想定しています。これにより、1 人1 台の端末で、すべての業務を行える環境を実現できます。

平林氏:
今後、行内での議論が必要ですが、XenDesktop の導入は、渉外端末としての利用、サテライトオフィスや在宅勤務などの実現にも期待できます。働き方の選択肢が増えることは、行員にとっても大きなメリットがあります。システムの多様性と同時に働き方の多様性も実現できる新しい端末環境をフルに活用していきたいと考えています。

インタビューア:ありがとうございました。